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株に投資なんかするんじゃなかった

あつまろです。

さいきん会社の同僚がこんなボヤキを言っているのを耳にしました。「確定拠出年金(401k)における商品選択では株式を選ぶと良いと聞いていたが、随分(評価額において)損失が出ている。失敗した、株に投資なんかするんじゃなかった」この言葉は個人投資家の思いを表しているように、私には思えます。
低空飛行を続ける株式相場が続いて、保有株の評価額がマイナスになっている。積立でインデックスファンドに投資するなど、日常投資を意識しない個人投資家であったとしても証券会社のWEBサイトにあるパフォーマンス評価を見てみたり、郵送される取引残高報告書を見てゲンナリしている方が多いのではないでしょうか。

この同僚は確定拠出年金を始めて数年、退職までの運用を前提にするのであれば保有期間は30年程度残っているので、このタイミングでのパフォーマンスの高低に一喜一憂する必要は何もないです。それどころか相場低迷時に積立できていることは遠い将来有利になります。しかし、そんな理屈を頭で理解していても、保有株の低迷を目にすると気が塞いできます。急落時は投資しようという気概も、低空飛行している相場を眺めていると意欲が減退していきます。他ならぬ私自身も、そんな心境になっている自分を発見します。

こんなときは、偉大な先達たちの言葉を思い出しながら頭を整理しましょう。

「ピーターリンチの言葉」
最も成功したと言われているファンドマネージャー、ピーターリンチ氏は20世紀前半の世界大恐慌と世界大戦の歴史を引き合いに出してこう述べています。
1929年の大暴落によって、その後20年間、株は大多数の人にギャンブルと思われてきた。1960年代後半になって、ようやく投資対象と認められた頃、株式市場は上がりすぎていてリスクは高まっていた。歴史的に見て、株は投資手段として歓迎される時とギャンブルと見放される時を周期的に繰り返し、皮肉にも投資家の判断は間違ったタイミングでなされてきた。株が賢明かつ適切な投資手段になるのは、実は最もそうは思われている時期、ということになる。


株式投資を運用の要とすることに批判的な思いを持つ人は増えています。まさに「投資手段として見放されている時期」に私たちは立っていると思います。
投資家のなかには逆張りで成功していると自負する人もいる。だれもかわないときに買うというのだが、これは本当の逆張りではない。正しい逆張りとは、誰もが興味を失い、とくにウォール街で誰も株など気にしていないときに拾う、ということである。


今の相場は、誰もが興味を失いかけている状況ではないでしょうか。多くの人は自分がいる現在は「昔と違う特別な時間にいる」と思う人が多いように感じますが、私にとっていまの状況は過去経験した道にしか見えません。

「ジョージ・ソーターの言葉」
「世界的に見ると株式投資で儲かるのかもしれないが、日本株はもうダメだ」と思っている人も多く存在すると思います。しかし、私の見解は「否」です。アメリカ大手投信会社「バンガード」CIO(最高投資責任者)ジョージ・ソーター氏の言葉に耳を傾けてみましょう。
知っておくべきことは、ある国の長期的なGDP成長率が長期的な株式のリターンに影響を与えるとは限らない点だ。例えば1900~2009年の間に、米国の国力が英国を上回ったが、両国の株式のリターンはほぼ同じだった。ある国の成長力が下がっても、その国の上場企業の株価にマイナスになるとは限らない。成長の期待が高い国ほど、株価が割高になってしまうことが1つ。GDP構成要素と、その国の上場企業の利益成長の厳選が必ずしも一致しない


「国のGDP成長≠国の株価成長」と述べています。例えばここ数年の中国とアメリカを例にとると、GDP成長率の伸びは「中国>アメリカ」ですが、アメリカ株式市場は好調ですが、中国株式市場は低迷しています。コカ・コーラやP&Gなどアメリカ企業はアメリカ国内だけでなく中国を始めとする新興国の成長の恩恵を受けています。一方で、中国では成長の恩恵を受ける企業もいますが、過当競争で敗れる企業もいれば、もともと過度な期待で高値となっていた株価が伸び悩むこともあります。GDPの成長と株価の関係はそんな単純なものではないのです。日本国の成長は下がっても、日本企業をミクロに眺めていると成長している企業もあります。ほら、ファーストリテイリングだって海外展開を目指してここ2~3年でみると株価は伸長していきています。最近ではCalbeeも海外進出を鮮明にし、株価は上場来伸び続けています。

「ジェレミー・シーゲルの言葉」
私たち投資家は世間の景気動向に対して大きく影響をうけます。人間は共鳴する生物です。周囲が悲観論一色の中で、ひとり楽観的な見通しを持ち続けるのは確固たる信念があるか、空気が読めないバカのどちらかです。
投資家が最もとってはいけない行動は景況感を後追いすることである。市場のセンチメントが楽観的なときに株式を高値で買い、悲観的な見彼方漂う相場の底入れ間近で売ることになってしまう。


シーゲル博士はこのように述べているとおり、景況感を追い求める勉強熱心な投資家は、空気が読めないバカに劣る可能性すらあります。

「安いときに買う、高いときに売る」
投資は結局シンプルなものです。「安いときに買う、高いときに売る」それだけです。安いか高いの判断がつかないかもしれませんが、判断材料のひとつは景況感です。いまの景況感が良いか悪いかは誰でもわかると思います。大局観を把握しつつ、PERなど株価を測る指標値で確認すれば精度は上がります。株式パッシング(無視)されている現状こそ、長期運用を前提にした個人投資家にとっては好機だと思うのです。行動するか否かは各人の判断ですが、私は萎える自分を説き伏せながら2012年は過去最大額の資金を株式に投資しています。

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