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香港民主派・周庭さんの「かわいいは正義」を習近平に思い知らせるべき。

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ちょっとありえないぐらい不謹慎なタイトルですが、最後まで読んでいただけると真意がご理解いただけるかと思います。 

 10日夜、香港民主派活動家のアイドル的存在であった周庭(アグネス・チョウ)さんが中国当局に逮捕されてしまって、その後世界中の、特に日本のSNSで「周庭氏の逮捕に抗議します」や「FreeAgnes」タグがトレンド入りするなど大きな反応がありました。 

その後、私もウェブ連載の編集部から何か書いてくれと言われて、とにかく「逮捕された先で当局から酷い扱いを受けないように皆で中国政府にプレッシャーをかけよう」という記事を書こうと思って準備していたら思いの外はやく保釈が決まったわけですが・・・とにかくほっとしました。

1●「かわいいは正義」的な特別扱いについてどう考えるべきなのか?

「こんなことは中国じゃ毎日のようにどこかで起きていること」なのに、いちいち周庭さんのときだけ大げさに騒ぐのはオカシイ!!

・・・という批判はある意味正しいと思いますが、かなり声高にそういう批判をしているSNSアカウントですら、思いの外はやい保釈決定に「ほっとした」気持ちを吐露している人は多かったように思います。

かくいう私も、日本語が達者で日本のメディアでしょっちゅう自分の言葉で話していた若い女性が、「中国当局の権力」によって逮捕されるという絵自体に、自分でも意外なぐらい心が乱された気持ちになりました。

 私の妻はこういう「政治的」な話にあまり関わらないノンポリタイプなのですが、その妻ですら「仮面ライダー電王と欅坂46が好きで、嵐のメンバーで一番好きなのは二宮くん」という「自分とあまりに同じ好み」の周庭さんのことは他人事とは思えない気持ちになって心配していました。 

保釈された直後のご本人のコメント動画はSNSに結構あがっていますが、流暢な日本語で

「拘束されているときに、ずっと”不協和音(欅坂46の)”という日本語の歌の歌詞が頭の中で浮かんでいました」

とか言っちゃう若い女性の、日本国内における世論喚起力はそれ自体馬鹿にできない物凄いものがあるのではないかという感じがします。

最近中国当局が「米中の綱引きの中で日本政府や日本世論が急激に米国側に傾きつつあるのをかなり気にしている」様子を感じるんですが、今回の周庭さんの迅速な保釈決定にも、ひょっとするとそういう日本世論への影響力は考慮されていたかもしれません。

周庭さんは香港民主派の中心人物の一人ではあるものの、いわゆる「リーダー」ではないこともあって、世界的な注目はむしろ同時期にメディア企業経営者の黎智英氏が逮捕されたニュースの方に集まっていたようですが、 日本における注目は断然周庭さんの方が大きかったですよね。

政治的な左右に関わらず、一般人からいろんな政党関係者まで、普段はスルーしていたこの問題に突然のように声を上げている様子がSNSで観られた。

そういう「反応の差」は政治的に大真面目なロジックから言えばいくらでも批判できる事のようにも思うわけですが、ただ香港ひいては中国全体の民主化問題や、世界大戦の可能性すら否定できない米中対立の激化の中で日本人の私たちにできること、を考えるときに、ある種

この「かわいいは正義」的な感情の動きの大きさを否定せずに善用していくことを考えることが必要かもしれない

と、今回の件を通じて私は考えるようになりました。

2●なぜ「かわいいは正義」レベルの感情が重要なのか?

なぜ「かわいいは正義」とか言うレベルの感情の動きが重要かというと、この問題についてのもっと「政治的に真面目」な議論はどうしても相対化されてしまうからです。

香港問題は、単に「正義の民主化運動とそれを弾圧する中国政府」というだけの見方で切り取れる問題ではありません。

ある意味で、「欧米諸国の支配をはねのけて抑圧された中国人民が自分たちの正当な権利を回復していくストーリー」的な見方だってできてしまう。

「政治的に大真面目な議論」だけだと、「全く別の交わらない論理」同士が非妥協的にぶつかりあってしまうことになるんですね。

そうすると、中国の民主化についてそろそろ真剣に考えて国際協調するべき・・・という趣旨の前回記事で使った以下の図のように、


そもそも自由や民主主義よりも、国家の安定や社会の滞りのない運営の方が優先されるべき・・・と考えている人が多い社会において、「自由や民主主義を守れ」というだけの論理で立ち向かっていっても全然響いていかないというか、むしろどんどん彼らも意固地になっていってしまう構造がある。

要するに、

・ガチンコの中国ナショナリズムの信奉者

vs

・ガチンコの「自由と民主主義の戦士」

こういう↑二者だけしか関わっていない状態では、この問題は平行線で紛糾し続けこそすれ、決して解決の糸口すら見いだせない状況に追い込まれていくことになります。

こういう「押し合いへし合い」だけをやり続けることの最大の問題点は、

「中国に関わっている普通の生活者(多くの中国人や、中国とビジネスで関わる外国人の多く)」は、現状としての中国政府支持を続けるしかなくなること

なんですよね。

実際、日本人の中でも、中国と普通に関わって生活している多くの人は、この問題に対してかなり冷淡な態度(”民主活動家の視点から見れば”ということですが)を取っていることが多いように見受けられます。

彼らとしても、日本人として育った当たり前の感情としての自由と民主主義的な価値観を持っていることが多いわけですが、「そうはいっても、じゃあ中国13億人を今のやり方以外でどう混乱せずに運営すればいいのさ?」という部分があまりにも考慮されないままだと、おいそれと「民主化バンザイ」というわけにもいかなくなってしまうわけですね。

3●「かわいいは正義」的な感情が、拮抗状態に変化をもたらすかも?

「かわいいは正義」的な形で周庭さんに注目が集まることは、この「大真面目な政治的目線」以外の「普通の目線」がこの問題に注がれることを意味します。

ガチンコの「政治的議論」だと、そもそも平行線になってしまうし、普通に中国でビジネスしていたり中国の学術界で活躍していたりする日本人としたらおいそれと乗っかるわけにもいかない。

しかし、

かわいい女の子が、よくわからない罪状で、強権的な中国政府に逮捕されて連れて行かれた・・・という絵面のパワー

というのは、「普通の生活者」レベルでも無視できない影響力を持ちうるかも、しれません。

前回記事で書いたように、この「政治的対立」に新しい調和をもたらすには、以下の図のように、


今みたいに国内外全方位的に喧嘩を売りまくったり、香港への締付けを果てしなく厳しくしていくような習近平政権の態度は、商売の邪魔になっているということを理解してもらうように持っていくことが必要です。

もちろん「ガチガチの政治的ナショナリストの中国人」にそう思ってもらう必要はないが、「普通の生活者」の中国人や中国と関わる外国人に対しては、「大事なお客さん」として扱って、彼らの考え方を徐々に変えていってもらう必要がある。

中国民主化といっても、いきなり「民主国家」レベルの完全な投票システムとか、一切の検閲のないインターネットとか、そういうものが実現すると考えている人は、今の時代もうほとんどいないでしょう。

要するに、「中国政府の強権性」が、末端で果てしなく酷い抑圧を起こしてしまわないように監視する目線がちゃんと国際社会との間でチェック&バランスとして働くようになる・・・それがまずは第一歩なんですね。

そのためには、まずは「政治の議論」を超えた「普通の生活者の目線」をも動員して、「中国政府が無茶をやらないようにする」監視を行えるようにしていくことの意味は大きいでしょう。

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