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分裂から5年「3つの山口組抗争」 一番の勝者は誰だったのか

5月には岡山で銃撃事件があり抗争指定も続く(写真/共同通信社)

 日本最大の暴力団の分裂劇から5年、「3つの山口組」が並び立つ構図が崩れようとしている。泥沼化する抗争はヤクザ社会、そして一般社会にどんな影響をもたらすのか。暴力団取材のツートップ、溝口敦氏(ノンフィクション作家)と鈴木智彦氏(フリーライター)が語り合った。

【写真】長年ヤクザ取材を続ける溝口氏。落ち着いたパープルのシャツ姿

溝口:そもそも一般人が暴力団を必要としなくなったという問題がある。以前なら「あの人がカネを返してくれない、親分さん悪いけど代わりに取り立ててくれませんか」とか、「親分さんあそこの大学の理事長と親しいでしょう、うちのせがれを入れてください」とか、まさに街の世話役としての役割を担っていた。今それを担っているのは、弁護士でしょう。「過払い金の返還は任せてください」みたいな。

鈴木:力の力はなくならないにしても、法律のほうが強くなっている。

溝口:暴力にしたって、昔はヤクザが用心棒をしていたのが、今はガードマン会社でしょう。そこに天下っているのが、警察OBです。警察OBはヤクザの代わりをしている。

鈴木:一方で現役の警察はと言うと、山口組抗争のおかげでこれまで存続の危機にあったマル暴の存在価値が上がった。だから、今みたいに山口組が緩やかに抗争を続けながら衰退していくという活かさず殺さずの状態が、警察全体にとって一番いいわけですね。

溝口:山口組抗争の勝者は警察ということか。

鈴木:ただし、抗争がより細分化していけば、より激化する可能性がある。本当に憎い相手はすぐ身近にいるからです。山健組の中田組長の憎悪は、六代目山口組よりも神戸山口組の内部に向いていると考えるのが自然です。骨肉の争いほど、こじれて激しくなるものはありません。

溝口:それも実社会と同じこと。しばらく3団体の行方を注視する必要がありそうです。

【PROFILE】

◆みぞぐち・あつし/1942年、東京生まれ。早稲田大学政経学部卒業。ノンフィクション作家。『食肉の帝王』で2004年に講談社ノンフィクション賞を受賞。主な著書に『暴力団』『山口組三国志 織田絆誠という男』など。

◆すずき・ともひこ/1966年、北海道生まれ。日本大学芸術学部写真学科除籍。ヤクザ専門誌『実話時代』編集部に入社。『実話時代BULL』編集長を務めた後、フリーに。主な著書に『サカナとヤクザ』『ヤクザときどきピアノ』など。

※週刊ポスト2020年7月31日・8月7日号

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