記事

オリンパスがソニーを選んだ本当の理由

オリンパスが選んだ“支援先”がソニーに正式決定し、両社社長による共同会見が開かれました。今回の支援スキームは統合ではなく資本業務提携。オリンパスの痛んだ財務状況を支援するためソニーはオリンパスに500億円を出資、業務提携に関しては新型内視鏡を開発する会社を両社の出資(ソニー51%オリンパス49%)で設立し、この分野でのシェア20%確保を目指すというものです。

当ブログではオリンパスの支援先として、利用者目線優先で考えソニーではなくテルモを選択するべき(「ソニーとテルモ、オリンパス提携相手選択の肝」http://blog.goo.ne.jp/ozoz0930/e/8f357189807110e45a382c543a1825f6)と個人的見解を述べてきました。しかし今回最終的にオリンパスが選んだのはソニー。何とも残念な結果と言わざるを得ません。

見解を繰り返し詳細に申し上げることはいたしませんが、どうも腑に落ちないのは、オリンパスが何を基準としてテルモではなくソニーを選んだのかということです。私が思うにオリンパスが最も優先したのは、会社運営における主導権の確保であったのではないのかと。すなわち医療機器分野における発展や社会貢献ではなく、あくまでオリンパス経営陣主導での企業の存続だったのではないかという疑念です。

ソニーは当初から資本業務提携の形式を提案していたのに対して、テルモは経営統合の形式での提案を持ちかけていました。世界の医療機器の企業ランキングでは、テルモが12位オリンパスが13位(統合後は世界第5位)。形式上は対等統合になるであろう規模関係ではありますが、あくまで上位はテルモでありかつ支援する側とされる側という立場を考えれば、統合後の経営の主導権はテルモが握ることは想像に難くないところです。

オリンパスは、今回のソニーの資本業務提携に関してすらソニーからの役員の受け入れに難色を示し、それが正式合意を遅らせた大きな原因であるとも言われています。そんな企業風土ですから、相手主導の経営統合など恐らく飲めるような状況にはなかったのでしょう。テルモ社長によれば「テルモとオリンパスが統合しお互いの得意分野を合体させれば、ロボット手術など新分野の創造にもつながる」とされていただけに、患者負担の軽減を推し進める技術革新よりも経営主導権確保を優先したと思える資本業務提携は本当に残念でなりません。

一方、オリンパスが事前にソニーを有力支援先として評価していた背景には、オリンパスのカメラ事業の立て直しが望める相手であることをあげていました。しかし、今回の発表および両社社長の会見を聞く限りにおいて、カメラ事業における共同事業化は不透明感が漂っており、ソニーは医療分野での提携以外はあまり前向きではないと言う印象を受けざるを得ないものでした。この分野でのメリットが早期に見込めないのなら、オリンパスがソニーを選択した理由への説得力も一団と弱くなってしまう嫌いがあるのです。

そしてどこまで行っても、ソニー主導で医療機器分野の新会社をつくるということへの違和感。現在あらゆる事業で利用者目線を失っているソニーが、素人分野で本当に有益な事業を作ることが可能であるのか。「医療分野をソニーの新しい柱に育てる」と平井CEOの鼻息がいかに荒くとも、私はいささか疑問に感じています。オリンパスにとって500億円の資本支援はありがたいものであっても、不安材料ばかりが先立つ業務提携ではないかと感じています。

業界内経営統合による世界第5位への躍進と医療技術革新よりも経営主導権確保を選択したオリンパス。個人的には、この上なく重大な経営の選択に際して判断基準軸を見誤ってしまったように思えてなりません。

あわせて読みたい

「オリンパス」の記事一覧へ

トピックス

ランキング

  1. 1

    ナイキ多様性広告 日本で大反発

    BBCニュース

  2. 2

    行政批判した旭川の病院に疑問点

    中村ゆきつぐ

  3. 3

    扇動行為ない周庭氏を封じた中国

    新潮社フォーサイト

  4. 4

    渡部会見に厳しい声 児嶋も重圧

    女性自身

  5. 5

    秋篠宮さま誕生日に職員2名辞職

    文春オンライン

  6. 6

    欧米との差 医療崩壊は政府次第

    青山まさゆき

  7. 7

    ガソリン車新車販売 禁止へ調整

    ロイター

  8. 8

    科学軽視の感染症対応変われるか

    岩田健太郎

  9. 9

    「TVより動画」霜降り明星の感性

    放送作家の徹夜は2日まで

  10. 10

    「鬼滅の刃」米で成功の可能性は

    田近昌也

ランキング一覧

ログイン

ログインするアカウントをお選びください。
以下のいずれかのアカウントでBLOGOSにログインすることができます。

コメントを書き込むには FacebookID、TwitterID のいずれかで認証を行う必要があります。

※livedoorIDでログインした場合、ご利用できるのはフォロー機能、マイページ機能、支持するボタンのみとなります。