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臨時国会、早期召集より、党内政治優先?

「政府・与党、臨時国会は10月以降 早期召集要求応ぜず」という報道がありました。

このニュースによると、政府と与党は、10月までは臨時国会を開催する必要はないとの判断のようです。

政治は、政局優先。地方自治体なら、こうはならないと思います。

新型コロナウイルスの新たな感染拡大が新段階を迎えたり、各地で大雨による自然災害が起きている中、一国の指導者たる総理大臣には、もっと現場で指揮をするとか、国民に向けて熱いメッセージを送るとかしてもらったほうがよいと思うのですが、そんな姿を期待するのは無理なようです。

最近は新聞の「首相動静」(総理の一日)欄でも、官邸に出勤して各界要人の面会を受けたあとは岸田さんらとの会食を除いて「東京・富ヶ谷の自宅」に直帰されていることが多く、国会ばかりか、記者会見に応じない状態が続いているとのことです。

そんな中、野党は、臨時国会の開催を求めていました。

しかし、安倍総理には、秋には、1年後の自民党の総裁選を見据えた幹事長人事が控えていて、そちらのほうが大事なようで、臨時国会はそれを終えてから10月以降とのことで、国民のための政治よりも党内政治が優先されるようです。

このところ、総理や官房長官の発言の中に、臨時国会を召集するかどうかでのいくつかの言葉があったので、この際、制度的なことに少し触れておきたいと思います。

臨時国会の開催

臨時国会の開催を求める声について、総理はこう答えています。
「国会のことですから、与党とも相談して」。

結果としては、与党の都合=自分の都合を優先した格好ですが、原則論・制度論として、「国会のことですから、与党とも相談して」という答えは、正しい? それとも、間違っている?でしょうか。
 
わたしは、正しいようで、間違っているような、どちらともとれる中途半端でヘンな答えだと思います。

国会には、年に1回だけ1月から150日間(延長は1回まで)開催される通常国会と、必要に応じて開催することができる臨時国会、衆議院の解散による総選挙後30日以内に開かれる特別国会とがあります。いま、言われているのは臨時国会です。

どんなときに開かれるかというと、「内閣が必要とみとめたとき」か、「どちらか(衆参いずれか)の議員で総議員の4分の1以上の要求があったとき」です。

ウイルスによる感染拡大や、その予防(自粛等)に伴う生活・経済危機は、第二次大戦後では今ほど深刻な状況はなかったことでしょう。それで、国会を開催する必要性を認めないとは国家の指導者としての資格はないということかもしれません。

だから、国会を開かないとは言わない。

「国会のことですから、与党とも相談して」と言い逃れをするが、総理と与党は仲間内の話です。
それよりも、原則論から言うと、「国会のことですから・・・」というのはおかしい。
だれでも知っている通り、日本の国は大統領制ではなく、議院内閣制をとっていて、国会(議院)で国会議員の中から選ばれた人が総理になります。
議会とは別に選ばれた大統領制なら、「国会のことですから(国会のことは国会でお決めになればよい)」ということになるが、議院内閣制をとる日本では国会召集は内閣固有の権限です。

したがって、「国会のことですから、与党とも相談して」というのは、言い逃れでしかありません。

もちろん、総議員の4分の1以上の求めがあれば開催できるので、是非とも臨時国会は開催してほしいものです。

けれど、「早期召集要求応ぜず」ということで、緊急性はない、というのが政府・与党の考えのようですね。

「閉会中の審査」

菅官房長官はこんな言い方をしていました。

国会は開かなくても、「委員会の閉会中の審議(審査)」をしてもらっているので、関係閣僚は答弁している、だから、臨時国会はいいじゃん、という理屈ですね。

市議会など地方自治体の議会と同様、国会(法案・予算案)も議決するための機関です。
議決は、本会議からの付託によって委員会として審査をした結果を報告する機関である委員会では行えず、委員会の意見を受けて本会議でしかできません。
その意味では「閉会中」ではダメだから臨時国会を開いてもらう必要はありますが、そのためには新たな補正予算案とか法案とかを提出してそれを審議する場ということになります。

それに対して、委員会の「閉会中の審査」は、前々から持っている議案で、前の国会では持越しとなって継続して審査していく案件となったものを審査していく場ということになります。

総理に答弁させたいというのが野党の本音であるだろうし、国民であるわたしたちもそれを期待はしてしまいます。
ただ、国会の予算委員会とか決算委員会を聴いていて、攻め方とか面白いことは面白いのですが、これのどこが予算の審議なのだろうかとか、決算の審議なのだろうかと思ってしまうこともまた事実です。

ただ、切れ目なく、コロナの問題は続いているわけですから、閉会中の審査ができるというのであれば、聞くべきところは目いっぱいあるだろうと思います。

国会と自治体議会(地方議会)の違いは?

国会と自治体議会は似ているし、自治体議会が運営上、国会を真似しているところもありますが、決定的に違うところもあります。

もちろん、全部は書けません(国会のことを知りませんので)。

いちばん、違うところは、自治体は大統領制のような形態をとっているので、首長を議会の中から選ばず、直接、有権者が選んでいるところです。
(戦前というか、終戦直後までは、議会の中から選んでいました)

昭和22年(1947年)に地方自治法が施行されて、現在の体制となりましたが、一部に戦前の体制を残した部分もありますので折衷されたところがあり、国会と似かよっていて、自治体の議員が国会議員を真似してしまう一面があります。

その最大の悪弊は、自治体議会の議員の中には、首長に対して自分は“与党”であるという意識を持ってしまう人が伝統的に多いことです。

それはさておき、制度論では、首長のほうに議会の招集権がある点も、国会と同じです。
自治体では、議会は、首長とは別の代表機関なのに、議長ではなく、首長のほうに招集権があるといのは矛盾した話です。

地方自治体の議会は?

自治体の議会は、長年、年4回の定例会というパターンが続いていましたが、いまは年中開催してもよいという法律(地方自治法)に変わっていますので、招集権は首長にあっても首長が開催を嫌がって開催されないということは防ぐことができます。
これは、鹿児島県阿久根市の市長が議会の開催を拒否し続けたことに端を発して法改正があったためです。

議会の年中開催を地方自治法では「通年の会期」と読んでいます。そのもとでは、議会の会議のことを「定例会」(国会の通常国会)とか臨時会(国会の臨時国会)とは呼ばず、条例(自治体レベルの法律)によって決めた日から翌年のその日の前日まで)を1年中ぶっ通しで会議の日を決めることができるので、首長が「議会なんて開かないモン!」と逃げを決め込むことはできない仕組みとなっています。

通年議会の制度をとらず、従来通りの定例会や臨時会を開いている議会で臨時議会を開きたいときは、議員の4分の1以上の数で請求があった場合、首長は20日以内に議会を招集しなければならないと地方自治法で決まっています。

自治体議会の閉会中の継続審査

議会が通年議会になれば“閉会”している期間はなくなるので、常任委員会は、開会中いつでも継続して審査することができます。

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