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ここからの負のスパイラルを止められるか?

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思わぬ形で「第2波」が来ている。

長く続いた「緊急事態宣言」の反動で、人が街にどっと繰り出すようになった6月初め頃の光景を見た時から、そこはかとない不安は抱いていたし、東京都下でじわじわと出現するようになってきていた感染判明者が「夜の街」のイメージでひとくくりにされていたことへの危惧もあったのだけれど、世界でも類を見ない日本特有の夏の気候は、手ごわいウイルスさえも鎮圧できるはず、と勝手に思い込んでいたところはあった。

ところが・・・である。

6月も末になって100人の壁を破った感染判明者の数字は、右肩上がりに伸び続け、遂に4月以来の600人台に突入。

未だに抜本的な接触回避策が取られていない今の状況に鑑みれば、早ければ今週中に、遅くても今月中には、4月の最高値を超え、1000人の壁も超える勢いで伸び続けることは確実な状況にある。

全体の「数」にばかり目を奪われがちだが、最近のプレスリリースをくまなく見ていくと、もっとも避けられなければならなかったはずのクラスタが生じてしまっている事例も多い。

接客型の飲食店や病院、介護施設といった場所で発生しているのは春先と同じ。

だが、今回の「第2波」で目立つのは、

・保育園
・小中高校
・劇場
・企業の新入社員研修
・百貨店のバックヤード
・工事作業所

といった「春先には一時的に閉鎖や休止を強いられていた場所」での集団感染事例であり、こと「感染者を増やさない」という点に関していえば、各方面からバッシングを受けることも多かった3月来の「自粛要請」が、いかに的を射たものだったか、ということを見事なまでに証明してしまっている。

そして、第1波当時も今も、世の中での”広がり”を知るのに一番良い指標は、全国にチェーン展開している小売店や飲食店のアルバイト店員さんたちの感染報告で*1、昨日何気なく呟いたら、なぜか未だにリツイートが続いている以下のツイートのリンク先などは象徴的だし*2

さらに、

・㈱セブン‐イレブン・ジャパン
 :新型コロナウイルス感染対応について|セブン‐イレブン~近くて便利~
・㈱ローソン 
 :新型コロナウイルス感染対応について|ローソン公式サイト
・㈱ファミリーマート
 :新型コロナウイルス感染対応について
・日本郵政グループ 
 :日本郵政グループにおける新型コロナウイルス感染症への対応について‐日本郵政

といった事業者の特設ウェブページを見ても、この1週間、それも終盤の数日で、いかに事態が激変しているか、ということが良く分かる*3

こういった事実の前では、もはや「夜の街」のレッテルなど、何の意味もなさない

当初は、「人数が多い、といっても無症状の若者ばかりではないか!」とか。「接客型飲食店をターゲットにして検査すればそりゃあ数は増えるだろう!」等々、現実から目をそらそうとする言説も見かけたのだが、本当に初期の頃はともかく、今上がってきている数字の中には、何らかの自覚症状があって検査に足を運んだ方々も多く含まれているし、特に首都圏以外の数字にその傾向が強いのは、世代構成等から見ても明らかだと思われる。

そして繰り返しになるが、今の数字が3月、4月の間は隠れていた「無症状感染者」の出現によって多少上増しされたものだったとしても、何ら効果的な対策が打たれていない以上、いずれは「真水」のレベルでも4月~5月のピーク時を超えるのは間違いないわけで、それでもまだ「大したことない」と言っている人がいるのだとしたら、一からリスク分析能力を磨き直していただいた方が良いかもしれない*4

もちろん、全国一律の緊急事態宣言がもたらした様々な弊害を踏まえ、「感染者の数を増やさない」こと以外のことにも目を向けようとする政策当局の意思は(そこに、単なる各業界の利害を超えた市井の人々の思いも託されている以上)尊重されなければならないとは思うのだが、だからといって、感染拡大を放置すればどうなるか、ということは、先行している海外諸国の惨状が如実に示しているところだし、ましてや「Go To・・・」のようなリスクを拡大しかねない施策を、大枚をはたいて今実施できる余地などどこにもないはずだ。

そもそも、「普通に街を歩いて買い物して飲食するだけなら大丈夫だよね」という最低限の『安心』がなければ、旅行はもちろん日常的な繁華街店舗での消費活動すら盛り上がるはずもないわけで、今の状態を放置した先に見えるのは、「消費喚起」の掛け声に乗って店をフル稼働させたものの売上が伴わず、赤字を垂れ流して経済的に疲弊する事業者、事業主たちの姿しかない。

ということで、このままだと、生半可世の中動いてるがゆえの負のスパイラルに陥っていってしまうだけのように思えてしまうのであるが・・・

幸いなことに、4月、5月の、誰にとっても決して愉快ではなかった経験は、”一億総巣籠もり”のような状況でも稼げる、いやむしろそういう状況だからこそ稼げる、という業種、業態があることを教えてくれた。

また、それと同時に、個々人が静かに飲食を楽しんだり、買い物に出かける程度であれば、大きな感染リスクを生むことはない、ということも、何となく分かってきている*5

だとしたら、日常生活の8割くらいは、それで何とかなるじゃないか、というのが自分の見立て。

敬遠されがちな居酒屋にしても、「飲んで騒ぐ団体客」を受け入れてしまっているから高リスク空間化してしまうのであって、全席カウンタースタイルにして、団体客の受け入れをきっぱりと断る勇気をもって経営すれば、長期間売上がゼロになるような悲劇は避けられるはず*6

次いで危険な場所になりがちな「会社」も*7、3月~5月の間に試行錯誤しながら整えたインフラと、新・働き方ルールが、春よりは抵抗なく「在宅勤務」の世界に引き戻してくれるはずだ。

そもそも思い返してみれば、ちょうど1年前の今頃、「来年の予行演習」ということで在宅ワークを試行していた会社も多かったではないか。時はめぐり、今こそ本番!と思えば、多少の憂鬱も乗り切れることだろう。

思えばこの数か月、「ニューノーマル」の掛け声の下、そこらじゅうでむやみやたらに手指消毒を強制したり、「三密回避」で座席配置を変えたり、といった、何となくエキセントリックな方向に対応が行きがちだったところはあるのだが*8、そういう小手先の対策に神経を使わなくても、リスクの高い部分をバッサリ封じてしまえば、より自然な形で日常を過ごせるはずだし、それは2月、3月、世の中が過敏に”自粛”を求め、あらゆるところに事実上の規制を敷き始めるようになってきた頃から、自分がずっと思っていたことでもある*9

幸か不幸か、今は「当局が”自粛”の旗を振らない(振れない)」状況下で、事業者も消費者も、自主的にリスク回避方法をアレンジできる絶好のチャンスなのだから、とにかく知恵を絞ってダメージの少ない生き方、過ごし方、稼ぎ方を自分たちで考えればそれでいいのである。

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