記事

いま日本に必要なのは「金融緩和」より「規制緩和」

日本でIMF(国際通貨基金)・世界銀行の年次総会が実施される。中国の一部銀行が参加を見送るなど、相変わらずチャイナ・リスクに振り回されているが、そんな中でちょっと前の記事だがIMFのアジア太平洋局長のアヌープ・シン氏が、日経新聞の経済教室(2012年9月6日朝刊)で、日本が直面するリスク、そしてその処方箋を的確に指摘している。

詳細は、実際の記事を読んでいただければいいのだが、注目したいのはGDP比率の130%と言われる日本の「純債務」の課題に対する対処法だ。純債務というのは、政府の総債務残高から政府が保有する金融資産を差し引いたもので、IMFのデータによると、現在(2011年)の日本はギリシャ(160.81%)、レバノン(131.13%)に次ぐ世界第3位となっている。ちなみに、政府の財政状況は、純債務残高でみるべきであって、単純な財政赤字の額でみるべきではないという考え方もある。

しかし、これまでにも何度か指摘しているが、政府の資産というのは民間企業などの場合と異なり、額が大きすぎて簡単には換金できない。日本や中国は莫大な額の米国債を保有しているが、売りでも出そうものなら米国債は大暴落してしまい、簡単に換金できるものではない。政府の借金である国債残高の額と比較できないものであり、政府債務を純債務残高だけで判断するのは間違いだ。話が大きくそれたが、アヌープ・シン局長の指摘を簡単に紹介すると、まずは要点をおさらいすると--

1.IMFは日本の財政再建に対して、純債務残高をピークとなるGDP比150%から2030年までに125%に削減するように提案していること2.かつて、オランダとスウェーデンが1980年代~1990年代に行った市場開放と労働市場の流動性向上に加えて、継続的な財政改革の実施で、潜在成長率を1%以上伸ばすことに成功している。3.次の4つの方法で、日本も財政改革は可能である。

<1>医療・介護分野、電力・農業分野では「規制緩和」などを通じて効率を向上させる<2>経済の開放を進めるべきである。そのためには新興国への投資をもっと増やし、TPP(環太平洋経済連携協定)、FTA(自由貿易協定)、EPA(経済連携協定)の締結を目指すべきである。<3>国内の雇用拡大が必要。日本女性の教育水準は高いにもかかわらず、労働参加率は他国に比べて低い。高齢者の雇用拡大も必要である。<4>日本郵政の完全民営化を含めて、金融セクターの構造的な政府関与(保証や信用供与)を辞めるべきである。

要するに、日本が財政赤字を少しでも解消させるためには、既得権益を握ったままの省庁が規制緩和するしかない、と指摘しているわけだ。すでに10年以上前から指摘されてきたことではあるが、これがなかなかできないのだ。ちなみに、これに関連して「ヤフー!ニュースBUSINESS」にも投稿した。閲覧いただければ幸いだ。

あわせて読みたい

「IMF」の記事一覧へ

トピックス

ランキング

  1. 1

    コロナ後の日本は失業者増えるか

    ヒロ

  2. 2

    米で広がる分断 アジア人も下層

    WEDGE Infinity

  3. 3

    コロナでトランプ惨敗説が急浮上

    WEDGE Infinity

  4. 4

    給付金寄付の強制は「責任転嫁」

    非国民通信

  5. 5

    米の中国批判に途上国はだんまり

    六辻彰二/MUTSUJI Shoji

  6. 6

    渋谷で「一揆」補償巡りデモ行進

    田中龍作

  7. 7

    テラハ演者 陰湿さ増す悪魔構造

    女性自身

  8. 8

    マイナンバー遅れで残る利権構造

    音喜多 駿(参議院議員 / 東京都選挙区)

  9. 9

    重症者少ないアジア 人種要因か

    大隅典子

  10. 10

    百恵さんの配信解禁 若者も絶賛

    女性自身

ランキング一覧

ログイン

ログインするアカウントをお選びください。
以下のいずれかのアカウントでBLOGOSにログインすることができます。

コメントを書き込むには FacebookID、TwitterID のいずれかで認証を行う必要があります。

※livedoorIDでログインした場合、ご利用できるのはフォロー機能、マイページ機能、支持するボタンのみとなります。