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プロが教える、オンライン会議でコミュニケーション不全に陥った職場への処方箋3つ

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オンライン会議に切り替えて、生産性が上がったという意見と同時に、職場のコミュニケーションが悪くなったという声もよく聞きます。ファシリテーターのプロが示す、オンライン時代の会議の開き方とは――。

※本稿は堀 公俊『オンライン会議の教科書』(朝日新聞出版)の一部を再編集したものです。

ラップトップを使用して女性
※写真はイメージです(写真=iStock.com/miya227)

【悩み1】リーダーがファシリテーターを兼ねざるをえない

ファシリテーターは中立でないといけないと聞きます。リーダーがファシリテーターを兼ねてもかまわないのでしょうか。そのときは、自分の意見を言ってもよいのですか。よいのなら、どんなことに気をつけたらよいでしょうか。

【解決策1】2つの信頼が見極めのポイント

原則から言えば、中立な人がファシリテーターをすべきです。とはいえ、国会の議長をするわけではなく、会社の会議では全員が利害関係者(当事者)です。

大切なのはファシリテーターが信頼できるかどうかです。

社会心理学者の山岸俊男によると、信頼には大きく2つあると言います。ひとつは能力への信頼です。「ファシリテーターとして適切に振る舞うことができるかどうか?」です。

ここで気をつけてほしいのは、リアル会議とオンライン会議の違いです。前者で多いのが、以心伝心を駆使した調整型のファシリテーターです。

これが後者では通用しないのです。誤魔化しが利かないオンライン会議では、ホンモノのファシリテーション能力を持った人が求められます。

もうひとつは、意図や目的に対する信頼です。「誰の何のためにファシリテーターをするのか?」です。

自分や特定の誰かの利益のためだと信頼できません。みんなやお客様のためなら、信頼して任せても安心できます。候補となる人の胸の内を探ってみてください。

2つの条件を満たすなら、ランクの上下にかかわらず誰でもOKです。本来は、リーダーとファシリテーターを分けたほうがよいのですが、うまくスイッチを切り替えられるなら、兼ねるのは問題ありません。

【解決策2】迷ったときはみんなに尋ねる

自分の意見を絶対に言っていけないことはありません。少人数の会議はもとより、自分が専門家や利害関係者のときは、意見を言わないと始まりません。

ただし、意見を出すタイミングは気をつけてください。なるべく最後に言うようにして、落とし所に誘導する疑念を持たれないようにしましょう。特に、ランクが高いときは注意が要ります。

意見を言うとみんなが飛びつくような状況では、客観的に伝えることも必要となります。「○○を知っていますか?」と事例、定説、理論、専門家の意見などを引用して、間接的に伝えるやり方です。

また、あらかじめ用意した意見よりは、その場で思いついた意見のほうが、抵抗感が薄れます。会議という名の共同作業の結果生まれた、みんなの意見を代弁したに過ぎないからです。

それでも心配なときは、「意見を言っていいですか?」「答えが分かったので、話していい?」と了解をもらうようにします。どんな場合でも、迷ったときはみんなに尋ねるのが、一番安全な方法です。

【悩み2】時間が予定より延びてしまう

オンライン会議をやると、どうしても予定より時間が延びてしまいます。何度やっても、時間通りに終わらせることができません。定められた時間内にちゃんと収めるには、どうしたらよいのでしょうか。

【解決策1】できないことはやらない

まず、お尋ねしたいのは、「時間内に終わる議題になっていますか?」という点です。議題が多すぎる、問題が難しすぎる、結論を出すだけの材料が不足している、といった状況では、誰がやっても時間通りに終わりません。

少々の無理はよくても、無茶は禁物です。オンライン会議に慣れないうちは、リアル会議よりも少しボリュームを減らさないと、尺に合わなくなります。身の丈にあったゴールを設定するのが一番の対処法となります。

それが難しければ、話し合いにメリハリをつけるしかありません。

大事な話に時間を割く代わりに、瑣末な話は端折るようにします。確認だけに留めたり、別の手段で意見を集めたりして。そうすることで時間短縮をしながらも、議論の質を落とさないようにします。

人数にもメリハリをつけてはどうでしょうか。いつも全員で議論するのではなく、テーマによっては小グループやペアになって話し合うようにするのです。

もちろん、タイムキープは重要です。タイマーがみんなから見えるようにしておき、「3分で説明をお願いします」「○○について5分だけ議論しましょう」と常に時間をコールするようにします。一番話の長い人にタイムキーパーをお願いする方法もあります。

【解決策2】オンライン会議ならではの楽しいルールを

「オンライン会議だとおしゃべりが増えて時間が延びる」という話を耳にします。雑談が必ずしも悪いわけではなく、情報交換や緊張緩和に役に立ちます。

しかしながら、時間を忘れて馬鹿話をしたり、脱線ばかりするのは、単に集中力がないだけです。これは引き締め直す必要があり、おしゃべりの質を見極めることが大切です。

オンライン会議で時間が延びる原因として、もうひとつよくあるのが堂々巡りです。相手に真意が伝わらず、何度も同じ話を繰り返してしまうのです。ファシリテーターが仲介に入るか、誰かに解説をお願いをすれば、不毛な時間が短くてすみます。

あとは、どうやってみんなに終了時間を守らせるかです。リアル会議と同様、立ってやると時間が短くなるかもしれません。試してみる価値はあります。

あるいは、「ミーティングが時間通りに終わらなかったら、リーダーが出席者全員におごる」「ミーティングが時間オーバーになったとき、最後に発言していた人が腕立て伏せを50回する」という秘策もあるようです(S.G.ロゲルバーグ『SUPER MTG スーパー・ミーティング』)。こんな風にオンライン会議ならではの楽しいルールをつくるのも面白いのではないでしょうか。

【悩み3】発言しない人がいる

会議がオンラインになって若手も参加させるようにしました。せっかくの機会なので、時々発言を求めるのですが、「特にありません」「大丈夫です」で終わってしまいます。話を引き出すよい方法はないものでしょうか。

【解決策1】安心安全の場になっているか

「会議なんて意味がない」と思っている若手は少なくありません。まずは、「何のために会議をするのか?」「なぜ、若手も参加するようになったのか?」「なぜ、時折意見を求めるのか?」など、意味をしっかり伝えるようにします。問題解決に若い人の視点が欲しいとか、若手にとって考える訓練になるとか。

その上で、「思いつかなかったら後でもよい」「何を言ってもかまわない」と伝え、安全を担保してあげることです。発言できなくても、意にそぐわない意見でも、関係性において不利益を被らないのが、本当の心理的安全性です。

オンライン会議を「小学校の授業を思い出す」と言った人がいました。

雁首そろえて座り、先生から常に監視され、時折名指しで回答を求められるからです。しかも、学校時代のような「分かりません」は通用せず、妙なことを言うと心証が悪くなります。人によってはかなりの緊張が強いられる場となります。

ランクの高い人がフラットで民主的な場だと思っていても、低い人はそう受け取っていないかもしれません。「話すチャンスを与えている」と思っていても、「無理やり言質を取ろうとしている」感じているかもしれません。

「人権を尊重する」「多様性を歓迎する」といった、基本的な価値が共有されてこそ、オンライン会議の良さが活きてきます。そのことを肝に銘じておきましょう。

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