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「習主席来日反対決議で日本の意志示せた」自民党外交部会会長中山泰秀氏

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ⒸJapan In-depth編集部

安倍宏行(Japan In-depth編集長・ジャーナリスト)

編集長が聞く!

Japan In-depth編集部(油井彩姫)

【まとめ】

・自民党外交部会、習主席国賓来日中止を求める決議文、官邸に提出。

・前回決議文に無かった「中止」という言葉入れ、グレードアップさせた。

・最大与党の意志としてきちんと中国に伝わったことに意味がある。

7月8日、習近平国家主席の国賓来日中止を求める決議文を官邸に提出した件に関して、自民党外交部会長である中山泰秀氏に、編集長安倍宏行が話を聞いた。

まず初めに、中山氏はかつての日本は、共産主義、社会主義に対する、西側のフロントラインであったとし、冷戦の名残が、今の朝鮮半島であったり香港であったり台湾海峡であると述べた。

その上で、決議文を出した意義については、「21世紀になって、中国は強権的に英中共同宣言を反故にし、力で抑えてきた。見るに堪えかねて(行動を起こした)というのが大きい。

今の中国における共産党一党独裁体制が実践する恐怖と暴力の政治に対して、恐怖心や疑問を抱いている人が内外問わず大勢いることが現実であり、問題を浮き彫りにしている」と述べた。

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また、中山氏が決議文でこだわったのは、香港から脱出する人が日本に来た場合、対諜報戦の観点も踏まえた上で、その人を支援するための知恵を、政府には積極的に考え、出して欲しいということを明記することだったという。

そのための法整備などについて尋ねると、イギリス等の他国に比べて、日本ではすでに3ケタ台の香港人が就労ビザを取って働いていることなどを踏まえ、「現行法での受け入れは十分に可能」だとの認識を示した。

何らかの形で現実に亡命してきた香港人がパスポートなどを無くしてしまった、もしくは当局から取り上げられてしまった場合にも、日本で「拘束」の状態にならないよう、きちんと調べて政府として「保護」することを考えたいとした。

次に、習近平国家主席の国賓訪日に関して聞いた。

▲写真 習近平中国国家主席と安倍首相 APECにて 2017年11月11日 出典:内閣官房内閣広報室

実は外交部会は決議を去年11月、今年5月と、過去に2回出しており、今回が3回目になる。まず、ひとつ前の決議では、習近平国家主席について「再検討を含め政府において慎重に検討せよ」と明記した。国賓訪日に対して自民党の部会が決議を出したのは、自民党の歴史始まって以来、初めてであった。

中山氏は、「公平公正にやろうということは意識した」と述べ、はじめに、自民党の外交部会の代理に諮り、次に正副部会という幹部会を開いて、平場でも2時間ほど議論したという。これは自民党の各政調部会の議論のやり方としては、最も丁寧に積み上げて来た事を意味する。

「中国では(自民党内の)一部の意見のように言われているが、一部ではない。どの決議も適切なプロセスで、政調審議会をパスして、党として決議されたものを官邸に持ち込んだ」と述べ、党内手続きとして必要且つ正式なプロセスを踏んだ上で決定された決議であることを強調した。

ⒸJapan In-depth編集部

そして、二階俊博幹事長を納得させるために表現を後退させたのではないか、との指摘に対して中山氏は以下のように説明した。

まず中山氏は二度、二階氏に直談判した事を明かした。

一度目は、平場の議論の日、朝幹事長室で、中山氏は「今日平場(の議論)をやります。原文のまま出させてください」と言った。それに対して、二階氏は「がんばんなさい。あんたの親父だったらもっと暴れてただろう」と言ったという。

