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両陛下 コロナ禍のご奮闘…ご進講など15回、5千万円寄付も

(C)JMPA

「皇后さまからは『介護の現場では、みなさんが頑張っていらっしゃったのですね』と、労いのお言葉をいただきました」

そう話すのは、「全国老人保健施設協会」会長の東憲太郎さん。6月23日に天皇陛下と雅子さまに、コロナ禍における老人介護の現状をご説明した。

「3,600ほどの施設が当協会に加盟していますが、新型コロナウイルスの感染者が出たのは16カ所、クラスターの発生は5カ所でした。多くの施設では職員たちがたいへんな努力で感染を防いだこと。そしてクラスターとなった施設では、感染を逃れた数少ない職員で泣きながら介護をしていたことなどをお伝えしました。

そのときの両陛下はとてもおつらそうなご表情を浮かべられ、現場の職員たちを真剣に心配してくださっていると感じました。『ご苦労されたのですね』と現場の職員たちを労う天皇陛下のお言葉に続いて、皇后さまから『日本の高齢者の方々をみなさんが守られているのですね。お体を大切になさってください』と励ましのお言葉をいただきました」

4月10日、政府の専門家会議で副座長を務めた尾身茂氏に始まり、陛下と雅子さまがマスク姿で臨まれたご進講・ご接見は7月までに15回。医療関係団体から児童福祉や老人福祉、生活困窮者支援まで、その分野は多岐にわたる。

NPO法人「キッズドア」理事長の渡辺由美子さんも、7月21日に両陛下にご接見をたまわった。コロナ禍における、生活困窮世帯の子供たちへの支援状況などをご説明したという。

「実は当初、予定時間は10分だったのですが、事前に侍従の方から『両陛下はとてもご関心をもっていらっしゃるので、(予定より)ゆっくりお話しください』と伝えられていました。熱心にメモを取られる両陛下のお姿から、子供たちを心配されるお気持ちが伝わってきました。皇后さまからは『どういうボランティアの方がいらっしゃるの?』『お母さまたちの様子はどうですか?』とさまざまな質問をいただきました。『本当にたいへんな活動をなさって。ありがとうございます』ともおっしゃってくださいました」

コロナ禍の外出自粛を機に「キッズドア」では、それまで行っていなかったオンラインの学習支援への取り組みを開始した。渡辺さんとともに2つの団体の代表が、コロナ禍で生まれた工夫やつながりを、子供たちを地域で支える社会へと変えるきっかけにしたいと説明した。すると陛下は「ピンチはチャンスになりますね」とおっしゃったという。

7月下旬から再び全国各地で感染者数が急増。両陛下と国民の直接的なご交流は途絶えたままだ。

「前例踏襲にこだわる宮内庁は、ビデオメッセージやSNSの活用といった試みにも及び腰です。お出ましにもなれず、メッセージを発信される手段も極めて限られている……。皇室の存在意義が問われる“危機的状況”といっても過言ではありません。そういった状況下でもなんとか国民を励ましたいという両陛下の思いが、15回にも及んだご進講とご接見に表れているのではないでしょうか」(皇室担当記者)

毎週のように行われたご進講・ご接見には、どのような意味があるのだろうか。象徴天皇制を研究する歴史学者で、名古屋大学大学院人文学研究科准教授の河西秀哉さんはこう語る。

「両陛下には、子供・老人・生活困窮者など、感染拡大によって間接的に影響がある人々の状況まで知りたいという思いがあるのではないでしょうか。認知症や知的障害に関する取り組みをしている方にも話を聞いているのは、そういった社会的に弱い立場の人々への影響をとくに心配しているようにも受け取れます」

4月の尾身茂氏のご進講後には、天皇陛下による冒頭のあいさつが公表されている。

「あいさつの公表は異例のことで、非常に驚きました。とくに《私たち皆がなお一層心を一つにして力を合わせながら》という文言は、ビデオメッセージが出せないなかで、かなり強いメッセージ性を込めたものに感じました。また日赤社長のご進講にあたっては、雅子皇后のあいさつも公表されました。これは、天皇皇后が心を合わせて国民のことを心配しているという姿を示そうとしたのではないかと思います」(河西さん)

雅子さまはこのとき、医療の最前線で働く医師や看護師、その家族や関係者の苦労や頑張りへの理解を示され《陛下とご一緒に心からのお礼の気持ちをお伝えしたい》と述べられている。

天皇皇后というお立場ゆえに極めて制約が多く、できないことだらけであっても、工夫をこらして国民に思いを届けたい――。15回のご進講とご接見には、まさに両陛下の“ピンチを希望に!”という切なる願いが込められているのだろう。

今年4月、天皇陛下の即位に当たり、両陛下から「子供の未来応援基金」に5千万円が寄付された。

その一部が新型コロナへの緊急支援に使われ、「キッズドア」のオンライン学習支援にも使われている。前出の渡辺理事長が言う。

「ご接見の終わりに、両陛下からご寄付とお気持ちを寄せていただいていることを、子供たちや保護者に伝えたいと申し上げました。すると皇后さまから『ぜひ、どんどん伝えてください。子供たちに私たちも応援していることや、頑張ってほしいと願っていることを伝えてください』とのお言葉をいただきました。コロナ禍でなければ、現場に行って励ましたいと思っていらっしゃるように、強く感じました」

再び国民と触れ合える日がくるまで、希望に向かって、天皇陛下と雅子さまのご奮闘は続く――。

「女性自身」2020年8月18・25日合併号 掲載

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