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音楽業界を変える、インディー音楽の新勢力とは?これからのアーティストと向き合う音楽企業一覧 2020年版

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米国の音楽ビジネスメディア、ビルボードは先日、2020年版の「インディー・パワー・プレーヤーズ」リストを公開しました。

このリストは、音楽業界で成功している、インディペンデント・アーティスト向けの音楽企業75社の実績を評価して作られています。

日本ではなかなか紹介される機会もなく、話題にもならない会社が並んでいるので、インディペンデント・アーティストや、レーベル、音楽業界の方も今後のヒントになればと思いまとめてみました。

「インディー・パワー・プレーヤーズ」リストで紹介されるのは、アーティストではなく、インディー音楽企業の起業家や経営者です。

選ばれているのは、インディーレーベルや、マネジメント、レーベルサービス、ディストリビューター、インディー音楽を支援する業界団体の75社が今回選出され、長く実績ある企業から、ここ数年で急成長した新興勢力までが網羅された、インディー音楽業界の勢力図が垣間見えてくるはずです。

リサーチ会社、MIDiA Researchの推測によれば、2019年の世界での音楽売上で、インディペンデント音楽カテゴリーからの売上(デジタル、フィジカル、ライセンス売上)は、ストリーミングが好調なおかげで、全体の29%を占めるまで成長しているといいます。

また、インディペンデント音楽の成長速度は、メジャーレコード会社の売上比率(前年比22%)を上回る勢い(前年比39%)で、売上が伸びていると推測しています。

進化し続けるインディー音楽のビジネスモデル

インディーズのビジネスモデルは近年、劇的な変化を遂げています。

ドレイク(OVO Sound)やトラヴィス・スコット(Cactus Jack)、BTS(Big Hit、The Orchard)のようなチャートを席巻するアーティストや、Roddy Ricch(Bird Vision、Kobalt)のような若手アーティストの活動も、インディペンデント・アーティストのビジネスモデルとしても分類できます。

今では、単純にメジャー対インディーというパワーバランスで、現代の音楽業界で成功する方法を語ることはできません。

なぜなら、インディーズで活動するアーティストの中でも、メジャーレーベルや、メジャー系ディストリビューターと契約するビジネス形態が増えつつあり、その契約の中身も多様化しているからです。幾つかのアーティストで見てみましょう。

ドレイクは、自身の作品のリリースでは、ユニバーサルミュージック傘下のリパブリック・レコードとディストリビューション契約を結んでいますが、OVO Sound作品は、ワーナーミュージック傘下のワーナー・レコードとディストリビューション契約を結ぶという、世界市場にリーチするための流通網をメジャーのネットワークを通じて確保しています。

メジャーレーベルの影響力と資金力(予算)を利用しながら、インディペンデントな活動と、自身の権利の保有を続けています。

トラヴィス・スコットは、ソニー・ミュージック傘下のエピック・レコードが、ディストリビューションやマーケティングなどの機能を担いつつ、自身のCactus Jack Recordsで著作権とブランドの管理を自由に行いマネタイズしているため、インディペンデントとメジャーのシナジー効果を上手く見出すアーティストの現代版と言えます。

インディペンデントな音楽活動の延長線で云えば、『フォートナイト』とのコラボレーションで、楽曲を含んだUGCを視聴者に作らせ、自由に共有できるのも、トラヴィス・スコットが楽曲をメジャーレーベルに独占管理させない契約を持っているから実現できた取組みと言えます。

BTSとBig Hitの場合、アメリカではソニー・ミュージック傘下のコロムビア・レコードと契約しましたが、BTSのプロモーションをコロムビアのチームが担当する契約で、レコード契約ではありません。

またBTSの日本でのCD/DVD販売とプロモーションはユニバーサルミュージックが行う契約を結んでいるように、地域によって契約するメジャーレコード会社を変えています。

またK-Popアーティストでは、BTS(Big Hit)はThe Orchard、NCT 127やSuperM(SM Entertainment)はCaroline Distribution、TWICE(JYP Entertainment)はリパブリック・レコードと、グローバル展開力とデジタルマーケティング機能を持つディストリビューターやレーベルと戦略的に契約するケースが近年は増えてきました。

こうしたアーティストの成功は、「インディペンデント=DIYアーティスト」のイメージとは異なるレイヤーが存在することを意味しています。

また、インディペンデントなアーティストの活動領域は、ストリーミングやグローバル展開、マネタイズ、著作権ビジネスなどにおいて、ますます細分化と多様化が進んでいることを示しています。

現代の音楽業界では、インディペンデント・アーティストであっても、旧態然のメジャーレーベルの契約条件下で活動するメジャー系アーティストを超える規模の成長やマネタイズ、ビジネス展開、高い自由のクリエイティブが、実現可能になってきました。

DIYな活動からスケールアップやグローバル・リーチを実現するために、ときにはメジャーレーベルと連携して、役割や展開地域を使い分け、シナジー効果を最大化する手法を、現代のインディペンデントなアーティストやレーベルが見つけ出しているのです。

今年以降、新型コロナウイルスの影響で、ツアーやライブのマネタイズができないことに悩まされるアーティストやレーベル、マネジメントが、世界各地で多くいます。

このような状況で、アーティストが求めるアクションを、より迅速かつ効率的に実現していくことが、最重要課題となるでしょう。

そのためには、インディペンデント・アーティスト向きの企業と契約することで、リリースプランやデジタル戦略の再構築から、サブスクリプションの強化、マネタイズ手法の多様化を実現できたり、臨機応変な活動の実現に繋がる選択肢の一つと考えられます。

