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戦いの先手を打つ

大阪府の吉村知事が臨時の新型コロナウイルスの重症患者向け臨時医療施設「大阪コロナ重症センター」(仮称)を、大阪急性期・総合医療センターの敷地内に整備すると発表された(産経)。地味だが,実はさすがというニュース。

さすがというのは2点。

重症者用施設は,医療関係者に話を聞くと,臨時施設の方が望ましいという。

動線を一般患者と完全に区分けでき,医療スタッフも管理を徹底しやすいからだという。なるほど,とその時思った。被感染者が紛れ込むこともないし,スタッフも施設が一般病棟と完全に別であれば出入りの際に感染防御を徹底できる。中国だけでなく,フランス,NY,日本でも千葉県で臨時施設が設けられたのにはそういった理由もあったのだ。念のため述べれば,千葉の例など見ても臨時といっても設備に変わりはない。

もう1点は,転ばぬ先の杖。

実は,今の状況では,東京都だけでなく大阪府も,新規感染者数の増加数ほどには重症者数は増えていない。重症化率が4月頃より明らかに低下しているからだ。下の図は東京都の重症者数増加に,その10日前の新規感染者数を重ねたグラフ(青山まさゆき事務所作成)。7月12日の重症者増加数(0人)にその10日前である7月2日の新規感染者数を青棒で並べてある。なぜ10日前かというと一般的に発症から重症化まで10日ほどかかるとされているので,そのタイムラグを考慮したものである。一目瞭然だが,新規感染者数が100人になっても200人になっても重症化はほとんどしていない。7月12日~23日の新規感染者数累計1754人に対し重症者増加数累計は17人。1%未満だ。

マスコミに登場する識者は,重症化にはタイムラグがあるので,そのうち重症者数も増加すると言っていたが,いつまで経ってもその姿は見えてこない。

しかし,である。冬にもその姿であれば良いが,その様相はまた変化をする可能性はある。ここで再確認が必要なことは,ドイツ・メルケル首相が3月に国民に向けて発表したとおり,新型コロナウイルスとの戦いは,「医療システムを守る戦い」。高齢者などの重症化しやすい層を守るために医療システムを守ることが肝要。戦いにおいては,余裕があるうちに先手を打つことが大事であり,今,重症化率が低く色々な対策を取れる余裕があるときにこそ,先を見据えた具体策を整備しておくことが何より大事なのだ。

以上の意味で,国民誰もが「今なぜ?」と首を傾げるGoToキャンペーンを繰り広げる政府や,言葉だけで具体策が見えてこない都知事に比べて,着実にこの戦いを優位にすべく布石を打っている大阪府の姿勢はさすが,なのだ。

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