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TikTokに5兆円で買収提案…背景には中国の「国家情報法」が


写真:ロイター/アフロ

 中国企業バイトダンスが運営する動画投稿アプリ「TikTok」に、出資者の一部が買収提案をしている。7月30日のロイター通信によると、評価額はおよそ5兆2500億円だという。

 世界で累計20億回もダウンロードされている人気アプリだが、以前から「個人情報が中国政府にわたる可能性がある」と問題視されてきた。インドではすでに使用禁止になっており、7月に入ると、アメリカのポンペオ国務長官が、米国内での使用禁止を検討中と表明した。

 日本でも同じような動きが起きており、7月28日、自民党の「ルール形成戦略議員連盟」が、「TikTok」を筆頭に中国企業が手がけるアプリの利用制限を政府に求める方針を固めている。

 ITジャーナリストの三上洋氏は、TikTok自体のセキュリティ問題について、「アプリで収集している情報は、基本的にもともとプライバシーポリシーに書いてあるもの。それ以外に、今のところ怪しい動きは見えていません」と語る。

 電話番号やアドレス帳、GPSの位置情報といったデータは収集されるが、これはTikTokに限った話ではない。TwitterやFacebookのようなSNSのほか、さまざまなアプリでも収集されている。

 今年に入り、TikTokを含めた50種類ほどのアプリで、クリップボードの内容が無断で読み取られていた問題が指摘されている。三上氏は「これはたしかに、プライバシーポリシーには記載がなかった話です。ただ、直前にコピーした1つの内容しか収集できないクリップボードから、個人情報が漏れることは考えにくい。そこまで気にしなくてもいいでしょう」と話す。

 それより怖いのは、やはり中国の「国家情報法」だという。中国政府から要請があった場合、企業は情報を提出する義務がある。TikTok側は、こうした指摘に対し、本社をロンドンに移転して、親会社バイトダンスと距離を置くことも計画している。

 だが、そうした主張をすんなりとは受け入れられない事態も起きている。

「2019年11月、アメリカ人女性が、ウイグル人弾圧を批判する動画をTikTokに上げたところ、運営側から削除された事件がありました。運営側はミスだったと苦しい言い訳をしていますが、ミスでそんなものが落とされるわけがない。

 やはり中国政府のコントロール下にあるんじゃないか、様子をうかがっているんじゃないかとの見方が一気に広がり、信用を失いました。情報をコントロールされてしまう恐れは捨てきれない、というのが現状です」(三上氏、以下同)

 こうした背景のもと、使用制限が提言されるまでに至ったTikTok。このタイミングでの買収計画は、どのような意味合いがあるのか。

「出資者としては、当然、今の状況は望ましくありません。どうしても中国の影が見え隠れしてしまうのであれば、きちんと買収をおこない、完全に中国の影を消すべきだと考えているのでは。

 ただ、創業者がどう考えるか……。創業者は中国人ですから、彼が資本を握っている限り、やはり “脱中国” というのは難しいでしょう」

 最近では、日本の企業・各自治体でもTikTokとの連携が増えている。

「若年層へのプロモーションには最適なアプリなんです。音楽やモチーフを提供することで、投稿コンテストといった、参加型の宣伝が可能になりますから。10代~20代前半へアプローチしたい企業は、積極的にTikTokを使用する傾向にあり、実際にかなり成功しています」

 日本で使用制限するとなれば、企業によるプロモーション活動への影響が出てくるほか、法律の立て付けも問題になってくるだろう。TikTokの未来を握るのは、いったい誰になるのか?

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