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宇宙開発と基礎研究

 今からちょうど51年前の今日、1969年7月20日(日本時間21日)にアポロ11号のアームストロング船長が、人類として初めて月面に降り立った。NASAの「アポロ計画」はその後17号までを月に送り込み、1972年以降は途絶えてしまった。

 しかしNASAは最近新たに「アルテミス計画」をスタートさせ、2024年までに飛行士を月に送り込み、月探査と資源開発を始める計画だ。これについてNASAと日本の文科省は、先日お互いに協力し合うという宣言を発した。これにより日本人の宇宙飛行士が、将来月面に降り立つ可能性が強くなった。

 また月面着陸を容易にする手段として、月を周回する宇宙ステーションを建設する「ゲートウェイ構想」もNASAは目論む。これまで日本も協力して来た国際宇宙ステーション(ISS)の10倍もの予算がかかるという。月面探査ばかりでなく、火星探査の出発点としても利用する計画である。これにも日本は協力する予定である。

 昨今は宇宙の利用を巡って米中、そして欧州が凌ぎを削っている。月の資源を有利に利用する権利を確保したいとか、宇宙の安全保障システムをいち早く構築したいとか、さらには国威を発揚したいと言った、国家の威信を背負った闘いが既に始まっている。

 この分野で我が国は欧米や中国から明らかに遅れをとっているが、アルテミスやゲートウェイにおいてNASAと協力し合うことは、日本の国益にとって相応しいことだろう。

 しかしこのような実用的な宇宙開発とは別に、我が国は純粋科学としての宇宙研究を地道に積み上げて来た。これを担って来たのは、かつては「東大航空宇宙研究所」であり、その後は「宇宙科学研究所(ISAS)」である。

 そしてISASが「宇宙開発事業団(NASDA)」と合流して「宇宙航空研究開発機構(JAXA)」となってからは、基礎的な研究以上に、開発や実用化に重点が移った感がある。

 世の中の話題をさらった小惑星探査機「はやぶさ」は、このISASによって作られてイトカワに着陸した。帰還途中の様々なトラブルから奇跡的に地球に帰還して、感動的なドラマを呼び起こした。

 これを土台とした「はやぶさ2」はほぼ完璧にミッションをこなして、今年12月6日に地球に帰還する予定だ。はやぶさのミッションは世界から注目される科学的成果を挙げるはずである。

 来年から新しい「宇宙基本計画」がスタートする。宇宙科学の推進もその中に盛り込まれたが、宇宙開発と商業的利用、さらには軍事的な利用も盛り込まれた。分量的には後者の方が圧倒的に多くなってしまったが、前者すなわち宇宙の基礎研究という分野も、決して忘れないで欲しいものだ。

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