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京都の女王が亡くなったあともモテるのは - 花房観音

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「モテ」なんて、昔ほどには興味が無くなった。不特定多数の異性に好かれても、めんどくさいだけだ。若い頃はモテないことが大きなコンプレックスだったけれど、もう50を目の前にして、好きな人に好かれればそれでいいとは思っている。

おばさんになり、「モテたい」という願望を手放せて、楽になったつもりでいた。

そして「こうすればモテる」というwebの記事を、「そこまでして必死にモテなくていいのに」なんて、冷めた目で眺めていた。

周りの同世代の女性たちも、会えば話題は更年期か親の介護の話で、モテだの恋愛だのは二の次どころか、ふれないことも多い。

だからといって、別に恋愛や男に興味が無くなったわけではない。体力気力が衰え、確実に「老化」を考えざるをえない日々の中で、不特定多数の異性に好意を抱かれる「モテ」どころじゃなくなるのだ。モテても対応しきれない。

そうして「モテたい願望からの卒業」が出来たとばかりに平和に暮らしていた私だが、「50歳を過ぎてもモテモテで、亡くなった後も、複数の男たちに愛され続ける女」の存在を知り、衝撃を受けた。

その女の名は「山村美紗」。

京都の女王を愛した男たち

京都を舞台としたミステリーの女王として、知らない人はいないだろう。1996年に亡くなってはいるが、現在でも「山村美紗サスペンス」としてドラマが放映され続けている人気作家だ。

もちろん、山村美紗は知っていたけれど、本をちゃんと読んだことはなかった。それでも身近な存在であったのは、山村美紗は、京都東山に「パートナー」とされていたミステリー作家と並びの家に住んでいたからだ。私は大学が東山で、中退してからもしばらく住んでいた。「パートナー」だった作家が、彼女の死後に、ふたりの恋愛を描いた小説も読んだ。

ところが、8年前に、「山村美紗の夫」が、妻の肖像画を描き続け、再婚した39歳下の女性とふたりで展示を行っているのをネットの記事で見て、驚愕した。

山村美紗って、夫がいたの?

他の男と恋人同士じゃなかったの? だって並びの家に住んでましたよね??

そして、「再婚した妻と一緒に、山村美紗の肖像画の展示をする夫」って、どういうこと??

謎だらけだった。

人が彼女に惹かれる理由は

そもそも彼女をモデルに描かれた小説というのも、不思議な内容だった。登場する男たちが、みんなヒロインの虜になる。ヒロインには夫がいるし若くもないのに、たくさんの男たちから求愛され続ける。とにかくモテる。異常にモテる。しかも男たちは「彼女と結婚したい!」と、真剣なのだ。

この小説からは、著者が「山村美紗という女性をとにかく愛しまくっている」ことだけは、伝わってきた。

そして数年が経ち、私は「妻の死後、その肖像画を描き続ける夫」の存在を知った。

山村美紗を愛した男たちは、小説や絵で、彼女の存在を残そうとしている。それぞれ今は別のパートナーがいるにも関わらず、山村美紗を追い続けている。

そこまで愛される山村美紗という女性は、どんな人だったのかという興味が湧いた。

好奇心で調べていると、彼ら以外の男性にも、とにかくモテモテだったんだという話が出てきた。

若くなくてもモテる女は、私の周りにもいる。

でも、亡くなった後で、複数の男たちにここまで執着される女に、どうしようもなく惹かれた。そのうち、彼女は戦争で身体を悪くし苦しみ続け、また凄まじい努力をして小説家になり、デビューしてからも必死で売れようとしていたことなどを知った。

山村美紗とは知名度も売り上げもほど遠いが、京都に住み、京都を描き、「仕事無くなったらどうしよう」「なんで私はこんなにパっとせず売れないんだろう」と、常に不安を抱いている自分と、彼女の「作家」としての不安が重なった。

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