記事

Go Toトラベルの予約は秋以降がいい「コロナ以外」の理由

2/2

新型コロナウイルスによりインバウンド旅行者はほぼゼロとなり、観光事業者は数カ月間にわたり消失した売り上げをキャンペーンで取り戻したいと考えているだろう。「Go To トラベル」は旅行需要回復に時間がかかる想定の中、より高単価高付加価値の新商品を特別割引で新たな客層に提案できる絶好のマーケティング機会と考えるべきで、単に既存商品の期間限定お得セールに終わらせず、これを機に近隣住民から普段は海外旅行に行く日本人や日本在住外国人、さらにはその先の訪日外国人まで、幅広い層を惹きつける地域色の強い新サービス・新商品を意欲的に投入することが期待される。

キャンペーンは来年春まで続く見通し

観光庁の「Go To トラベル事業の概要」では、「旅行需要の平準化に向けた取組」として秋冬春までキャンペーンを継続する旨を図示しており、企画競争の議事にも「特定の地域や時期などに旅行者が集中しないよう、満遍なく地域の観光消費の拡大につなげるための割引原資の執行の工夫が提案されている」とコメントされている。おそらく、キャンペーン開始後に申し込みが殺到して短期間に終了とならないよう、第2期、第3期などと分けて募集をするのではと思われる。

「Go To トラベル」に限ったことではないが、宿泊に往復交通が含まれる国内ツアーの場合、出発日の20日前からキャンセル料が発生する。宿泊のみの場合は各施設により異なるが、だいたい1週間以内だ。出発が近づいたら、取消料がかかる前に目的地や自身の周りなどの状況から、旅行に予定通り行けそうか確認したい。

【図表3】国内旅行の取消日と取消料(宿泊予約のみの場合は異なる)

出発当日に自身や同行者に発熱が見られる場合、旅行を中止せざるを得ないリスクもある。無理を押して出掛けても、空港ではサーモグラフィーで搭乗者の体温をチェックし、宿・ホテルや観光施設でも入場時に検温の上、発熱が認められれば宿泊や入場を断るという対応を多くの事業者が取るようになる。旅行開始前であれば当日でもキャンセルに対して旅行代金の一部は戻ってくる。旅行に行くべきか、今は行くべきではないか、個人の正しい最終判断が求められる。

オーバーツーリズムに加わらない

昨年までは、有名観光地に外国人旅行者が押し寄せる「オーバーツーリズム」が社会問題になっていた。住民のみならず、当の外国人旅行者までが「せっかく日本に来たのに周りは外国人だらけ」と不満を漏らした。ニセコや野沢、白馬などのスキーリゾートが引き続きオーストラリア人に人気の一方、近年は東北の温泉地などそのほかのスキー場でも彼らの姿を見かけるようになった。日本旅行のリピーターになると、次は周りにオーストラリア人のいないスキー場に行きたいと、穴場を開拓する旅行者が増えている。

東洋文化研究者で『観光亡国論』(中公新書ラクレ)著者のアレックス・カー氏は、「全国体験観光オンラインシンポジウム」(地域ブランディング研究所主催)で、「新しい旅の哲学」という持論を語った。「自分も迷惑なオーバーツーリズムの一部になるような人気観光地は諦めて、自分が来ることが求められる、行くことが役に立つ目的地を選んで旅をする」という考え方だ。

レジ袋やストローを使わないといった環境への配慮と同じように、旅に関しても受け入れる観光地に混雑マネジメントを委ねるだけでなく、旅行者自身の選択でwithコロナ時代に安心な旅行を考えることが求められるだろう。

カー氏が「完璧なNo密」と呼ぶ徳島県祖谷地方には、9軒の古民家宿が点在する
カー氏が「完璧なNo密」と呼ぶ徳島県祖谷地方には、9軒の古民家宿が点在する - 画像提供=桃源郷祖谷の山里

ここは、半額補助だからと張り切って人気観光地、人気ホテルの予約合戦に殺到するのではなく、他の日本人があまり気づいていない穴場を研究して、最終的に満室や満席にならないような、知る人ぞ知る旅行を見つけ出すほうが正解かもしれない。せっかくなら、これを機会に新しい旅のスタイルに挑戦してみる。初めての土地に足を伸ばして、どんな風景や体験が待っているか想像してみる。そのほうが、感染予防に配慮し密を避けるという時代のテーマに沿った旅行を、一人ひとりが安心して楽しめるのではないだろうか。

----------
萩本 良秀(はぎもと・よしひで)
インバウンド・メディア・プロデューサー
リクルート「ISIZEじゃらん(現じゃらんnet)」初代編集長、「じゃらんガイドブック」編集長、ぴあ「@ぴあ」編集長、ヤフー「Yahoo!ニュース」プロデューサーなどを経て、数百人の日本在住多国籍メンバーが日本旅行のアドバイスを投稿するサイト「DeepJapan」エグゼクティブ・ディレクター。日本在住外国人ライターを起用した公共および民間企業の多言語サイトの制作、訪日観光客の観光ガイド実務、インバウンド関連団体での活動などを通じて、外国人目線での訪日客マーケティングおよびプロモーションを支援している。
----------

(インバウンド・メディア・プロデューサー 萩本 良秀)

あわせて読みたい

「GoToキャンペーン」の記事一覧へ

トピックス

議論福島第一原発処理水の海洋放出は許容できるリスクか?

ランキング

  1. 1

    田原氏「菅首相は地雷を踏んだ」

    田原総一朗

  2. 2

    ひろゆき氏が日本の日付管理評価

    西村博之/ひろゆき

  3. 3

    北野武 死の「理由」憶測に持論

    NEWSポストセブン

  4. 4

    デジタル化の加速で高齢者に懸念

    船田元

  5. 5

    ヒトの善意で生物が死滅する恐れ

    fujipon

  6. 6

    東京五輪中止の噂に組織委真っ青

    WEDGE Infinity

  7. 7

    野党合同ヒアリングの悪者さがし

    千正康裕

  8. 8

    在宅勤務のオンライン会議に弱点

    ヒロ

  9. 9

    白昼堂々万引きも放置? 米の現状

    後藤文俊

  10. 10

    大阪市なくなるのは嫌という心理

    音喜多 駿(参議院議員 / 東京都選挙区)

ランキング一覧

ログイン

ログインするアカウントをお選びください。
以下のいずれかのアカウントでBLOGOSにログインすることができます。

コメントを書き込むには FacebookID、TwitterID のいずれかで認証を行う必要があります。

※livedoorIDでログインした場合、ご利用できるのはフォロー機能、マイページ機能、支持するボタンのみとなります。