お世話になったみなさま、ありがとうございました。
僕らは、通常2年。短くて1年、長くて3年で人事異動があり、これまで経験させていただいたどの業務も思い出深いものでしたが、今回はひときわ思い出深く、また勉強になった1年でした。
1 政と官の接合点
役所には、大臣、副大臣、政務官といういわゆる政務三役と言われる政治家の幹部がいます。その分野のエキスパートの方ばかりですが、巨大な役所の組織に単身で入ってくるために、政務三役と役所組織の意思の疎通を円滑にするために、役所の職員から秘書官という人がつきます。その間は、もちろん役所の人間ではあるのですが、ボスがどの政策に力を注ぎたいのか、ボスの意向をいかに正確に役所に伝えて、実現するか、ということを必死に考えています。
2 政治の迫力
秘書官になる前から、政治家の方と一緒に仕事をする機会は、それなりにあったわけですが、それは、厚労省の官僚として政策の説明をしたりする場面がほとんどでした。自分にとっては、
・ 政治家の人と一日中一緒にいることも
・ 政治家の人の立場でものを考えるということも
・ ボス以外のたくさんの政治家の方とご一緒することも
その、どれもが初めてのことでした。
そこで、感じたのは、政治家の人は、みんな一生懸命それぞれの正義を実現しようとされているということです。100人いれば、100の正義があるので、意見の違いはあると思いますが、それぞれの立場で国のことを必死に考えているのだということを感じたことが何度もありました。
3 政と官の政策的感覚の違い
官僚(というか政府)ももちろん一生懸命国のことを考えていますが、少し観点や立場が違う面があるのだろうと思います。役所というのは、高度に中立性と継続性が求められます。当たり前ですが、お世話になっている人だからおまけをするとかいうこともできませんし、かわいそうだから、「今回だけ特別に」ということも不公平になるので、なかなか難しい面があるのです。さらには、急に変えた時に、その影響を大きく受ける人はいないかということを気にする面もあります。
つまり、制度の側から理屈が立つかという観点を強く持っているように感じます。
一方で、政治家の人が制度について語るときは、背景に、その制度の利用者やお金を出している人たちの生の声があることがほとんどです。
両方が大事で、このバランスがとても難しいのですが、すべての生の声をとりいれることは、逆の声がある以上難しい面がありますね。
また、制度の理屈に固執しすぎれば、本来救うべき人を置いていってしまうかもしれません。そうなっては本末転倒ですね。
この両方の視点を持てたことが何より勉強になった点だと思います。
これからどんな分野を担当しても、変化を恐れずに生の声をどうやったらマイナス面やリスクを抑えつつ実現できるのかということに知恵をしぼっていきたいと改めて感じています。