- 2020年08月13日 22:49 (配信日時 08月12日 15:15)
なぜNiziUは世界を興奮させるのか…日本のエンタメが「韓国に完敗」した理由
1/2低迷の日本と世界で戦う韓国
NiziU、BTS、『愛の不時着』と、韓国のエンターテインメントが日本で爆発的ヒットを記録し、世界に打って出ている。一方、日本のエンターテインメントは低迷が続き、産業としての価値が大きく損なわれてきている。かつてより韓流ブームなどと騒がれてはいたが、ここ数年で日本と韓国の差はより大きくなったように思われる。
2019年1月15日、韓国・ソウルのコチャック・スカイドームで開催された「2019ソウル・ミュージック・アワード」の期間中、フォトコールに登場した韓国のアイドルグループ「TWICE(トゥワイス)」 - 写真=Penta Press/時事通信フォトそもそも、韓国エンターテインメントが国境を超え世界市場に打って出たきっかけは、1997年のアジア通貨危機が韓国経済を直撃したことだった。国内市場が大幅に縮小して、エンターテインメント業界も外に目を向けざるをえなくなったからだ。
しかも、海を越えると世界第3位(当時は2位)の経済大国である日本がある。韓国勢が日本市場に参入しようと考えたのは当然だろう。2001年にBOAが日本デビューして人気を博し、2004年にNHKで韓国ドラマ「冬のソナタ」が放映されて社会現象化した。
さらに、男性ボーカルグループの東方神起(のちにデュオ)やBIGBAN、女性アイドルグループの少女時代やKARAが日本でも人気を博し、日本参入を狙って結成された男女アイドルグループが次々と登場した。
日本人は「未成熟」を応援する
2000年に入ってインターネットが普及すると、アニメや漫画を通して世界的に日本のサブカルチャーが注目されるようになった。
とくにフランスやスペインなどのヨーロッパで、“kawaii”をキーワードとする原宿や渋谷のファッションが関心を集め、J-POP人気に火がつき、日本で大人気だったモーニング娘。(1997年~)が注目された。
ところが、モーニング娘。はメンバーが入れ替わり、歌やダンスの実力をつけていくごとに、肝心の国内での人気を落としていく。
日本のファンは、アイドルに高いパフォーマンス力ではなく、「頃合いの下手さ」や「一生懸命」を求め、下手だけれどがんばっているといった「未成熟の一生懸命」を応援するのが、アイドルファンの伝統的なスタイルである。完璧なルックスや高い歌唱力はむしろアイドルには邪魔になる。
愛らしく透明感のある外見のタレントが、「下手」をカバーしようと一生懸命になる姿に「萌える」。
初期のモーニング娘。がまさにそうだった。何の訓練も受けていない「普通の少女」たちが、「敏腕プロデューサー」の手で試練にあいながらもヒット曲を連発していく。そんな物語が注目を浴びた。
AKB48が国内市場を抑えたが…
ところが、モーニング娘。が高いパフォーマンス力を身につけるたびに、ライトなファンが脱落。そのあいだに「未成熟の一生懸命」をシステム化したようなAKB48が国内市場を席巻した。
日本市場でアイドルとして人気を博すためには、宿命的に「未成熟」を抱え込まなければならない。だが、国際市場では「未成熟」は求められず、AKBの国際戦略も一部を除いて失敗している。
モーニング娘。が開いた国際化の道は、むしろ少女時代などの韓国勢によって広げられていった。2012年以降の「嫌韓ブーム」からは、韓国勢は日本より東アジアや東南アジアを中心とした国際市場を広く目指すようになった。
日本のアイドルのフォーマットを使いながら、韓国アイドルが国際市場で活躍できた裏には、韓国では「未成熟」ではなく、外見的な完成度や高いパフォーマンスを求める文化があるからだろう。
また、日本のエンターテインメントが無意識的に国際的に受け入れられ、そのあと大して努力しなかったのに対して、韓国勢は国家を挙げて世界進出を後押しして、国際市場に必死でアクセスし続けた努力が結実した。
AKB世代が日本のエンタメを破壊した
中東サウジアラビアでは女性の地位向上が進み、公共の場に一人で出かけられるようになっている。その一環として、2019年10月に韓国の人気グループBTS(防弾少年団)のコンサートがおこなわれた。
BTSは、東方神起やBIGBANを原形に、本格的なラップを軸に高いダンスパフォーマンスを見せる男性ヒップホップグループで、ビルボードでも1位を獲得している。
日本では2018年にメンバーの一人が原爆Tシャツを着た画像をSNSにアップしたことで大バッシングになったことを記憶している人も多いだろう。Tシャツ事件のあとは日本のテレビでは見られなくなったが、世界的には着実にファンを拡げ、上述のサウジアラビアのコンサートでは3万人を動員している。
一方、日本ではAKBの姉妹グループが次々に結成されて、アイドル市場がAKB系に寡占されてゆく。また、AKBの特徴としてCD購入と握手会・総選挙の投票権を組み合わせた「課金システム」を導入して、経済的な余裕のあるファンを優遇した結果、ファンの高齢化が進み、アイドル市場から若者層が逃げていった。
そんな若者の一部が、レベルの高いパフォーマンスを見せる韓国アイドルに注目するのも自然な流れだと言える。かたや、日本のテレビでは、アイドルは「ポンコツさ」をアピールさせれてオヤジ目線での仕事をさせられるばかりだ。
その中には、YouTubeで見たTWICEやBLACKPINKなどを通じて、韓国エンターテインメントに憧れるアイドル志望者もおり、いまや「エンターテインメントの本場」として韓国に留学することも珍しいことではなくなっている。
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