- 2012年09月23日 20:13
日本の「ネトウヨ」を中国紙が紹介するとこうなるという記事
中国共産党機関紙『人民日報』の電子版『人民網』が「蒋丰:日本“网络右翼”几乎没接触过中国人」という記事を掲載していましたが、なかなか面白い紹介をしており、いろいろ思うところがあったので、これについて少し。
1 記事の紹介
最初にいつものとおり、記事を翻訳したものを簡単に紹介させていただきます。
『人民網』の9月22日配信、『日本新華僑報網』は蒋豊の記事『日本の“ネット右翼”はどのようなものか見てみよう』を掲載したが、全文は次の通りだ。
「彼らは情熱はあるが、無知だ」これは日本の「本家」伝統の右翼の新興の「ネット右翼」に対する評価だ。文字通り、「ネット右翼」は普段はネットに寄生しており、時々街頭に行っていろいろ騒ぐ「オタク(男女)」だ。
彼らの外見は普通だ。2008年、大阪大学は1000人のネットユーザーに対して「ネット右翼」の傾向調査を行ったことがある。結果、日本のネットユーザーの3.1%が極端な右翼思想を持っていることがわかった。
調査の根拠は主に3つ。第1、中国、韓国に対して全く好感を持っていない。第2、首相の靖国参拝および、日本が軍隊を持つことを支持する。第3、毎日「2ch」などの右翼のネットフォーラムを徘徊し、「反動的な言論」を書き込む。
全体のネットユーザーの3.1%が「ネット右翼」という数字は少なくない。日本の2010年版の『情報通信白書』によれば、2010年末の日本はインターネット利用者は9,462万人で、普及率は、78.2%に達する。
これに基づいて計算すると、日本の「ネット右翼」は300万人になり、彼らの数と影響力は日々増加している。この300万の「ネット右翼」の内、84%が男性で、女性は16%にしか過ぎない。彼らの年齢分布は20歳から40歳が中心となっている。
彼らは共通の特徴があり、伝統のメディアの言うことは全て間違っていると思っている。彼らの発言は伝統的なメディアに背馳する。「ネット右翼」の起源は日本のネット社会の説明が必要だ。第二次世界大戦後、日本は依然として社会世論はコントロールされており、民衆の自由な発言は許されなかった。
1995年から、ネットは日本で急速に普及し、各種の不満的言論の波は伝統メディアのもろい堤防を攻撃した。21世紀に入って、各種「ネットサービス」はネットユーザーをまとめ、集団となり、彼らの力を強化された。「ネット右翼」もこの時生まれた。
先の大阪大学の報告によれば、日本の「ネット右翼」の収入は中下層となっている。彼らの年収400万以下は32%、400~800万が35%、800万以上が29%となっている。彼らは豊かというわけではないが、自分一人食べていける収入があり、「右翼活動」も支持できる。
現在、日本最大の「ネット右翼」は「在日特権を許さない市民の会」(略称「在特会」)である。会員の1.1万人以上で、毎日ネットき書き込みを行っている。主なスローガンは「中国人と韓国人を日本から追い出せ」だ。
彼らは特に在日韓国人、朝鮮人に不満をもっており、「在特会」は「韓国商品不買運動」をしたことがあり、韓国と取引の日本の会社は彼らの排斥の対象となった。
ある時、居酒屋が酒を飲ンでいると、そばに2人の20代の若者がおり、2人は日本の国旗が印刷されたワイシャツを着て、酒を飲んでいた。その間彼らは非常に興奮しており、絶えず韓国人の悪口を言っていた。話を聞いていてわかったが、彼らは「在特会」の会員で、韓国の李明博大統領の竹島上陸の反対集会に参加した帰りだった。
面白いのは、彼らは殆ど在日の韓国人、中国人に接触したことがないことだ。彼らは毎日仕事が忙しく、家に帰るとネットで憂さを晴らし、週末は集会に出かける。これが彼らの決まりきった生活で、ネットに依存しないと「生存」できない。
彼らが在日外国人に対し、不満に思っていることは、実際は彼らの日本社会に対する不満であり、彼ら自身に対する不満だ。
2 個人的感想
中国では日本が尖閣諸島を国有化したのは、右翼に野田首相が屈服したからという説明がされているわけですが(尖閣購入に関する中国のプロパガンダ記事)、では日本の右翼とはどういうものなのだという話になり、こうした記事が必要になったと推測します。
これを書かれた蒋豊氏『日本新華僑報網』の編集長で、これまでも大変楽しい日本紹介をしており、私も何度か取り上げたことがあります(「中国紙が分析した日本人がAV好きな理由」「中国紙による日本人女性が「野蛮」になった原因分析」など)。
ちなみに今回のこの記事にはネタ本があり、安田浩一氏が書かれた『ネットと愛国~在特会の闇を追いかけて』からかなりの内容を引っ張ってきております。
毎度毎度いろいろ突っ込みどころが多いわけですが、「在日特権を許さない市民の会」という名称からわかるとおり、もともとは在日韓国人・朝鮮人が「日本で不当な権利を得ている」と訴える活動をしており、具体的には朝鮮学校の授業料無償化や、外国籍住民への生活保護支給に反対するデモなどを行ってきております。
ここのところの「反日デモ」などを受けて、中国人を対象をした活動も当然行っているでしょうが、wikipediaによると「日本と台湾の間では日韓・日朝関係ほど外交関係が緊張しておらず、在日台湾人や台湾の対日世論も良好であるため、法的立場が在日韓国・朝鮮人と同等の在日台湾人特別永住者に対しては、「反日台湾人」・「不逞台湾人」と見なした個人や団体に限って批判している」そうです。
かように、中心はあくまで韓国、北朝鮮なわけですが、この記事は中国人向けに日本の「ネット右翼」(ネトウヨ)を紹介するものなので、中国人もメインの対象になっていないといろいろまずいと思ったのか、そういうことになっています。
言論の自由がないのは日本ではなくて、中国だろうとか、では「反日デモ」を起こした中国人は日本人をどれだけ知っているのかと聞きたくなります。
というのは、もし、日本人の知り合いなどがいれば、あそこまでひどい行動ができるはずがないと考えるからです。彼らが相手にしているのは、中国政府が広報している「中国を侵略した日本」であり「日本鬼子」だから何でもできるのではないかと思った次第です。
何にしろこうした、日本の右翼が生まれるのは日本の社会が悪いからであり、日本社会に不満を持つ者が右翼運動に走るためだという、日中関係の原因は日本にあるといういつも通りの主張で、いつも通りの中国の記事です(でなければ『人民網』に掲載されるはずもありませんが)。