日本を含む世界各国で、数多くのインディペンデント・アーティストには今、パートナーとして現代的なインディー音楽向けの企業が求められるのです。

インディー音楽業界の課題は、メジャーと同じ

75社の内訳をまとめると、(これはメジャーの音楽企業と同様)欧米のインディー企業が多く選ばれていますが、その他の国からは韓国のBig Hit(BTS、TXT)、JYP Entertainment(TWICE、Stray Kids、日本のSMJと共同プロジェクトのNiziU)、中南米のレーベルやマネジメントが選ばれています。

また、ヒップホップやR&B市場に強いレーベルサービスや、ディストリビューターも選ばれており、ストリーミングや動画戦略、SNS戦略でグローバルでの成功を収めたK-POPやラテン系アーティスト、ヒップホップの勢力拡大に、インディーズが多大な貢献を果たしてきたことを示しています。

ですが、別の視点でリストの内訳を見ると、インディー音楽業界も、メジャーレコード会社と同じ課題に直面していることが伺えます。それは、女性エグゼクティブの欠如で、インディー音楽業界の経営者層における男女比の問題です。

実際に、リストで選ばれた75社・126人のエグゼクティブの内訳では、女性はわずか19人、男性が107人と、経営者層の男女比に偏りが見えます。これは、メジャーレコード会社でも見られる、音楽業界全体の問題です。

メジャーレコード会社のレーベル、音楽出版社のトップエグゼクティブは、多くが男性で占めらているのが現状です。

こうした課題は、女性のキャリアアップや育成の機会や、女性のロールモデルを増やすこと、男女平等を推進することへの議論に繋がっていますが、音楽業界で是正が求められる問題を変えるには時間を要するはずですが、メジャー、インディー問わず解決に向けて行動を起こさなければならない

普段、メディアの派手なヘッドラインで取り上げられる機会は少ないインディー音楽企業ですが、激変が続く音楽の世界で、新しいアーティストの成功と成長が続く背景には、アーティストに最大限のチャンスを与えるインディー音楽企業の存在抜きでは実現できないでしょう。

リスクを取りながらチャレンジを続けるインディー音楽企業の役割に、注目が集まっています。

リストの75社とエグゼクティブ126人は以下の通りです。

レーベル・カンパニー/マネジメント

マタドール・レコード
パトリック・エーモリー(Patrick Amory)共同経営者 社長
ジェラルド・コズロイ(Gerard Cosloy)共同経営者 共同創業者
クリス・ロンバルディ(Chris Lombardi)共同経営者 共同創業者

Rimas Entertainment
ノア・アサド(Noah Assad)共同創業者、CEO

Big Hit エンターテインメント
パン・シヒョク(Bang Si-Hyuk)会長、CEO

Big Machine Label Group
スコット・ボーチェッタ(Scott Borchetta)創業者、CEO、社長
アンドリュー・カーツ(Andrew Kautz)最高執行責任者 (COO)

ディズニー・ミュージック・グループ
ケン・バント(Ken Bunt)社長
デヴィッド・アブド(David Abdo)上級副社長 グローバルビジネス・オペレーション&ディストリビューション
カレン・リーバーマン(Karen Lieberman)副社長 セールス&デジタル
チップ・マクリーン(Chip McLean)上級副社長 ビジネスアフェアーズ&ディベロップメント責任者/ディズニーコンサート・ワールドワイド・ゼネラルマネージャー

Real Hasta La Muerte
フラビアン・エリ・カリオン(Frabian Eli Carrión)社長

コンコード・ミュージック
マージ・チェスキ(Margi Cheski)ファンタジー・レコード 社長
ジョン・ストローム(John Strohm)ラウンダー・レコード 社長
アンディ・セラオ(Andy Serrao)フィアレス・レコード 社長、チーフ・タレント・オフィサー
シグ・シグワース(Sig Sigworth)クラフト・レコーディングス社長、チーフ・カタログ・オフィサー

アブコ・ミュージック&レコード
アリサ・コールマン(Alisa Coleman) 最高執行責任者 (COO)

Industria Works / ナスィオナル・レコーズ
トマス・クックマン(Tomas Cookman)CEO、創業者

カーブ・レコード
マイク・カーブ(Mike Curb)会長、創業者

デル・レコーズ
アンヘル・デル・ヴィッラール(Angel Del Villar)創業者、CEO

Big Loud
セス・イングランド(Seth England)共同創業者、CEO
パッチ・カルバートソン(Patch Culbertson)副社長A&R

Paradigm Talent Agency / フォト・フィニッシュ・レコード
マット・ガレ(Matt Galle)フォト・フィニッシュ・レコード CEO / パートナー、Paradigm音楽エージェント/音楽エグゼクティブ・リーダーシップ・グループ
マイク・マーキス(Mick Marquis)フォト・フィニッシュ・レコード 最高執行責任者 / パートナー、Paradigm音楽エージェント

ドミノ・レコード
クリス・ギレスピー(Kris Gillespie)ゼネラルマネージャー

グラスノート・レコード
ダニエル・グラス(Daniel Glass)創業者、社長
クリス・スカリー(Chris Scully)ゼネラルマネージャー、最高財務責任者 (CFO)

Mom + Pop Music
マイケル・ゴールドストーン(Michael Goldstone)創業者、共同経営者
サデウス・ラッド(Thaddeus Rudd)共同経営者

10K Projects
エリオット・グランジ (Elliott Grainge)創業者、CEO

エピタフ・レコード / ANTI Records
ブレット・ガーウィッツ(Brett Gurewitz)創業者、CEO
マット・マグリービー(Matt McGreevey)ゼネラルマネージャー

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