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村社会の論理を崩す

昨日の朝日新聞朝刊にすごい記事が載っていた。

15面のオピニオンに「原子力村」という特集が組まれていた。私が目から鱗が落ちたような気がしたのは、立命館大学名誉教授の安斎育郎氏のインタビュー記事である。原子力村、原子力村と言うから何か行政単位のような印象があったが、原子力研究者の世界が村社会であったということが見事に浮き彫りになっている。

安斎氏は1960年にできた東大工学部原子力工学科の第1期生15人の一人だったという。同期生のほとんどが原子力業界に進んだが安斎氏は「原子力の安全が破綻したらどうなるか」ということに関心があり、一人だけ原子力政策を批判する立場になったそうだ。

東大で研究者だった17年間ずっと助手のままだった、主任教授が研究室のメンバー全員に安斎とは口をきくなと厳命し、後進の教育からも外された、研究費も回してくれないので髪と鉛筆だけで出来る研究に絞らざるを得なかった、東京電力から一事研修に来ていた人は、去り際に「安斎さんが原発で何をやろうとしているか、偵察する係りでした」と告白しました、という安斎氏の証言は当事者でなければ語れないことばかりである。

1986年に立命館大学の教授に就任され、2008年から国際平和ミュージアム名誉館長を務められているから学問の世界で立派な業績を挙げておられる専門の研究者だと思われる。こういう立派な研究者が18年間も助手の座に据え置かれていたというのだから、それが如何に理不尽なことかお分かりになると思う。

理不尽なことが罷り通る不思議な世界。これが村社会である。村の掟に背く人が徹底的に排除される理不尽極まりない世界。

村八分と言うのは、こういうことだ。こういう閉鎖的な、風通しの悪いところで育った人は、どこか歪なところがある。既存の原子力研究者の中に巣食ってきた「村社会の論理」を排除していかなければ、本当の学問の発展はないのではないか。

原子力村の存在がいよいよはっきりしてきた。同じように、霞ヶ関や永田町にも霞ヶ関村とか永田町村があるかも知れない。

私達は、まず日本がこうした村社会の論理に犯されていないか徹底的に検証する必要がある。村社会にどっぷり浸っているととんでもない間違いを犯す可能性があるからだ。

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