記事

携帯電話の官製値下げは、「落胆(楽天)モバイル」失速で風前の灯火

1/2

「そう言えば…」の話なのですが、安くなると言われてきた携帯電話料金が実際に安くなったという実感がありますでしょうか?

菅義偉官房長官の「日本の携帯電話料金は4割安くできる」発言から約2年。私も含め大半の人は、携帯電話の料金が安くなったという実感は未だ得ていないのではないかと思っています。

本来、昨年10月「第四のキャリア」楽天モバイル(以下楽天)の登場を機として、大改革が進められる見通しであった携帯料金官製値下げはどこへ消えてしまったのか、その事情と今後の見通しを探ってみましょう。

新料金プランに変更しても”4割値下げ”ならず

Getty Images

菅発言を受けた携帯料金引き下げは、昨年4月に業界トップのNTTドコモ(以下ドコモ)が先行しました。複雑な料金プランを2つに絞り込み、「新プランでは最大4割安くなる」という触れ込みでのスタートでした。

注意点は、このプランと引き換えに携帯電話機購入時の値引き上限が2万円に制限されたので、プラン見直しと同時に携帯端末を買い換えた場合、月々の負担は大きくなるケースもあるという点。

すなわち月々料金が確実に安くなるのは、携帯を買い換えずに料金プランのみ見直ししたケースに限られます。

ちなみに昨夏にこの新料金プランに切り替えた我が家は、4台契約で月平均24,000円の携帯料金が21,000円代に下がりましたが、料金値下げ率は1割程度。

4台の個別契約が一律にギガホと言われる契約に移行したからなのか、料金構造に明るくない私にその理由の詳細は判りませんが、スタッフの説明に沿った変更ではこの値下げが限界でした。

恐らく新料金プランに移行した世の大半の方々も同様の状況にいるように思いますし、自らプラン変更を申し出ないと安くならないことすら知らない人も多いかもしれません。

さらに我が家もこの先4台のうち1台でも携帯を買い換えたなら、以前の料金を上回ることが想像に難くなく、今回の新料金プランへの変更の恩恵は決して大きくはない印象でした。

「期待の改革者」になることができなかった楽天モバイルの罪深さ

共同通信社

auやソフトバンクはどうなのかといえば、楽天参入に合わせた値下げを予定していましたが、結局現時点まで値下げを見送っています。

料金値下げ競争の起爆剤となると見られていた楽天の新規参入が半年先延ばしとなったことに加え、「我々はもう値下げの宿題をクリアしている」(高橋誠KDDI社長)とドコモの新料金水準には既にあるということが、その理由です。

すなわちau、ソフトバンクの利用者は官製値下げ騒動の恩恵を受けることなく現在に至っているわけです。

しかも、この騒動が「携帯キャリアもうけすぎ批判」に端を発しているにもかかわらず、20年3月期で約2割減益となったドコモに対して料金を据え置いたau、ソフトバンクは、増益を計上するという珍現象まで起きているのです。

この問題で最も罪深いのは楽天です。2018年に総務省から携帯電話事業への参入が認可され2019年10月のサービススタートが予定されていながら、基地局整備で目に余る遅れが続き、3度もの行政指導を受けた挙句、結局半年のサービス開始延期となりました。

しかも、スタート延期決定後の試験サービス提供においても通信障害が起きるなどトラブル続きで、「期待の改革者」イメージはすっかり地に堕ちてしまいました。

4月のスタートを前に満を持して発表されたプラン「月2980円でデータ無制限」は、対象が自社回線利用時のみという中途半端さで、楽天の登場に期待していたネット上の携帯へビーユーザーたちからは、“落胆モバイル”との批判まで出される始末。

この料金体系には先行3キャリアからも、「楽天対策は2~3年後でいい」(寺尾洋幸ソフトバンク常務)、「条件付き料金で比較対象外」(吉沢和弘ドコモ社長)、「無制限は誇大表現」(高橋誠KDDI社長)と冷ややかな意見が相次ぎ、動じる気配は全く感じられなかったのです。

あわせて読みたい

「楽天モバイル」の記事一覧へ

トピックス

  1. 一覧を見る

ランキング

  1. 1

    国会終盤戦は荒れ模様。一部野党の審議拒否連発で、非生産的な国会運営が続く…

    音喜多 駿(参議院議員 / 東京都選挙区)

    05月15日 08:35

  2. 2

    「最も忙しい四大臣、待ちぼうけ」官房参与の“嘘”追及で立民らが退席 80分超える空白の時間

    BLOGOS しらべる部

    05月14日 18:36

  3. 3

    ガザ地区の友人から届いたメール「地獄と同じ。なす術も行くあてもない」

    田中龍作

    05月15日 09:35

  4. 4

    変異株の真実/感染力は増して若干の軽症化が数字からの結論

    青山まさゆき

    05月14日 22:10

  5. 5

    無策を繰り返す政府からの休業要請にエンタメ界が上げた「狼煙」

    松田健次

    05月15日 08:03

  6. 6

    コロナ禍で「肺炎死亡者が減少」の謎

    自由人

    05月14日 08:12

  7. 7

    トヨタが増益を確保したもう一つの理由

    片山 修

    05月13日 17:29

  8. 8

    「バカにした笑いでした」光浦靖子の悲痛な告白に広がる同情

    女性自身

    05月14日 09:14

  9. 9

    新型コロナ対策、政府はいったい何を間違えたのか

    田原総一朗

    05月14日 16:34

  10. 10

    中止・延期・無観客のツケを払うのは国民 東京五輪反対論に安易に乗れない理由

    NEXT MEDIA "Japan In-depth"

    05月14日 12:42

ログイン

ログインするアカウントをお選びください。
以下のいずれかのアカウントでBLOGOSにログインすることができます。

コメントを書き込むには FacebookID、TwitterID のいずれかで認証を行う必要があります。

※livedoorIDでログインした場合、ご利用できるのはフォロー機能、マイページ機能、支持するボタンのみとなります。