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危機管理とリーダーシップ

 新型コロナウイルス感染に関する政府の対応については、菅義偉官房長官、西村康稔経済財政担当大臣は連日記者会見で説明しているが、安倍総理の会見は7月は皆無で、昨日の広島の会見が1ヶ月半ぶりとのことである。しかも会見時間がわずか15分で、事前に4問に絞られていた。第2波かとも思われる新型コロナウイルス感染拡大が急速に進む中、国民が大変不安に思っている時に、それを払拭出来るのは総理大臣であり、そうすべきなのは総理大臣の責任である。

菅氏と西村氏の二人が毎日会見しているし、他の閣僚もそれぞれの立場で会見しているので、政府の発信に問題はないと官邸は言うが、お盆の帰省に関して二人の考えが食い違って国民が迷っているわけだから、その上に立つ総理が統一見解を示すべきである。また既に政府のコロナ対策はできる限りの対応を行なっており、会見を開いても新たに申し上げることはないと官邸は説明するが、総理の会見により国民に寄り添う姿勢を示すことや、どのような質問にも真剣に答える姿勢を示すことは、リーダーとして不可欠の要素である。

コロナ禍における「GO TO キャンペーン」は与党内でも賛否両論があるが、感染防止対策と経済を動かすという二つの相反する命題を、両立させなければならないという難問も、総理自らが述べるべき案件だ。以前の緊急事態宣言の下で行ったように、人々の8割接触を削減をすれば収まるのだろうが、しかしそれでは今度こそ本当に経済は死んでしまう。両方のバランスをどう取るかという難問の解決のために、苦しくてもリーダーとして、しっかり旗を振らなければならない。

 一方で全国的に影響力のある知事が、某うがい薬を高く掲げ、最近の研究においてコロナウイルス感染を抑制したり、重症化を防ぐ効果が認められるとして、その使用を推奨するかのような発言を行った。その途端、薬屋さんの店頭からうがい薬が消えてしまった。もちろん、うがいを小まめにすることはウイルス感染の危険を減らすのに有効だが、果たして当該うがい薬が特別に抑止効果を持つのかどうかは、まだまだエビデンスが足りないという報道もある。

 これまでコロナ感染症対策に強いリーダーシップを発揮してきたとの定評のある知事だが、エビデンスが十分揃っていない段階で、自ら会見で取り上げるのは、いささか拙速ではないだろうか。本来ならばまず専門の研究者が発表し、それに知事がコメントするのが妥当ではないか。某うがい薬がコロナ対策に万能と誤解され、その他のコロナ対策が疎かにならないことを祈るばかりだ。

 このように危機管理におけるリーダーシップの取り方は極めて難しいが、決して派手に振る舞う必要はないと思う。国民の声をよく聞き、国民とともに悩み苦しみ、しかしその中から一歩先んじて確かな方向を示すというのが、民主主義国家における真のリーダーだと私は思う。

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