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パスポートなしで出入国できる人々- 鈴木耕

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沖縄米軍基地で感染者集団が発生!

 沖縄の米軍基地で、新型コロナウイルス感染症のクラスターが出現している。沖縄県は7月11日、普天間飛行場(宜野湾市)とキャンプ・ハンセン(金武町など)の海兵隊の基地内で、すでに61人の感染者が出ていると発表した。基地の中でクラスター(感染者集団)が発生したと見られている。

 情報によると、6〜8月は米軍の異動時期で、それに伴うパーティなどが多く、さらに7月4日の「アメリカ独立記念日」の前後に基地の中や基地外の公園などでは、独立記念日を祝って大がかりな「バーベキュー・パーティ」が開かれており、そこから感染が広がったのではないかとみられている。この時期は、自粛要請がやや緩和されていたこともあって、若い海兵隊員たちが羽目を外して大いに盛り上がったらしい。 
 米兵の感染者数はその後も増え続け、14日には100人を超えたという。
 問題なのは、これを米軍はなかなか沖縄県に伝えず、伝えたとしても“非公表を前提”としていることだ。
 朝日新聞(7月12日付)は、こう伝えている。

(略)11日昼過ぎに米軍から県に概要が伝えられ、夜になって玉城デニー知事と在沖米軍トップのクラーディー四軍調整官が電話会談した。県によると玉城氏は、「米軍の対策に強い疑念を抱かざるを得ず、極めて遺憾」と伝え、感染者の公表などを申し入れた。米側は、(非公表を前提に県に伝えている)感染者数を県が公表することを妨げないなどと回答したという。

 県内では今月、海兵隊内での感染が相次ぎ確認された。県は基地内外で日常的に接触がある県民にも感染が拡大しかねないと警戒を強めている。だが、米軍は、運用に影響を与えかねず詳細を非公表にするとの米国防総省の方針に沿い、感染者数を県に伝えながらも非公表とするよう要求。県は「公表すれば情報が得られなくなる」として応じていた。感染者の属性や行動履歴など、住民の感染対策に必要な情報も十分得られていないという。

 つまり、米軍は感染者数だけは県に伝えるが、それは非公表にしろ。感染者がどんな地位にある者かどこで感染したか、さらには沖縄県民との接触はなかったか……などという詳しい情報はこれからも明かさない、というのだ。

 これでは、県内の感染者増加を防ぎようがない。
 感染米兵は、多分、感染後も基地の外で遊んでいただろうし、その行動履歴を追跡できなければ県としてはお手上げだ。こんな米軍の姿勢に対抗するには、沖縄県内のすべての米軍基地をロックダウンして、ひとりの米兵も基地の外へ出さない、というくらいの強い対抗策が県には必要だろう。とても採れる策とは思えないけれど。

納得できない在日米軍の姿勢

 その上、腹立たしいことは、在韓米軍当局は、兵士のコロナ感染状況を積極的に公表しているという事実だ。
 前述のように、日本では詳しい情報はなんら米軍からは発表されない。これは、日本と韓国の政府の姿勢によるものだろう。韓国政府はきちんと米軍に文句を言うけれど、日本政府は米軍の言いなり。それじゃ、詳しい情報を公開することもあるまい、と米軍は高を括っているのかもしれない。
 この米兵のクラスターは、沖縄だけではなく、他の日本各地の米軍基地でも発生している可能性がある。

 もうひとつ、ぼくには納得できないことがある。米軍はコロナ対策として、基地の外の民間ホテル(北谷町)を借り上げて、人事異動に伴って沖縄へ来た米兵らの2週間の隔離施設として使用していた。これは大批判を受けたためか、今週(18日まで)で終わるが、以後も異動で国外や県外に向かう米兵の滞在施設として使用するという。

 これが一般の人たちだったら、その理由も分かる。だが、沖縄を訪れた人なら誰にでも(いや、日本本土の横田基地や三沢基地、岩国基地などをご存知の方なら誰にでも)分かるだろうが、広大な面積を誇っているのが在日米軍基地だ。ことに沖縄では、一等地といっていい広大な場所を米軍基地が占めている。異動者の隔離施設に不自由するはずがない。足りなければ、自国のカネで増設すればいいではないか!
 考えるほどに腹が立つ。

世界最悪の感染国から検疫なしで日本に入国できる集団

 それにしても、どうしてこんなひどいことになったのか。むろんそれは「日米地位協定」という沖縄(に限らず、日本全国の米軍基地の自治体)に絡む、これ以上はないという最悪な不平等協定によるものだ。
 その中でも、ぼくには大きな疑問がある。もしこの疑問に明解に答えられる方がいたら、ぜひお教え願いたいのだが、米兵の日本入国に関する疑問である。
 外務省のホームページに、「日米地位協定Q&A」というのが載っている。その中に、こんな一節がある。

問7:米軍人やその家族は、パスポートを持たずに自由に日本に出入りできる特権を与えられているのですか。

(答)米軍からの命令があれば米軍人が円滑に日本への出入国を行えるようにしておくことは、米軍が日本と極東の平和と安全を維持するための活動を行うためにも必要なことですが、この点につき日米地位協定は、米軍人が日本に出入国する際には、米軍の身分証明書と旅行命令書を携帯しなければならず、要請があるときは日本の当局に提示しなければならないと規定しています。一方、軍属及び家族が日本に入国するためには、パスポートが必要です。

 これをどう読み解けばいいのだろうか?
 米兵は、「米軍の身分証明書と旅行命令書」を持っていれば、日本での入国手続きをする必要はないということか。パスポートなんか持たなくても、米軍人であれば審査なしで日本へ入国できるということか。
 「要請があるときは日本の当局に提示しなければならない」とはあるが、日本当局(ってどこだ?)が、米軍に対しそんな要請をしたことがあるなんて、ぼくはまったく聞いたこともない。
 身も蓋もない言い方をすれば、米軍人は審査なしで日本へ入国でき、日本国内を好き勝手に移動することができるわけだ。それを堂々と、日本政府がホームページで認めているのだから何をかいわんや、である。
 そんなバカな、と思うだろうが、実はそれは、以下の条文に依っているのだ。

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