記事

菅原前経産相不当不起訴の検察、告発状返戻で「検審外し」を画策か

1/2

6月30日の記事【菅原前経産相・不起訴処分を“丸裸”にする~河井夫妻事件捜査は大丈夫か】で詳述したように、検察が菅原一秀前経産大臣に対して行った不起訴処分は、公職選挙法違反事件の刑事処分として凡そあり得ないものであった。

東京地検次席検事が行った異例の不起訴理由説明も、犯罪事実が認められるのに罰金刑すら科さない理由には全くならないものだった。

しかも、菅原氏の指示で選挙区内の有権者の葬儀・通夜に香典を持参していた当時の公設秘書のA・B両氏の話によると、彼らは、昨年11月頃から東京地検特捜部の取調べを多数回受けており、現場の検察官のレベルでは、起訴に向けての捜査が行われていたように思えた。

それが、最終段階に来て、捜査を指揮する上司・上層部と菅原氏側と間で、何らかの話し合いが行われ、それを受けて不起訴の方針が決まったようにしか思えなかった。

菅原氏の不起訴処分の前提として認定された有権者への寄附の金額は約30万円とされているが、A・B両氏の供述によって認められる公選法違反の犯罪事実は、3年間で約300万円になることは明らかだった。

2000年に、秘書と共に選挙区内で約1000円の線香セットを551人に配った公選法違反で罰金40万円と公民権停止3年の略式命令を受けた小野寺五典衆院議員の事例との比較からもあり得ない。罰金刑すら科さない「起訴猶予」は、交通違反で罰金も取らずに「お目こぼし」するに等しい。

菅原氏の不起訴処分を他社に先駆けた東京新聞の記事【「法軽視が顕著と言い難い」 菅原前経産相の起訴猶予で特捜部が異例の説明】で、

刑事告発した市民側は、本紙の取材に「公選法違反を認定しながら不起訴としたのは不当だ」として、検察審査会に審査を申し立てる方針を明らかにした。

とされていたこともあり、この時点で、私は

菅原氏に対する不起訴処分については、告発人が、検察審査会に審査を申し立てれば、検察も「証拠上起訴は可能」と認めている以上、「一般人の常識」から不起訴には納得できないとして、「起訴すべき」との議決が出る可能性が高い。それによって、菅原氏に対する「不正義」は、いずれ是正されるであろう。

と述べ、検察審査会で検察の不起訴処分が覆ることを確信していた。

検察による「検審外し」の画策

ところが、その後、実は、検察は、菅原氏の不起訴処分について、検察審査会での審査に持ち込まれないようにする「検審外し」の画策としか思えない、不可解極まりない動きをしていることが判明した。

菅原氏を告発していた「市民」のC氏本人に取材した記者から得た情報によれば、菅原氏に対する告発状は、昨年10月下旬に、東京地検に提出され、その告発を受けた形で、A・B両氏の取調べや他の関係者の取調べ等が行われていたが、不起訴処分が行われる直前に、その告発状が、告発状の不備を指摘する文書とともに告発人のC氏本人に返戻されていたというのだ。

告発事件について不起訴処分を行えば、告発人は、検察審査会に審査を申し立てることが可能だ。ところが、検察は、その告発状をC氏に返戻し、それと別個に、検察自らが菅原氏の公選法違反事件を独自に認知立件した形にして、その「認知事件」を不起訴にしたということのようだ。

そうなると、検察は告発事件について不起訴処分をしたものではなく、検察審査会に審査を申し立てる余地はないということになる。検察が、検察審査会の審査を免れるために、敢えてそのような姑息な手段を用いたとしか思えなかった。

C氏は、新聞出版業を営む会社の代表取締役であり、「国滅ぶとも正義は行わるべし」をモットーに、特に、日本国の中枢に位置し、国政を運営する責にある者、社会的影響力を有する企業経営者に対して、国法の正しい運用を厳しく求めている人物だった。

過去にも、新聞、週刊誌等で報じられた多くの事件について、法を厳正に適用して処罰を行うことを求める告発を行っていた。

私も、過去に、C氏が告発した、日産自動車株式会社代表取締役社長(当時)西川廣人氏に対する不起訴処分について、C氏からの委任を受け、申立代理人として、検察審査会への審査申立を行ったことがあった。

私は、C氏本人に連絡をとった。C氏は、菅原氏の不起訴処分には全く納得できないので、検察審査会への申立てを行う意向だった。しかし、告発状が返戻されているということは、検察庁では、菅原氏の事件を告発事件として扱っておらず、C氏に「不起訴通知」は届かない。

