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自民党総裁候補たちが教えてくれる日本の未来

 次は自民党総裁選挙ということで、テレビは候補者たちの演説を中継する大サービスをつづけている。民主党の代表選では、野田総理の言うことと他の3人の候補者の主張との間には、かなり大きな差があったのだが、それと対照的に、自民党総裁候補者たちの言うことは、互いによく似ている。時節柄、領土問題についての発言が多いが、「自国の領土は自分たちの力で守る」という点では一致していた。もちろん北方四島、竹島、尖閣のすべてを、日本の領土として確定することを前提にしていた。

 日本の領土問題には、それぞれロシア、韓国、中国という相手国がある。日本がすべて領土として獲得すれば、相手国はそれらを失うほかはないが、自民党は本当に実現が可能だと思っているのだろうか。そもそもこの3年間以外はずっと自民党が政権についていたのだから、「毅然として取り組む」ぐらいのことで解決するのなら、どうして今までに領土問題を解決しなかったのか説明して貰わなければならない。

 領土問題は外交上もっとも難しい課題だから、これを前面に立てて対立している間は、隣国と良好な協力関係を築くことは不可能になる。ロシアとの経済協力は、北方領土問題が障害となって何十年も停滞してきた。歯舞と色丹の返還で平和条約締結の寸前まで行っていた交渉が、アメリカの介入で「北方四島の要求」にすり替えられたと言われている。早期に和平手続きが完了して友好関係が成立していれば、後の民間のビザなし交流や墓参訪問以上の妥協が、かえって国後や択捉についてもあり得たかもしれない。

 とにかく今はナショナリズムに訴え、同時に「日米同盟の修復」を説くことで、自民党は領土問題を解決すると公約しているわけだ。これは突き詰めれば、アメリカの軍事力を背景にして領有権の主張を貫徹すると言っているに等しい。これで近隣の3国と平和的な共存が可能だろうか。アメリカと強力な軍事同盟関係になれば、日本の望みはすべて叶うと、本気で思っているのだろうか。

 そのほか原発問題についても、自民党総裁候補者の全員が「2030年代にゼロ」には賛成しないとしている。原発との縁切りはできず、アジアの孤児となってアメリカに頼るほかに道のない日本の姿が見えてくる。自民党が政権に復帰すれば、これらの人が政権を担うことになるのだから、一政党の内輪話として無関心でいるわけには行かない。

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