二度目は役員連絡会の日である。会の前10分、終わった後15分から20分ほど、新藤義孝、岸田文雄、小泉龍司、林幹雄、二階氏という顔ぶれで話し合った。

岸田氏は「役員会からずっと積み上げてきたものだから、これはこのまま原案で出そう。平場での議論を経た上で結論を持ってくるわけだから尊重してくれ」と発言した。

一方、小泉氏は「この文章を入れたら、日中関係は大変なことになる」、林氏は「(日中関係改善にかけた)先人の苦労を分かってほしい」と、それぞれ発言した。

中山氏はそれまで黙っていたが、先輩から発言を促され、本来ならば2047年まで保たなければならなかった「一国二制度」が反故にされたということと、人権が非常に蹂躙されていることを述べた。

その上で、「今回は(議論を)積み上げて正式なプロセスでやってきた。先人に対してはもちろん敬意を表すが、国賓招待を出した時と今とでは状況が違う。日本の国民が歓迎できる環境にしていくためにどうしていくべきなのか。それが国民の意見でもある」と述べた。

その時二階幹事長が最後に発したのは、「円満に」という一言だった。さらに新藤氏、岸田氏の協力、林氏、小泉氏の理解もあって、議論を終え、決議文を提出することが出来た。

結果的に文言調整では「部会長一任」を得ることができていた。「一任」といっても練らなくてはならない部分があり、最終的に「非難決議」に書いてある文章(*1)になった、と中山氏は述べた。

「中止」という文言をそのまま入れ込んだことは今までになかったことだ。前回の「再検討」を載せたというのも自民党始まって以来初めてだったが、今回は「中止」という強い言葉を入れた。

「中止」の文言は省け、という意見も多くあったが、中山氏は「皆で積み上げてきたものだから、ここを外したら外交部会としての立場がもたない」と強く主張し、「中止」の文言を残したという。「報道では表現が弱まったのではないかという意見を目にするが、そんなことはない」と強調した。

一方で、中止という言葉を入れ込むことに賛同している議員の中でも「一行だけ書くというのは唐突ではないか」という意見があった。「加えて理由を書いて欲しい」「未来志向の部分も書き入れてくれないか」等の意見を踏まえて、結果的にあのような表現に落ち着いたという話であった。

中山氏は「(表現が)弱まったり、(党内の意見に)折れて書き換えたということではなく、むしろ前回の決議文より『中止』という文言を入れてグレードアップさせたわけで、満足のいく決議文が出せた」と、自信を示した。

また、はじめから見据えていたのは国内の反応ではなかったと中山氏は述べた。本来の目的は、「中国の外交部の報道官が反応すること」だったという。そして実際、中国の報道官は反応した。

自民党の部会の決議文が、しかも「案」の段階で、中国の報道官によって公に批判されたのは、日本と中国の歴史上初のことであったという。

このことに関し中山氏は、「日本国民のこういう思いがあるということを(中国に)認識させるということであり、日本の最大与党の意志としてきちんと伝わったことに大きな意味がある」と述べ、今回の決議案の意義を強調した。

中国側は、「(習近平主席に)招待状を出したあなたたちが来るなと言うほうが礼儀に背いているんじゃないか」という思いを持っている。

中山氏は、「我々は別に来るなと言っているわけではない。ただお越しになられる中国側にも、お互いが納得できる環境を、きちんと整えて頂きたい。国賓訪日の目的が、日本との友好親善を前進させる為ということなのであれば、日本や日本の国民が嫌悪感を抱くような事をやるべきではない」と述べた。

「世界恒久平和の実現が政治の崇高な目標であり、各国間でそれに資する条約や約束等ができれば理想的だと考えているが、今回の新型コロナウイルス対策については治療薬も存在せず、ワクチンも充分とは言えない状態で、中国の武漢から世界中へ「アッ」と言う間に拡散し、尊い命が貴重な医療従事者をも含めて大勢失われ、あらゆる経済活動が停滞し、人々は失業して生活基盤を失い、各国政府は膨大な財政支出を強いられ、将来の不安を抱えながらも当座の国民不安の解消を目指し、世界中が悪戦苦闘の昨今だ。

新型コロナウイルス伝播の真相究明をWHOに対し求め、各国間の条約信頼を構築する前提条件にする為にも、明確にする必要性を痛感している」

最後にそう中山氏は述べた。

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