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幻だった「戦後最長の景気回復」~ なぜ1年半も景気判断が放置されたのか

「内閣府は30日、2012年12月から始まった景気回復局面が18年10月で途切れ、景気後退に入ったと認定した。拡大期間は71カ月にとどまり、08年2月まで73カ月間続いた「いざなみ景気」の戦後最長記録を更新できなかった」(30日付日経電子版 「景気回復は18年10月まで、戦後最長ならず 内閣府認定」

戦後最長の景気回復はやはり「幻」だった。

今年に入ってからの新型コロナウィルスの影響による景気失速は仕方がないこと。問題は2018年10月が景気の山で、それ以降景気後退局面に入っていたことだ。つまり、新型コロナウィルスの影響が出る前までの1年半近くの間、政府も日銀も景気判断を誤っていたことが大きな問題。

安倍総理が年明けに「安倍政権が発足して以降、経済の緩やかな回復が続いています。戦後最長とも言われる経済の回復をしっかりと維持していくことが求められているんだろうと思います」と語っていた通り、政府は月例経済報告で今年の2月まで「景気は、輸出が弱含むなかで、製造業を中心に弱さが一段と増した状態が続いているものの、緩やかに回復している」と景気が回復基調にあるとの見方を示していた。

さらに日銀に至っては、新型コロナウィルスの影響が出始めた3月16日の金融政策決定会合でも「所得から支出への前向きの循環メカニズムに支えられて、緩やかな拡大基調に復していくと考えられる」と景気は拡大基調にあるという判断していた。緊急事態宣言が発出される3週間ほど前にだ。

こうした誤った景気判断のなかで、政府は2019年10月に消費増税を実施したのだ。景気鈍化局面で増税に踏み切れば経済が失速するのは自明のこと。

今回景気の山が2018年10月であったと判断を下したのは内閣府が作る「景気動向指数研究会」だが、この研究会が開催されたのは景気が山を付けた直後の2018年12月13日以来のこと。民間からは既に日本経済は後退局面にあるという指摘がなされているなかで、何故1年半以上も開催されなかったかという疑問が湧いて来る。

消費増税に踏み切る前に開催していれば、景気鈍化局面下での消費増税による無駄な景気失速は避けられたはずである。もし、消費増税実施の足枷になりかねないという忖度から会の開催を先送りしていたり、ドッグイヤーと言われるほど経済の動きが早まっている中で漫然と1年半から2年に1回開催すると決めていたとしたらそれは政治の怠慢である。

また、誰もが新型コロナウィルスの影響による景気悪化を感じ、政府の失政に対する批判が起き難いこの時期を選んで開催したのだとしたら姑息なこと。いずれにしても確かのことは、アベノミクス3本の柱の一つ「機動的な財政政策」も幻だったということ。

新型コロナウィルスによる景気悪化は不可抗力だが、新型コロナウィルスに対する日本経済の耐久力を弱めてしまったのが政府の景気判断の過ち、或いは怠慢だったことは否めそうもない。

政府が躍起になって宣伝してきた「戦後最長の景気回復」は幻に終わった。懸念されることは、景気が減速に向かう中で「幻」の宣伝に躍起になってきた今の政府と日銀に、景気鈍化局面で実施された消費増税と新型コロナウィルスによる景気鈍化二重苦という「現実」に立ち向かう能力があるのかどうかだ。

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