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部活も「精神論」は通用しない! 学術会議がスポーツで提言

学校が本格的に再開されて以降、ついつい運動部活動にも熱が入りすぎているお子さんも少なくないのではないでしょうか。しかし、やり過ぎは禁物です。体力や競技力を向上させようにも、合理的でなければ、かえって逆効果を招きかねません。そんな運動部活動にとっても参考になりそうなスポーツについての提言が、日本学術会議によってまとめられました。



学習にも好影響

スポーツ庁は2017年3月、東京五輪・パラリンピック(東京オリパラ)を視野に入れた「第2期スポーツ基本計画」(17~21年度)を策定しました。そこでは「スポーツの価値」を追求し、「一億総スポーツ社会」の実現を目指しています。そこで18年11月、同庁の鈴木大地長官は、学術会議に「科学的エビデンス(客観的な証拠)に基づいた『スポーツの価値』」の普及の在り方についての審議を依頼。同会議は、文系も含めたさまざまな学術分野から総合的な検討を行い、20年6月、鈴木長官に回答しました。

そこでは、あらゆる年齢層でスポーツを実践することが、健康保持や脳の発達、老化防止に役立つことから、個々人の心身の健康や体力の増強だけでなく、学習・認知能力を伸ばすにも好影響を与えると指摘。障害者を含む多様な人たちの参画により、個々人を尊重した画一的ではないスポーツ実践を促すことが必要だとしています。

注目すべきは、「科学的」であるこということです。確かにスポーツは、身体的能力だけでなく、精神的にも人間的にも大きな成長をもたらしてくれるものです。しかし、つい監督やコーチは、自分の成功体験をもとに、選手を指導しがちになります。それによってスポーツ障害や、暴力などのハラスメント(嫌がらせ)も起こりがちなことも否定できません。心身の両面から、科学的エビデンスに基づいた指導が求められます。

プロでさえ主観と実際の反応に差

たとえば、プロアスリートの動きを細かく計測したところ、自分がこう動いていると思う主観的な体の動きと、実際の反応は違っていることが明らかになりました。ましてや指導者が、自分が競技をしていた時の体験に基づいて、言葉で同じように振る舞うようアドバイスしたとしても、そのアドバイス自体が正しいかどうかはもとより、選手に正確に伝わるかどうか、また、選手がその通りに体を動かせるかどうかも、怪しくなります。

暴力との関係も、細心の注意が必要です。提言は、現代のスポーツは競技の意味合いが強くなり過ぎて、「相手を倒す」ことが目的になっているため、暴力との親和性が高くなりがちだと指摘しています。暴力根絶を合言葉にするような「精神論」だけでは、暴力を減らすことはできないといいます。

そもそもスポーツに闘争・競争といった要素が含まれるようになったのも、19世紀以降の話だといいます。それまでは「気分転換」「気晴らし」といった意味で使われていました。
「スポーツの価値」は歴史的に変わっていくものであり、その再定義も求められています。
新型コロナウイルス感染症の影響で、プロ・アマを問わずスポーツ活動が制限され、東京オリパラも1年延期されました。今こそ科学的エビデンスに基づいたスポーツの価値を、学校でも社会でも、冷静に考えられる好機なのかもしれません。

(筆者:渡辺敦司)

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