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香港警察、海外の民主活動家6人を指名手配 国安法違反の疑い

香港のイギリス領事館の職員だった鄭文傑(サイモン・チェン)氏(左)や著名な民主化活動家の羅冠聰(ネイサン・ロー)氏らが指名手配された EPA/Reuters

香港警察がイギリスなどの西側諸国へ逃れた民主化活動家6人について、「香港国家安全維持法」(国安法)に違反した疑いで指名手配したと、複数メディアが報じた。

報道によると、指名手配されたのは、香港のイギリス領事館の職員だった鄭文傑(サイモン・チェン)氏、著名な民主化活動家の羅冠聰(ネイサン・ロー)氏、米市民の朱牧民(サミュエル・チュー)氏ら。

香港での反政府的な動きを取り締まる中国の「香港国家安全維持法」(国安法)は6月30日夜に施行された。

中国国営テレビは指名手配された6人は「トラブルメーカー」だと報じた。

香港警察はコメントを拒否した。

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誰が「指名手配」されたのか

中国国営テレビ局CCTVによると、香港の分離独立を扇動あるいは外国勢力と共謀した疑いで、6人が指名手配された。国安法では、いずれの犯罪行為も最高で無期懲役が科される可能性がある。

CCTVが報じた6人は次の通り。

鄭文傑(サイモン・チェン):在香港イギリス領事館の元職員。最近イギリスへの政治亡命を認められた。香港での政情不安をあおったとして、昨年8月に中国大陸への出張中に一時拘束された。チェン氏は中国側の主張を否定。殴打され自白を強要されたとしている。

羅冠聰(ネイサン・ロー):イギリスへ逃れた著名な民主化活動家。2014年の民主化デモ「雨傘運動」を主導し、学生指導者として有名になった。「私の『罪』が一体何なのかわからないし、そんなことが重要だとは思わない。恐らく私は香港を愛しすぎている」とツイート。香港にいる家族との関係を「断つ」ことに失望し、亡命生活を余儀なくされおびえているとした。

朱牧民(サミュエル・チュー):米国市民。「雨傘運動」発起人の1人、キリスト教バプテスト派牧師の朱耀明氏の息子。米ワシントンを拠点とするNGO香港民主委員会を運営する。香港を最後に訪れたのは2019年11月という。

「中国以外の市民が標的にされるのは私が初めてかもしれないが、これが最後になることはない。私が標的になるなら、香港のために声を上げるどんなアメリカ人も、どんな国の人も標的にされるだろう」

黃台仰(レイ・ウォン):2017年にドイツに逃亡し、現在はイギリスにいる、香港独立を掲げる活動家。亡命者の「指名手配」リストは、自分たちのために国際的な支援を集めようとしている民主化活動家を「威嚇」するために作られたものだとBBCに述べた。

劉康(ラウ・ホン):2017年11月に香港の林鄭月娥(キャリー・ラム)行政長官の隣で独立賛成派の幕を振り回して有名になった活動家。現在はイギリスにいる。

「私を逮捕しにイギリスへ来い」と、ジャーナリストのクリス・チェン氏に述べたという。

「私は心配していない。イギリス政府と下院議員たちは民主化活動家を支援してきた。香港政府がイギリスの法を犯せば、直ちに制裁を受けることになる」


陳家駒(ウェイン・チャン):香港独立派の活動家。現在滞在している国は明かされていない。「香港人が直面している状況は、私が直面しているものよりはるかに危険だ。自分の身の安全についてあまり考えられない」とロイター通信に述べた。

民主派の立候補資格取り消しも

香港政府は先に、今年9月に定していた立法会議員選挙を、新型コロナウイルスの感染拡大を理由に1年延期すると発表した。また30日には、政府に批判的な立場の民主派候補12人の立候補資格が取り消された

今回の選挙で、民主派議員は過半数獲得を目指していた。そのため、新型ウイルスを口実に選挙を先延ばしにしたとの批判が上がった。米ホワイトハウスは民主主義を損なうものだと主張した。

香港はかつてイギリスの植民地だった。1997年に中国に返還されたが、「一国二制度」の下、中国大陸にはみられないような独自の自由が保障されていた。

しかし国安法の導入によって、2047年まで認められるはずだった香港の自治が深刻な脅威にさらされていると、多くの香港市民が恐れている。

国安法をめぐっては、イギリスやオーストラリア、ニュージーランドなどが、香港との犯罪人引き渡し条約を停止している。ドイツも7月31日に犯罪人引き渡し条約の停止を発表した。新たな「指名手配リスト」に載っていると報じられた1人は、ドイツに亡命している。

(英語記事 Hong Kong 'seeking arrest' of fleeing activists

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