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ユニクロや無印良品も参入 マスク販売で生き残りを目指すアパレル企業の挑戦

アパレル企業の売上支えたマスクは値崩れの一途

新型コロナウィルスでマスクの需要が急増し、一時期、マスク不足になっていましたが、今では供給過多となり値崩れし始めています。

3月・4月は50枚入りのマスクが4000円近くにまで値上がりしていましたが、今では、50枚入りで1000円未満、場所によっては500円にまで値下がりしており、新型コロナ以前の価格かそれ以下にまで値下がり。

マスク需要を当て込んで増産していた中国の各工場が供給過剰による値崩れのために潰れ始めているとの報道もあります。

Getty Images

はっきりといえば、国内外の生産体制が今のままで推移すれば、マスクが今以上に値崩れすることはあっても、値上がりする可能性はほぼゼロでしょう。相当に在庫を抱えている小売業者も多いといわれています。

アパレル業界でも軒並み店舗休業に陥った3月~5月までの主力販売商品はマスクでした。国内外のありとあらゆるブランドがマスクを製造販売していたのではないかと思います。新型コロナの影響が深刻化し始めた3月から国内でもマスクを製造販売するブランドが現れ始めました。

このころは、SNSやウェブを使っての告知販売に長けた小規模ブランドや零細ブランドが中心でした。その後4月に入ってからは著名ブランドも続々とマスクの製造販売に参入し始めました。

ネット販売好調でも穴埋めできない新型コロナによる売上減

アパレルブランドがマスクの製造販売を開始した理由は2つあります。

1つは社会貢献でしょう。マスクの需要が急増し始めマスク不足に陥り始めたので、それを供給するというのは社会的にも意義のある活動だといえます。アパレルブランドの縫製工場で医療向けのサージカルマスクを縫うことはできませんが、一般使用の布マスクなら縫うことはできます。

洋服と同じ「布」を縫い合わせて作るわけですから、アパレルブランドがマスクの製造を手掛けるのはもっとも理にかなっています。

もう1つの理由は、アパレル企業として生き延びるためです。3月からの営業時間短縮や週末休業、4月・5月の全国的な店舗休業ということになると、通常のアパレルブランドとしては販売できる場所が大幅に減ります。

もちろん、ネット販売はありましたが、実店舗売上高の減少を完全に穴埋めできるほどの売り上げ規模ではありません。実際、ユナイテッドアローズやワールドなどの5月のネット通販売上高は倍近くに伸びましたが、全体の売上高は大幅に減少しています。

これは、ネット通販の売り上げ規模では、実店舗の不調を完全に穴埋めできないということです。そして、新型コロナ対策の自粛で暗い世相ですから、ファッション衣料の売れ行きが伸びるはずもありません。

写真AC

通勤することもなく、会合に出かけることもないわけですから、新しい洋服を買う必要性がありません。テレワークでウェブ会議でもあればまだ着替える動機にはなりますが、単なる自宅待機だった場合、遊びに外出することもできませんから、洋服を着替える必要性すらないわけです。

一日中寝間着のままでゴロゴロしていても構わないのですから、洋服を買おうという動機が全く生じなくても不思議ではありません。このような状況下で、アパレル企業が生き延びるためには、何を売れば良いでしょうか?

この時期一番売れやすく、需要があった布製品はマスクです。ですから、背に腹は代えられないということでマスクの製造販売に乗り出したアパレルブランドが多くありました。また、ネットショップではマスクの販売を開始しました。

今一番売れて、しかも消費者が渇望している物を売るというのは、商売の基本です。「生き延びることが重要なのだから、変なプライドでファッションにしがみつくよりも、売れるマスクを売るべき」と主張していた知り合いの業者もいたほどです。

ちなみにこのサバイバル精神は個人的には評価したいと思います。その一方で、ある程度の売れ行きがキープできていた小規模ブランドの中には、マスクの製造販売は絶対にしたくないというところもありました。それもこれも企業やブランドの置かれた状況によって異なっていたといえます。

ユニクロと無印良品、マスク販売参入の影響力

そんな中、6月19日、満を持してユニクロがマスクを発売しました。事前の告知を見たときに「けっこうな売れ行きになるのだろうな」と予想しましたが、発売当日にはユニクロ各店には長蛇の列ができ、マスクは数時間で完売してしまいました。

共同通信社

予想を上回る売れ行きで、改めてユニクロのブランド力、ユニクロへの日本人の信頼性の高さを思い知りました。価格は3枚990円です。

とはいえ、新型コロナの感染を心配する人たちが、ユニクロの店舗の前で大行列を作るというのはどういうことでしょう。それこそ感染する確率が高まるだけです。また、今回発売されたエアリズムマスクは、別に期間限定販売でも数量限定販売でもありません。

今後、定番品の1つとして、少なくとも新型コロナ向けのワクチンや特効薬が開発されるまでは販売され続ける商品です。発売当日に大行列を作ってまで買う必要があるのでしょうか。いずれゆっくりと買えるようになるのですから、それまではそのあたりで売っている布マスクで凌げばよいのではないでしょうか。

6月5日からは無印良品も布マスクの発売を開始しました。こちらは2枚999円です。

ユニクロと無印良品というマス層に支持された2大低価格ブランドがマスクの製造販売に参入したということは、他のアパレルブランドの布マスクの売れ行きは、今以上に伸びる可能性は極めて低くなったといえます。

ブランドへのこだわりのある人は別として、大多数を占めるマス層はユニクロか無印良品のどちらかのマスクで満足してしまうことになるでしょう。

次の売れ行きは「接触冷感」素材のマスクか

ところで、マスクを着用していると顔の周辺が暖かいので冬には適していますが、夏は暑いので着用がつらくなります。

そのため、涼しいマスクという需要が高まっており、各社は「接触冷感」素材を使用したマスクを発売し始めており、ユニクロのエアリズムマスクが夏向けではないので、接触冷感マスクは売れ行きを伸ばすのではないでしょうか。

接触冷感は冷えるのではなく、触った瞬間にヒヤっとする効果です。知る範囲において、今のところ、温度が下がる「冷却」素材というのは繊維業界では存在しないとされています。

ですから、接触冷感素材のマスクは涼しい感じがするだけで実際に涼しい・冷たいわけではないのです。そのところは留意しながら着用することをお勧めします。

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