通常、検察審査会への申立ては、不起訴通知を受けて、その事件番号を記載して申立書を提出するので、不起訴通知が届いていない以上、申立ては困難だと考えられた。

私がそのように説明したところ、C氏は、「先生、何とかなりませんか。こんなことがまかり通るのであれば、この国の正義は滅びてしまいます。」と憤慨していた。

「検審外し」を打破する審査申立の検討

私は、C氏から告発状と、検察庁がC氏に返戻した際に添えられていた「東京地検特捜部」名義の書面を送ってもらい、告発状とその書面を精査し、検察が不当に告発状を返戻した上で行った不起訴処分に対して、「検審外し」を打ち破って審査に持ち込む手段がないかを検討した。

そこで、検察審査会法の規定を改めて検討してみた。

検察審査会法2条2項は、

検察審査会は、告訴若しくは告発をした者、請求を待って受理すべき事件についての請求をした者又は犯罪により害を被った者の申立てがあるときは、前項第一号の審査を行わなければならない

としている。「前項第一号の審査」というのは、「検察官の公訴を提起しない処分の当否の審査」のことだ。ここでは「告発をした者」が申立てできるとされているのであり、「検察官が告発を受理したこと」は要件にはなっていない。

告発人が犯罪事実を特定し、正当に告発状を提出しているにもかかわらず、検察官が告発を受理しなかった場合も、「告発をした者」に該当し、その事件について不起訴処分が行われた場合は、審査の申立てが可能なはずだ。

検察審査会事務局にも問合せたところ、告発が行われ、その告発事件について不起訴処分行われたのであれば、審査申立ては可能であり、申立てが行われれば、不起訴事件の特定のため検番(検察における事件番号)については、検察審査会事務局から検察庁に照会するとのことだった。

そこで、検察がC氏に告発状を返戻した理由が正当なものか(C氏が提出した告発状に不備があり「有効な告発」とは言えないものか)、告発された事件について検察の不起訴処分が行われたと言えるか、という点について検討を行った。

検察が告発状を返戻した理由

告発状が返戻された際に同封された「東京地検特捜部」名義の書面では、以下の理由で、「本件告発状においては、犯罪構成要件に該当する具体的な事実が具体的な証拠に基づいて特定して記載されているとは認められない」としている。

(1)告発状記載の「法令の適用」には、その根拠条文として、公職選挙法199条及び同法248条(請負その他特別の利益を伴う契約の当事者である者による選挙に関する寄附の禁止規定及び罰則)並びに同法199条の2及び同法249条の2(公職の候補者等の寄附の禁止規定及び罰則)が列記されており、いずれの寄附禁止規制違反を問題とされるのか不明確であり、また、このうち同法249条の2の各項に罰則の定めがある寄附禁止規制違反については、選挙に関する寄附の禁止違反、通常一般の社交の程度を超える寄附の禁止違反及びこれら以外の寄附の禁止違反等の各種類型があるところ、上記「告発状」記載の「犯罪事実」及び「法令の適用」等からは、これらのいずれに該当する旨主張されているのかも不明である。

(2)「有権者買収行為」である旨の記載や「告発の趣旨」欄の「当選無効に該当する」旨の記載からすると、同法221条等所定の買収罪に該当する旨主張されているようにも拝察され、これらの点がいずれも判然としない。

(3)「犯罪の事実」の疎明資料としては、インターネット上に掲載された雑誌の記事概要をプリントアウトしたと思われるものだけが添付されており、犯罪構成要件該当事実の根拠・資料として十分ではない。

(4)代理人による告発は、刑事訴訟法に規定がなく、認められないと解するのが通説。

あわせて読みたい

「菅原一秀」の記事一覧へ

トピックス

ランキング

  1. 1

    山手線 中国・韓国語表示消えた?

    BLOGOS しらべる部

  2. 2

    ウイルス変異も「運がいい」日本

    中村ゆきつぐ

  3. 3

    お嬢様迷惑ツアーに島が自粛要請

    SmartFLASH

  4. 4

    山下智久 JKモデルとホテル宿泊?

    文春オンライン

  5. 5

    菅氏、朝日新聞の抗議内容を否定

    BLOGOS しらべる部

  6. 6

    韓国の反日は日本にとって好機

    PRESIDENT Online

  7. 7

    文大統領の側近が一斉に辞意表明

    ABEMA TIMES

  8. 8

    第2波よりも怖い米国企業の破綻

    長谷川高

  9. 9

    コロナ死者の多くは平均寿命近く

    名月論

  10. 10

    GoTo混乱収めるのはトップの仕事

    わたなべ美樹

ランキング一覧

ログイン

ログインするアカウントをお選びください。
以下のいずれかのアカウントでBLOGOSにログインすることができます。

コメントを書き込むには FacebookID、TwitterID のいずれかで認証を行う必要があります。

※livedoorIDでログインした場合、ご利用できるのはフォロー機能、マイページ機能、支持するボタンのみとなります。