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「夫は死にたい気持ちに共感した」大久保容疑者の妻が語る“安楽死請負の動機”【京都ALS女性嘱託殺人】 - 「文春オンライン」特集班

都内にEDクリニック開業「彼は医者というよりビジネスマン」知人が語る山本容疑者の素顔【ALS女性嘱託殺人】 から続く

「ツイッターのことも、事件のことも、お金を受け取っていたことも知りませんでした。私は、時間を切り売りして医療行為をする行為、外でのアルバイトをずっと反対していたので主人は隠れてやっていました。(共犯の)山本という医師もまったく知りません。昨日の夜も朝も様子は普通でしたし、連行されるときも引き継ぎのことを話したくらいです」(大久保三代氏)

妻は「魔の2回生」と同期

 筋萎縮性側索硬化症(ALS)の患者女性(51)の依頼を受け、殺害した疑いがあるとして7月23日、京都府警に逮捕された医師の大久保愉一容疑者(42)と山本直樹(43)。逮捕を受け、7月23日に大久保容疑者の妻である元衆議院議員の大久保三代氏(43)が、夫が経営していたクリニックの前で「文春オンライン」の取材に応えた。


大久保容疑者 (クリニック公式サイトより)

 大久保容疑者が三代氏と結婚したのは2011年。その翌2012年、三代氏は自民党の推薦で宮城5区で衆議院選挙へ出馬。対立候補に3万票の差をつけられたが、比例で復活当選を果たした。かつて「魔の2回生」と呼ばれた、宮崎謙介、金子恵美、豊田真由子、中川俊直らと同期でもある。

「議員として活動していた三代氏ですが、2014年の衆議院選挙で党から公認を貰えず出馬を断念。2015年以降は仙台市議会議員選、宮城県議会議員選、仙台市長選などに立候補したがどれも落選しています。最近では今年7月12日の名取市長選にも出馬しましたが、現職市長に大差で敗れ落選している。

 夫の大久保容疑者はこれまで妻の選挙を支えていたが、周辺では“変わり者”として有名だった。三代氏の相手陣営の演説会場に乗り込んで旗を振ったり、罵声を浴びせたり、過激な行動をとっては目立っていました」(地元紙記者)

選挙では「大久保三代の夫です」と演説

 大久保氏は厚労省を退職後、東北の複数の病院に勤めていたが、2018年に名取市内でクリニックを開業。現在は撤去されているが、当初はクリニックの外壁には妻・三代氏の名前が大きく書かれた看板が掲げられていたという。

「大きな建物ですし、当初は名取市長選に向けたクリニック兼自宅なんじゃないかと思っていましたが、三代さんはここに住んではおらず、普段は仙台市泉区の別宅に住んでいるようでした。旦那さん(大久保容疑者)は庭の草刈りをよくされていて、真面目な感じの方。見た目はとても大人しそうな方ですよ。クリニックは大きくて立派ですが、国産の車に乗って、いつも質素な服装でした。

 別居していたようですが、夫婦仲はよかったのかな。先日の三代さんが出馬した(名取市長)選挙のときも、選挙カーに乗りながら『よろしくお願いします、大久保三代の夫です』と大きな声で演説して手伝っていました」(クリニックの近隣住民)

クリニックは”いわくつき物件”

 しかし、クリニック開業当初は患者が集まらず、苦労していたようだ。

「クリニックは開業から1年くらい、まったく患者さんがいなくてね。それというのも、クリニックが入った建物が、前に住んでいた方が立て続けに不幸な死を遂げて売りにだされた“いわくつき物件”だったから、みんなおっかなくて近寄らなかった。でも庭に薬草を植えたり看板を変えたりして、雰囲気がよくなってきた。ここ1年くらいは患者さんも来ていたようですよ」(同前)

 クリニック周辺の近隣住民によると「旦那さんがお子さんと遊んでいるところを見かけたことがあります。家族と穏やかに過ごしていました」という。しかし大久保容疑者には“別の顔”があった。

 Twitterでは《ナイチンゲールと誕生日一緒なんだけど、だーれも祝ってくれない。》と発言する大久保容疑者だが、患者や病院経営に関するツイートは常軌を逸している。

「精神科の個室にコロナ患者を入れるのが最適解」とツイート

《「帰りたい」(家なんかない)「妻を呼べ」(とっくに死んでいる)「通帳よこせ」(ただの生保)とかいう不穏爺さん。「もうすぐおむかえくるからね(あの世から)ニチャア》(4月5日投稿)

《精神科の個室にコロナ患者を入れるのが最適解かもな 大学では》(6月27日の投稿)

 Twitterで大久保容疑者とやりとりしていたという人物がその印象を明かす。

「大久保容疑者は高齢者の命をつなぐための延命治療に否定的で、その考えには同意できたのでフォローしていました。いつだったか、《延命治療は一切しない。食べられなくなったら食べないで、ただ静かに死ねる施設を作りたい》といった内容をツイートしていた。

本気がどうかわかりませんが、働く人も探し、《場所は確保した》と仰っていたので興味本位で場所を聞いたところ、《東北です》と言っていました。極端ではありますが、思想のある医師だなという印象でした。ただ最近は老人を憎んでいるかのようなツイートも増え、心が沈んでいるのかなと思っていました」

報道を受け、会見を開いた大久保氏の妻

 大久保容疑者はなぜ嘱託殺人に手を染めてしまったのだろか。7月24日、妻である三代氏は大久保氏の経営するクリニックで会見を開いた。

「(名取市のクリニックは)終末期の人のリラクゼーションのためのホスピスをつくるつもりでいたけど、人が集まらなかった。京都の方かはわからないが、遠方に住むALSの方から相談を受けて、ここ(クリニック)の下に住んでもらいたいみたいな話はした。2月には塩釜の保健所に重度訪問介護施設の申請をしていた。

 彼は『死にたい』とよく口にしていました。結婚1年目には鬱っぽい症状がでていた。特に(毎年)2月頃に気持ちが落ち、4月には手すりで首を吊ろうとすることもありました。死にたい気持ちと戦っていたから、(京都のALS患者女性に)共感したんじゃないか。

 2016年にアスペルガーの診断を受けたが、空気が読めず、記憶が飛んだりして、子供のころから対人関係が上手くいかないことが多く、悩んでいた。厚労省に勤めていたときも、『課長補佐なのに部下に仕事をふれない。こんな俺に出世はない』と言っていた。

 ただ現在、夫は勤務医としても働いていて月収100万円はあったし、私の選挙活動にもお金は使っていない。夫の趣味も鉄道を撮ることとアニメを観るくらいのことだったので、お金には困っていませんでした」

 捜査関係者によると「大久保容疑者と患者女性とのSNSでのやりとりが始まったのは一昨年の年末ごろ」だという。

(「文春オンライン」特集班/Webオリジナル(特集班))

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