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Yahoo!ニュース個人の意義~震災で明らかになった既存メディアの限界

Yahoo!ニュースにジャーナリストやブロガー、有識者などの、書き手が参加できる新たなコーナーが誕生した。Yahoo!ニュースといえば、今やどんなニュース番組より、どんな新聞よりも圧倒的にアクセス数の多い、日本一のニュース媒体といっても過言ではないだろう。そこに、大手メディアが取材した記事だけではなく、「個人」が取材した記事も掲載されるという。これはまさに時代の流れを捉えた象徴的な出来事だと思う。

これまでは、新聞、雑誌、テレビなどの大手メディアの記事=信用が高い情報個人がネットで発信する情報=信用の低い情報として捉えられてきた。しかし2011年3月11日でこの常識はあっけなく崩壊した。

電力会社や原発推進する経団連などの大企業から、莫大な広告収入を得ている既存の大手メディアは、原発事故報道や関連情報について及び腰だったと言わざるを得ない。現状を的確に伝えることもせず、東電の回し者のごとく、東電の発表を垂れ流すだけで、現場にはほとんど行かない。原発についての踏み込んだ発言をしようものなら、どこからともなくあやしげな圧力がかかるかもしれない。そういう物言えぬ雰囲気から、メディアの権力の監視機能が働かなかった。

ところがネットでは、ブログ、ツイッター、Youtubeを中心に、専門家が危険を促す発言を連呼した。日本のメディアより、日本の官僚組織より、ドイツの気象庁が発表する、日本の放射能汚染予想の方がはるかに有用な情報で、こうした情報がネットを介して出回った。大手メディアは決して報道しないにもかかわらず。

原発だけではない。被災地報道も大手メディアの限界を露呈した。特定の被災地ばかりを報道し、報道されない被災地が取り残されていった。災害直後こそボランティアが必要にもかかわらず、むしろボランティア迷惑論のようなムードを作り出した。謎の自粛ムードも生み出した。しかし被災者自らがYoutubeで自粛は害悪だと訴えたり、報道されない被災者がネットで支援を求めることで、ネットを介して多くの人に知られるようになったケースもある。メディアが作り上げる絆美談ばかりの報道も、実情はそうではないことが、むしろネットの情報で明らかになった。

原発事故と震災について、大手メディアのステレオタイプ的な報道のあり方が限界であること。むしろ個人のネット情報が時にはるかに有効であることが、明らかになってしまったのだ。

もちろん大手メディアでも素晴らしい報道もあった。ネットの情報でいい加減なものもあった。でも大手メディアのニュースしか知らない人と、ネットの情報を収集している人とでは、明らかな情報格差が生まれたことは確かだろう。

そこでYahoo!ニュースが、大手メディアの記事と同様に、「個人」も重要なニュースソースとして位置づけたのだろう。考えようによっては遅すぎたぐらいかもしれない。震災直後にこうしたコーナーがあれば、ツイッターやフェイスブックを使いこなせる、ネットリテラシーのある人以外にも、多様な物の見方を提供できた可能性がある。

もちろんYahoo!ニュースが加える「個人」とは、誰でも個人ならいいというわけではない。・記事執筆による情報発信を主業とされている方・記事執筆の見識・能力・経験をお持ちの方が条件となっている。ある一定程度の記事執筆能力は、Yahoo側で担保するというわけだ。

しかしこうしたコーナーの存在価値はかなり高いと思う。例えば、Yahoo!ニュース個人の執筆者が、ツイッターなりブログなりで有用な情報を発信していても、どのぐらいの人が見れるかはかなり微妙だ。しかしYahoo!ニュースに取り上げられれば、一桁、二桁、アクセス数が違う可能性が高い。

またYahoo!ニュース個人の執筆者にとって大きいのは、自分の思うとおりの発言をそのまま掲載できることだ。例えば、Yahoo!ニュース個人の執筆者の中には、大手メディアに登場する人もいる。しかし大手メディアが介在することで、肝心要の部分はカットされたりする可能性がある。

広告主に配慮し、広告主批判の部分だけカットするとか、「編集」の名のもと、そのようなことが可能になってしまう。となればマスコミにジャブジャブ金を注ぎ込んでいる、電力会社批判、原発批判などできなくなることも考えられる。もちろんそれが狙いで電力会社は、メディアに大量に広告を出稿していたわけだ。

そうなると自分の主張が100%伝えられないかもしれない。いいようにメディアによってねじまげられてしまうかもしれない。しかしネットなら良くも悪くも、そのままの発言ができる。しかも大手メディアのように、取材してから何日か時間があいてしまうことなく、ネットで即、情報発信できるのは、ニュースにとって大きな強みとなるだろう。

私も昨年、被災地取材をブログで掲載した際、その反響の大きさに驚いた経験があった。首都圏ではほとんど報道されることのない、福島県いわき市の津波被災地の記事を、アップしていたからだと思う。大手メディアのように、宮城・岩手の津波被災地ばかりで、被災者やボランティアの美談ばかりではなく、福島いわきの実情に近い視点で、記事をアップしたことがその理由だと思う。

正直、災害ジャーナリストでもない私のブログが、これほど大きな意義を持つとは思ってもみなかった。被災地に行ったのは取材をしようというより、現場をとにかくこの目でみたいことと、義援金以外に何かできることはないかという点だった。

しかし被災地の実情を記事にあげると、個人ブログであっても、こんな意義があるのかと、はじめて知った。そこで継続的に被災地取材をするようになった。別にどこかの大手メディアに記事を掲載する仕事としてではなく、個人ブログがそのままメディアの一翼を担うことになった。

震災での体験があっただけに、大手メディアの限界とネット情報の意義を考えると、Yahoo!ニュース個人が果たす役割は大きいと思う。

ただ勘違いしてほしくないのは、大手メディアより個人記事がいいわけでもないし、大手メディアと同様、個人記事でも鵜呑みにしてはいけないし、個人記事がすべて正しいこと、いいことを言っているわけではない。当たり前の話だけど。でもニュースを見る側にとって、大手メディアのパターン化されたニュースについて、「これホントなのか?」と疑い、検証する際に、個人記事は非常に参考になると思う。

そういえばこれほどの原発事故の大惨事を起こしたにもかかわらず、原子力規制委員会は、「特定の主義主張を持つ機関の機関紙はご遠慮いただく」フリーランスの記者についても、「どういった雑誌に、どういった記事を書いているかを見て、特定の主義主張を持って書かれている方はご遠慮いただいています」ととんでもないことを堂々と言ってのけた。

これを見てもわかるように、未だ日本は原子力村に牛耳られた大本営発表が流され、既得権益に気に食わない情報は統制されていることが明らかになった。だから大手メディアの「ニュース」だけではダメなのだ。

Yahoo!ニュース個人には大いに期待したい。私もその執筆陣に加わり、多様な見方を提供していきたい。

・最近では、ベビーカーについて書いた私のブログ記事が、Yahoo!の映像ニュースにリンクが貼られており、アクセスが急増していた。Yahoo!ニュースの関連リンクに、私のブログ記事は度々取り上げられています。ただ連絡があるわけじゃないので、私がたまたま見つけない限り、わからないのですが。

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