- 2020年08月13日 15:42 (配信日時 08月13日 12:15)
「ANA、JAL、JR東、JR東海」旅行需要の蒸発で最も危ない企業はどこか
1/2新型コロナの影響で、旅行需要が蒸発した。その影響を受けている航空・運輸業界で、経営状況が最も苦しい企業はどこだろうか。経営コンサルタントの小宮一慶氏は「ANA、JAL、JR東日本、JR東海の4社を比較すると、キャッシュアウトという面でANAがいちばん苦しい。1兆円の資金調達を済ませているが、これも1年で尽きる恐れがある」という――。
■大きな業績ダウンのANA、JAL、JR東日本、JR東海
新型コロナウイルスの影響を多くの企業が受けていますが、もっともダメージの大きい業種のひとつが航空・運輸です。今回は中でも「減少率」の大きいANA、JALとJR東日本、JR東海の現状と危機対応の状況を、各社の損益計算書や貸借対照表から見ていくことにします。
改めて各社の業績を確認しました。惨憺たる状況です。

図表1は、ANAの直近の第1四半期(2020年4~6月)の売上高・売上原価・販売費および一般管理費、営業利益を記載したものです。大幅に業績を悪化させているのが分かります。

※写真はイメージです - 写真=iStock.com/GA161076
少し詳しく見ていくと、売上高が、2019年の同時期と比べて3789億円減少しています。これは、率にすると75.7%という信じられないほどの数字です。売上高の4分の3がなくなったということです。とりわけ旅客収入の落ち込みは86.5%に達しました。
ライバルのJALはどうかといえば、売上高が前年同四半期と比べて78.1%減で、営業利益も1282億円の赤字という状況ですが、自己資本比率が6月末で45.9%あり、33.9%まで下がっているANAより財務的には少し余裕があります(ちなみに、3月末のJALの自己資本比率は51.2%、ANAは41.4%)。

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■ANAは1兆円の資金調達済だが、1年で尽きる恐れが
ANAはコロナ危機を乗り切るため、航空機運航に関わる燃料費や人件費などの売上原価を、前年同期に比べて1637億円減少させ、それ以外の通常経費である販売費および一般管理費(販管費)も400億円減少させました。
ただ、同期間の(親会社株主に帰属する)純損失は1088億円と巨額です。自己資本比率も、先に述べたように落ちています。33.9%という水準は今のところはまだ安全圏ですが、6月末での純資産は9743億円と、3月末に比べて1000億円弱減少しています。
こうした危機の時は、自己資本比率とともに現預金などの自分でコントロールできる資金(手元流動性)の確保が大切です。こちらは、借り入れ枠を含めて1兆円近くを確保しており、当面の資金繰りには心配ありません。
ただ、コロナウイルスの感染拡大の状況が変わらず、月に1000億円程度の資金流出が続くと、1年後には、自己資本比率の減少と相まって、資金繰りが厳しくなる恐れがあります。
その際には、JALとの国際線の統合を模索しなければならないかもしれません。「国際線の統合」と書いたのは、国際線は海外航空会社も参入しているため、独占禁止法の観点からは統合のハードルが低いから。ANA・JALは国内線もしんどい状況ですが、独禁法の関係で国内線の統合は難易度が高いと考えます。
■売上高、昨年同時期よりJR東日本は半減、JR東海では7割以上
一方、鉄道はどうでしょうか。
JR東日本とJR東海の損益計算書を見ると、こちらも厳しい状況となっていることが分かります(図表2)。

売上高の減少率は、JR東日本が19年4-6月に比べて55.2%、JR東海は72.7%となっています。JR東日本は半減、JR東海では7割以上の減少です。
ANAに比べて売上原価および販管費の削減率は小さいことが分かりますが、営業利益段階での大きな赤字を計上しています。両社とも、在来線の落ち込みも大きいのですが、何といっても新幹線の旅客の減少が大きく響いています。JR東日本で82%、JR東海では83%の減少です。あれだけ乗客が乗っていた新幹線が閑散とした状況となりました。
ただし、JR東日本は3月末の自己資本比率が36.9%で6月末は34.1%、JR東海も39.9%から39.6%とほとんど落ち込みがなく、両社とも財務的な懸念はANAよりも小さいです。
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