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リモートワークで広がる“見えない残業”、勤勉な人ほど“やりがい搾取”に…働き方改革の影で、新たなタイプ過労死も

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■「日本人はもうちょっとサボりましょうよ」


 リディラバ代表の安部敏樹氏は「自分で言うのもだが、うちの会社はめちゃくちゃやりがいがあるので、“やりがい搾取”はいくらでも起こりうると思っている。現状把握しようと思っても、本当に全てを記録してくれているかどうかは分からないし、やりたくてやっている人に“その仕事はやらない方が今いいよね”といった話をしていても、止めてくれないこともある。責任を持って管理しなければならないが、同時にすごく難易度が高いと感じている」と明かす。

 ジャーナリストの佐々木俊尚氏は「経済学者の速水融が70年代に“勤勉革命”という概念を提唱したが、やはり日本には人が足りない、合理化できない、機械にできない部分は人の手でなんとかするんだ、という考え方があると思う。グローバル化の中、欧米が新しいビジネスを作りましょう、産業構造を変えましょうとチャレンジする中、日本は人を減らしてコストを抑えれば戦えるんだと考えた。また、同じ残業時間でも昭和の時代と今の時代とでは中身が全く違うと思う。ミキさんをはじめ日本人に言いたいのは、もうちょっとサボりましょうよ、ということ。そんなに仕事をしなくていいよと宣言しない限り、この不毛なスパイラルはいつまでも続くと思う」と話した。

■それでも「負荷があるからスキルアップできる」?


 一方、組織や上司の論理として「負荷があるからスキルアップできる」など、長時間労働の規制に懐疑的な声もある。

 楽天株式会社会長兼社長の三木谷浩史氏が代表理事を務める「新経済連盟」が2017年に発表した働き方改革に関する意見書では、36協定で定めた上限は、当然ながら守られなければならない。一方で、一律的な上限の設定は日本の競争力を失わせかねない」と主張している。ネット上にも、「個人のスキルを上げるためには、負荷をかけないと」「仕事に慣れないうちは残業して当然」「簡単な仕事ばかりしていてはいつまでも成長しない」といった声がある。


 佐々木氏は「長時間働けば成長するとか、競争力がつくという考え方は根本的に間違っている。何を言っているのか、ちゃんと頭使えよという話だ」と厳しく批判する。

 「スキルアップや成長というのは自分でやることであって、お前が成長するために長時間働けと言うのはおかしい。僕はフリーランスで仕事をしていて、朝7時からメールの返事を始めて、10時間以上働くこともある。それでも自分がブラック労働だと思わないのは、自分自身が休みも含めてコントロールできているからだ。今のブラック労働というのは、そのセルフコントロール権が奪われているからだと思う。日本は会社と従業員の関係が対等ではなさすぎるし、会社に所属することが“身分”になってしまっている。会社と合わなかったら別の会社で経理をやるんだというように、ある程度雇用が自由化されれば、個人のコントロール権も取り戻せるはずだ」。


 ミキさんのように職場でお悩みの方は「NPO法人POSSE:03-6699-9359/過労など労働に関する相談を、無料受け付け。訓練を受けたスタッフが法律や専門機関の使い方をサポート」「総合サポートユニオン:03-6804-7650/個別の労働事件に対応している労働組合。労働組合法上の権利を用いることで紛争解決に当たっている」といったところに相談することが可能だ。(ABEMA/『ABEMA Prime』より)

▶映像:月80時間の残業でうつ診断...当事者に聞く "やりがい搾取"で拒めない残業 リモワで隠れ過労死も?

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