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《徒然に…》2020年東京大会は簡素化か、中止か 〜「18歳意識調査」から

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日本財団 アドバイザー 佐野 慎輔

この忌まわしき存在がなければ、日本の7月から8月、そして9月は例年に増した歓喜の輪に包まれていたに違いない。新型コロナウイルスの感染拡大は、2020東京オリンピック・パラリンピックを史上初の延期に追い込んだ。いや、なお続く威力は地上最大のイベントにも色濃く影を落とす。

消極的な意見が増えている

1年後、オリンピック・パラリンピックは開催されるのだろうか。中止した方がいい。再延期を考えてもいい。7月24日の本来の開催予定日が近づいたころ、多くの世論調査が新聞紙面に掲載された。

共同通信社が7月中旬に行った全国電話調査では来夏、「開催すべきだ」が23.9%に留まり、「再延期」が36.4%と最も多かった。「中止すべきだ」とする33.7%を合わせれば消極的な意見が大半を占めた。朝日新聞社も同じ時期に全国調査している。こちらは「開催」が33%とやや増えて「再延期」32%、「中止」は22%である。

70歳以上に「開催」支持が多く、40代以下は「再延期」が4割以上と紙面は伝えた。ちなみに共同通信社の調査では60歳以上の高年層で40.3%が「中止」と回答、最も高い割合が示された。中年層(40〜50代)は34.3%、若年層(30代以下)23.5%を上回っている。また若年層の47.7%、中年層36.2%、高年層28.9%が「再延期」を望んでいるという結果だった。

一方、早稲田大学スポーツビジネス研究所と同志社大学スポーツマネジメント研究センターによる共同調査では、「通常開催」との設問に52.7%が「反対」もしくは「どちらかといえば反対」と回答した。この調査は全国18歳以上の2,000人を対象に3度実施され、1回目の45.1%から2回目の47.9%、3回目で50%越えと回を追うごとに否定的な意見が増えていったことがわかる。7月中旬に行われた3回目の調査で通常開催に「賛成」あるいは「どちらかといえば賛成」と答えた人は18.4%に過ぎない。

世論調査は調査対象によって、得られる数値、結果が異なる。共同と朝日の調査でも、共同が「再延期」が多かったのに対し、朝日は「開催」がやや多い。早稲田と同志社のように「通常開催」と問いかければ、否定的な意見が多くなるのは当然の帰結である。ただ後者の調査で、回を追うごとに否定が増えているのが気にかかる。コロナ禍の深刻さがうかがえる結果といっていい。

「18歳」は同年代選手を思いやる

さて、日本財団の「18歳意識調査」である。全国の17歳から19歳までの男女1,000人にインターネットで問いかけた。7月上旬行われたテーマが「東京オリンピック・パラリンピック」―昨年も同時期に調査しているが、コロナ禍という前年には想像もしえなかった事態が反映された結果となった。
大会開催について、最も多かったのが「予定通り開催」の28.0%。以下、「1年延期した22年開催」22.3%、「中止」19.7%、「簡素化して開催」18.5%、「次回大会の24年以降に開催」11.5%と続く。

この数字をマスメディア風の設問にあてはめれば、46.5%が「開催」を望み、「延期」33.8%、「中止」19.7%という結果になる。若い層が開催を前向きに捉えているとみていい。理由としては「中止」「延期」ともなれば、さらに日本経済に悪影響が出るとする答えもあろう。しかし、彼らの場合は同年代、やや年齢が上の世代的に近い選手たちへの共感、共鳴が大きいと考える。同年代の選手たちこそ世代の代表であり、彼らの目標遂行のための努力を実らせてあげたいとする意識ではないだろうか。ある種の自己同一化といってよく、実はそれこそスポーツが持つ価値のひとつにほかならない。

「簡素化開催」の理由にはリスク回避、経済負担の軽減などがあがるが、一方で本来の姿ではなくとも「オリンピック・パラリンピックがあった方がいい」とする思いがあるようだ。地上最大のイベントは代表選手のみならず、観衆にとっても世界を知る格好の舞台となる。そう考えた人たちが高年層より若年層に多いとすれば、開催意義もあるというものだ。若い人たちには「持続可能なオリンピック・パラリンピック」がどうあればいいのか、理想と現実を考えてもらう縁(よすが)としていただきたい。

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