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国債への認識不足が生むアホ

このブログ欄は「表題は1行、見出し的な文章は2行」をモットーとしている。今日の見出しは実のところ、"国債への認識不足が生む「アホやんけ」"にしたかったが、1行では不足だった。

「アホやんけ」と思ったのは、今日の日経朝刊4面の「グローバルオピニオン」である。フランス人(ロベール・ボワイエ氏)のコメントである。見出しの「国債の海外保有増は危険」は格好良かった。それに惹きつけられて読んでみたものの、何を言いたいのか支離滅裂という印象しか残らなかった。

要点は、ドイツはECBによる国債買い入れに協力すべき、日本は国債を国内で消化すべき、そのためには生保などに一定量の国債購入を義務づけるべき、近い将来に日本の国債危機は生じないから国債を積極的に発行して財政出動すべき、というものだ。

このうち「近い将来に日本の国債危機は生じない」ということと、「生保などに一定量の国債購入を義務づけるべき」は矛盾している。国内に資金が余っているかぎり、生保にかぎらず今の金融機関や投資家は(内心どう思っているのかはともかく)、国債を買うしか投資の方法がない。ということで、「生保などに一定量の国債を購入させる」ことを義務づける必要はない。その必要が生じるのは、国内で資金が不足する懸念が生じた場合である。つまり、貿易収支、経常収支の黒字が収縮し、さらに赤字に転落する場合である。しかし、そのときに、いくら「生保などに一定量の国債を購入させる」ことを義務づけたとしても効果はない。日本国全体として、投資資金が不足しているのだから。この意味で、「国債購入の義務」は架空の議論でしかない。

また、「国債を積極的に発行して財政出動すべき」との議論は、ヨーロッパの場合はまだしも、日本の場合には、深刻な糖尿病患者に砂糖菓子をパクパク食わせるようなものだろう。日本の財政は、破綻処理に追い込まれた企業を手本とし、予算にメリハリを効かせないといけない段階にある。それなくしての大盤振る舞いは「日本撃沈」の原因となる。撃沈したとすれば、まだまだ日本は腐っても鯛なのだから、世界経済にも深刻な影響を与える。

結論である。このオピニオンの筆者の履歴を読むと、どうも現実の経済、とくに日本を知らない人物のようだ。現実離れした議論を垂れるのも無理からぬことだと思ってしまう。

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