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田原総一朗さんに託されたバトン。【ディレクターが画面にでる意義とは】

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NHKを辞めてから4日後―。
私は田原総一朗さんと対談した。

場所は、高級ホテルの会議室。普通は雑誌社の小さな会議室だったりするけど、さすが田原さんだなぁと思いながら、緊張していた。予め編集者の方から質問のリストは送られていたが、田原さんがそれ通りに聞くことはまずないだろう。タイトルは、「ニッポンの問題点「YouTubeから社会を変えるには」と書かれていた。

田原さんとは、朝まで生テレビでご一緒させていただいたり、私の単独ライブのゲストにお越しくださったりした。田原さんは、いつもフラットだ。私を「女の子」「若い子」として見ない。馬鹿にしないで、対等に話してくださる。田原さんとはいい意味で遠慮がいらないから話していて、すごく楽しいのだ。

この日、田原さんは、私が書いた『政治の絵本』をもってきてくださっていた。

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A4の紙には、私に関して調べたことが手書きでいっぱい書かれていた。それを元に矢継ぎ早に質問が続いた。私が少し話はじめると、すぐに止められ、深く切り込まれる。田原節が炸裂した。最後まで話せない。そうか。30秒で端的に答えなきゃだめだったんだ。朝生に出たことを思い出し、途中から結論をすっと話すスタイルに切り替えた。田原さんは精神年齢が10歳ぐらいじゃないかといつも思う。「なんで?」「わからない」を繰り返す。賢く見られたいとかプライドがないのか不思議に思ってしまうぐらいだ。

実は、田原さんと私は境遇や思考の共通点がある。それは、ディレクターであったということだ。田原さんと私を比較するのは恐れ多いが、ディレクター経験があるという事実だけは言える。田原さんは元々テレビ東京のディレクターだった。そこで、めちゃくちゃな作品を世に送り出している。70年代に学生運動から派生したフリーセックス集団を取材する際、性行為を求められ、撮影とともに応じたというから驚きだ。

現在も、田原さんは、「ディレクターとして表に出ている」という意識がすごくあると以前話してくださった。「ディレクターは表に出るべきだと思う。ディレクターが相手に何か聞くときは自分が裸になって、本音を聞くこと。今のテレビの司会者の悪いところは分かってないのに分かったふりをすること」だと NHKでディレクター1年目の私に話してくださった。私が初めて朝生に出て驚いたのは、田原さんが意図的に話を遮ることだ。「最後まで人の話をきけよ」とかネット上では批判が来ているが、田原さんは、自分が出演しながら編集をしているのではないか。話が枝葉にそれたときに、話を遮っていて感動した。

では、田原さんの目的は一体何なのか。反政府なのか。弱者を救いたいのか。田原さんの答えは意外だった。「ずっと、権力を厳しく見て、悪いところをドンドン批判していくことをやってきたら、総理大臣3人失脚させちゃったの。宮澤喜一、海部俊樹、橋本龍太郎。こんなことやっても面白くないなと」おっしゃった。変わったところでいい政治家が出てこなかったと言うことだ。そして、そこからは問題だというイシューを取り扱い、それを解決するように、テレビを外圧として政治家にプレッシャーをかけるという方向で、社会をよくしようとしてきたそうだ。

私は池上彰さんのように、分かりやすく伝えることにも関心があるが、田原さんのように、ディレクターとして取材者として自分が画面の前に立ち、解決策を迫るように政治家や視聴者に訴えかけることもしていきたい。社会を変えたいという意識が強い。 NHKでは、メディア報道が霞ヶ関・永田町をどう動かしているのかということを特に考えていた。しかるべきタイミングで報じると社会が変わっていく様子も目の当たりにできた。

ところで、なぜ、タブーの切り込めるのか。田原さんは、「日本は憲法で言論表現の自由が認められているから、何言ったていい」と言う。でも、朝生は、日本のテレビとは思えないぐらい治外法権な気がする。タブーがなさすぎる。政治について良くも悪くも自由に議論している。私は相手を論破すればいい、対立構造を見出せばいいという悪し気文化を作ったのが朝生の罪だと思う。それを田原さんに聞いたら、「そうかもしれない」とあっという間に認めて、また度肝を抜かれた。

プライドとかムッとするという感情はなさそうだった。朝生は天皇制についても、議論するし、田原さんの中でタブーはないのか。なぜできるのか聞いた。すると、15年前に毎日街宣車が家に来た時のことを話してくださった。親分の番号教えろと田原さんは言い、右翼の親分と話したら、「考え方は違うが日本を思う気持ちは一緒だ」と言われたらしい。本音で話せば、分かる。嘘をつかないことが大切だとおっしゃっていた。

すべて1年前の単独ライブで教えていただいたこと。だから、私は取材の時に嘘をつかないようにしている。自分が裸にならないと、それはたしかに相手も本音を話さないよな。「政治家にインタビューするときはその政治家について書かれたものはほとんど読む。「この男ここまで知っているのか」って思えばドンドン本音が出てくる」ともおっしゃっていた。やはり、取材の際に、リサーチを怠らないことは大切だ。どんなに売れっ子になっても、その時間は確保しよう。

今回、田原さんと対談する前に、単独ライブで話した動画などを改めて見返してそんなことを考えていた。

そして、今の組織論の大問題は、正論を言った人が左遷される。こういう状況だと政治的発信はしにくいという結論に至った。

今回の対談の内容は、また新しいことをたくさんお話でき、政治教育がなぜ浸透しないのか、あるべき選挙制度とは、などいろいろお話しています。田原さんは歴史だから話していて面白い。「僕はね、その時にね、大臣にね、こういったの」って、大体の政治史に対して、体験談を備えているから驚きだ。

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