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  • ロイター
  • 2020年08月04日 11:50 (配信日時 08月04日 11:41)

アングル:「米大統領選、紛糾」の大荒れ相場に備える投資家


[ニューヨーク 31日 ロイター] - 今年11月の米大統領選について、金融市場では勝敗の判定が紛糾するとの見方が広がっている。投票結果を巡る混乱が市場のあちこちでボラティリティー増大につながると懸念されており、早くもヘッジに動く投資家も少なくない。

アナリストらによると、大きなリスクのひとつは選挙の正統性を疑問視しているトランプ大統領の出方だ。ロイター/イプソスの世論調査によると、民主党候補指名が確実なバイデン前副大統領はトランプ氏より支持率が9%ポイント優勢で、まだ投票先を決めていない有権者からも大きなリードを得ている。

「開票結果を巡ってはひどいことが起きそうだ。ボラティリティーが大きく高まるだろう」と話すのは、ジャナス・ヘンダーソン・インベスターズのグローバル債券ヘッド、ニック・マロートソス氏。同氏は、そうしたリスクは極めて短期的で、「期間としては2週間ぐらいを見込めばいいのではないか」という。

こうした懸念をさらにかき立てたのは、トランプ氏の7月30日朝のツイッターだ。同氏は「適切で確実で安全な投票」が確保されるまでは11月3日の投票を延期すべきだと示唆するとともに、郵送投票を含む選挙結果は信用しないと主張した。もっとも不在者投票については、おおむね郵送で行われるのだが、問題はないとしている。

今回の大統領選の予備選では、投票者の5人に1人が郵送で済ませており、この数は11月の本選では少なくとも2倍になると予想されている。

このツイートで、30日の米株式市場では一瞬、反射的に売りがかさんだが、その後は値を戻した。しかしデリバティブ市場では、本選後のボラティリティー上昇リスクを織り込む動きが進んだ。

<延期の有無より判定混乱がリスク>

大統領には連邦選挙の期日を変更する直接の権限はない。権限があるのは連邦議会だ。だから、投資家が懸念するのは実際に大統領選挙の本選が延期されるかどうかではない。もっぱら懸念されているのは、投票結果を巡る混乱だ。

本選の翌日に明確な勝者が決まっていなければ、S&P総合500種指数は売りに押されるだろう。S&P500種は、今は3月安値から45%近く上昇し、過去最高値近辺で推移している。

キャピタル・エコノミクスのデータによると、2000年大統領選で当時の民主党のアル・ゴア副大統領と共和党のジョージ・ブッシュ氏(息子)の対立結果がもめた際、投票日翌朝のS&P500種は1.8%下落。その週末までには5%下げた。

カンバーランド・アドバイザーズの最高投資責任者(CIO)デービッド・コトク氏は郵送投票を理由に選挙結果に疑義が出る事態になれば、2000年当時よりも影響は広範囲に及ぶと話す。

2000年の選挙ではフロリダ州でパンチ式投票用紙に開けられた穴の位置を巡って混乱が生じ、ゴア氏が選挙結果に不服を申し立て、再集計を要求した。最終的に連邦最高裁がフロリダ州は州全体で再集計する必要はないとの判断を示し、ブッシュ大統領の勝利につながった。

コトク氏は「今回の大統領選の結果について再びもめることになれば、市場では売りが広がるだろうし、値下がりも急激になるかもしれない」と述べた。

<値下がりリスクをヘッジする動きも>

シカゴ・オプション取引所(CBOE)の不安心理の目安とされるボラティリティー指数(VIX)は7月30日、12月限のオプションで行使価格のコールスプレッドが35と70に乖離した。同指数の急上昇に対するヘッジの動きを示唆する。

サスケハンナ・ファイナンシャル・グループのデリバティブ戦略部門共同ヘッド、クリストファー・マーフィー氏は「こんなにスプレッドが開くことはそうそうない。(大統領選本選が)標的になっている可能性が高い」と述べた。

VIX先物の曲線は過去10営業日では、手前より期先の動きが大きかった。マーフィー氏によると、これも異例なことで、やはり大統領選後の混乱への懸念か、もしくは冬の新型コロナウイルスの感染再拡大への不安を示している可能性があるという。

RBCキャピタル・マーケッツの株式デリバティブ・ストラテジスト、アミー・ウー・シルバーマン氏よると、S&P500種を巡っては7月27日の週の初めからデリバティブの手口の偏りが大きくなっており、値下がりリスクへのヘッジ需要の高まりを示唆している。本選後を巡る懸念などから投資家がヘッジを今年末まで伸ばしているという。

もっとも、大統領選の投票による影響が市場に出たとしても、それは一時的にすぎないかもしれない。マロートソス氏は「ボラティリティーの高まりは2、3週間で収まるとみるため、ポートフォリオの構成を大幅に変えるつもりはない」と話した。

(David Randall記者 April Joyner記者)

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