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中露包囲網を作るべき時が来た

香港民主化運動のシンボルである周庭氏に対して、昨年6月に違法集会を扇動し公安条例に違反したとして有罪が言い渡された。届出がないデモなどの政治集会に関して、それを違法として取り扱うか否かは当局の匙加減一つで決まるようなものだ。要は、習近平中華人民共和国国家主席(兼中国共産党総書記)の意を受けた香港行政府が、例外なく徹底的に民主化運動を弾圧する決意を内外に見せたということである。

6月末に成立した悪名高い香港国家安全維持法は、香港住民だけでなく民主化運動にかかわった外国人に関しても、地球上のどこにいても法律を適用する(34条、38条)としているので、中国共産党や香港の現状に批判的な言動をしている外国人が香港や中国本土を訪れた場合、拡大解釈されて拘束される可能性が出てくる。香港の国会にあたる立法会の選挙も新型コロナウイルスの拡大を建前に一年間延期されてしまった。習近平氏に支配された中華人民共和国政府(以後中共と呼ぶ)は国際的非難など無視して「香港の完全制圧」にまっしぐらである。また、日本の尖閣諸島周辺への公船の侵入を含め周辺諸国に領有権圧力を強めるなど、中共は他国から反感を買う恫喝行為を続けている。

我々から見れば、せっかく米国に次ぐ大国となりさらにアメリカがトランプ政権に代わってから国際的な評価を落としているのに、中共が何故他国から嫌がられる行為を続けるのか理解に苦しむ所である。しかしながら、独裁者となった習近平氏からすれば、自国民が他国から遮断されて言論の自由も抑圧している以上他国からの反発などはどうだってよく、自身の独裁体制を強化することが第一なのだろう。逆に言えば、中国をアメリカに代わる超大国に押し上げ中共の価値観を広めて新しい世界秩序をつくるなどということは、習近平氏にとっての本当の目標ではないかもしれない。

「習近平による新時代の中国の特色ある社会主義思想(習近平思想)」なるものや一帯一路構想が、パックスアメリカーナを凌駕する普遍的価値を持つレベルのものではなく、少なくとも外国人には魅力的ではないことは当の本人とて分かるはずだろう。対外膨張政策の真の目的は、国内支配体制を固めるために中国の国際的影響力がこれだけ拡大していると国内に誇示することなのかもしれない。もしそうでなくて、習近平思想を世界に広めようとして行動しているのならばどうしようもなく愚かだが、仮に習近平氏が歴代の中国共産党指導者と異なり個人的に帝国主義的野心が非常に強くて、単に世界一の大国の皇帝になって君臨したいという幼稚かつ前近代的な野望を持っているのだとしたら余計に厄介である。

いずれにせよ、習近平氏に支配された中共が日本を含む西側諸国にとって政治的にも経済的にもまともなパートナーにはなりえないことがはっきりしたのは事実であり、さらに放っておくとあの手この手を使ってこちらを支配しようとするので、中共は封じ込めるしかない。中国よりはるかに経済力が劣るロシア連邦の独裁者であるプーチン大統領も同じような思考の持ち主であり、こちらも同様に封じ込めるべき相手であることは変わりがない。

新冷戦という言葉が生まれてから10年以上経つが、中共・ロシアとG7など民主主義国家との人権・民主主義・表現の自由・公正な経済活動に関するスタンスの違いは、香港の弾圧とロシアでの憲法改正案をめぐる国民投票を経て決定的になったと言える。旧冷戦では旧ソ連や中共は、彼らが科学的社会主義だと考えた共産主義を普遍的な価値として世界に広めようとして西側と対立したわけであるが、新冷戦では中露はそれぞれの独裁者の個人的な野心や国内での体制強化のために対立が生み出されている。昔に比べて相手側の質が下がって国際的な共感が得にくい存在に変化したことは特徴の一つと言えよう。

私は、日本を含む西側諸国は中露と国交断絶すべきだとは思わないが、冷戦期同様に包囲網を敷いて徹底的に監視すべきだと考える。人権・民主主義・表現の自由・公正な経済活動が行われていないという理由で、企業に対しては投資を控えるよう誘導すべきだ。残念ながら、日本国内では与野党問わず中共やロシアに融和的な態度をとる勢力が存在する。与党に関しては誰がそうなのかは言わずもがなであるが、野党に関しては旧民主党のリベラル系にそういう人が一定数いる。親中派と言われる人たちは、もともとは侵略戦争への贖罪意識から日中友好に積極的に関わったのであろうが、取り込まれて赤い帝国の蛮行に見て見ぬふりをするというのは、人権や民主主義を普遍的価値とするリベラルの行動規範に矛盾している。中露に融和的な議員は時代がそれを許さないと認識して早く足を洗うべきだし、国としての意思決定が彼らに左右されてはならない。

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