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「原爆に遭った少女の話」を読んで

毎年、この時期になると戦争や原爆の話題が取り上げられる。
風物詩ともいえるが、「この時期だけ」という違和感もある。
祖母の原爆体験を孫が漫画化したという記事があった。

あの日広島で電車を運転していたのは少女たちだった ドラマ化の名作漫画が公開

75年前に原爆が投下された広島。今も昔も路面電車が交通の主役の街だ。

市内で当時、路面電車を運転していたのは、大人の運転手だけでない。多くの10代の少女らが、運転手や車掌などとして働いていたという事実がある。

広島県が平和情報を発信する「国際平和拠点ひろしま」で、電車を運転していた少女らの姿を描いたノンフィクション漫画「原爆に遭った少女の話」が公開されている。運転手だった女性の孫が描いた。

▼原爆に遭った少女の話

[ブログで画像を見る]

2013年発表の作品だが、知らなかった。
で、電子ブックを購入して読んだ。

作者の祖母から聞いた実話ということで、ちょっと目が潤んでしまう内容だった。
ぶっちゃけ、マンガ作品としての完成度は高くない。全77ページの作品だが、技術的に稚拙な部分が散見され、物語として端折りすぎでもある。

それでも評価できるのは、原爆の悲惨さだけを強調するのではなく、当時の少女たちの日常が描かれ、その時代を生きた思いが込められていると感じたから。この感覚は、「この世界の片隅に」と似ている。舞台も同じ広島だ。

私が一番心にしみたのは、少女を迎えに来た父親と帰れるというときに、先生から残ってくれといわれ、帰りたいと心の中で訴えるシーン。
帰りたいけど、帰れない。
そして、電車を動かすために、働く少女。

個人よりも国が優先された時代。
その国が戦争を始め、個人が国のために死んでいった。
国家とはなんなのか?
国民は国に隷属していた。

どうか、私たちのような戦争が二度と起こらないよう
世界のすべての平和を祈っています

最後のページは、こう綴られている。

日本は75年間、直接的には戦争に参加していない。
しかし、世界ではその後も戦争が絶えず、いまも銃弾や砲弾が飛び交っている国がある。
朝鮮戦争では、戦争特需で日本は経済的に利を得た。ベトナム戦争では、アメリカ軍の補給基地になった。国連、あるいは多国籍軍の旗印で、自衛隊の海外派遣も行われてきた。日本は間接的ではあっても、世界の戦争に関わっている。

世界平和は理想ではあるが、実現の可能性は低い。
武力衝突こそ少なくなったが、国と国の対立は常に起こっている。
おそらく、「国家」という概念があり続ける限り、争いはなくならない。

個人レベルでは、国籍がどこであろうが仲良くできるが、集団として国を背負うと個人の思想よりも国の思想が前面に出てくる。自国が某国を「敵国」あるいは「友好国ではない」と規定すると、某国の国民は「敵」になる。それは75年経ったいまも、基本的には変わっていない。

遠大な理想をいえば、真の世界平和を実現するためには「国境」をなくすことが不可欠だろう。
国境は国の境というだけでなく、人々の境界線でもあり壁でもある。

世界平和は夢想なのかもしれない。

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