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原子力規制委員会 “もたれ合い”の打破を

「政治からの独立が十分ではない」

19日に発足した原子力規制委員会の田中俊一委員長は、苦しい胸のうちをこう吐露せざるを得なかった。

それは、与党内の意見をまとめられない野田首相が党内分裂を恐れて規制委人事案の国会同意を得ずに、緊急時の例外規定を乱用する形で任命したことで、規制委設置法が定める国会同意を得ないままでの規制委発足となったからである。

規制委が担う国民の命と安全を守る原発の安全基準づくりには、政治、経済の影響に左右されない環境が必要だが、与野党を合わせた国会の支持を得られないままの今回のような発足では、腰を据えた作業ができるかどうか不安は拭えない。

また、規制委設置法には国会の同意なしで任命された委員長らは国会の事後承認が得られなければ罷免されるとの規定もあり、政治が無用な介入を行う余地を残してしまっている。

ひとえに政府・与党の決断力の弱さが、発足時点から規制委の独立性を損なわせていると言わざるを得ない。

そもそも、福島第1原発事故の反省を踏まえ、同委員会は設置されたはずである。

これまでの原子力を推進する経済産業省内に規制側の原子力・安全保安院が同居する規制と推進の“もたれ合い”体制の解消とともに、無用な政治介入を認めない強い独立性が不可欠だ。

公明党もこうした観点から、公正取引委員会のような国家行政組織法第3条に基づいた政治からの独立性の高い「三条委員会」としての設置を主張し法律に盛り込んだ。

さらに、原発事故などの緊急事態が生じた場合の首相の指示権の限定や規制庁の職員が元の省庁へ復帰することを認めない「ノーリターン・ルール」の規定を含めたのも、独立性確保のためである。

しかし、いくら制度的に独立性が確保されても、それをきちんと運営できない政府・与党では元も子もない。

その一方で、野田政権は独立性の確保を自己都合に合わせて解釈し、原発の再稼働や建設中の原発の工事継続などの政治レベルの高い判断を規制委に委ねようとすらしている。

これでは全く逆である。やるべきことをやらず、責任は“丸投げ”という野田政権の姿勢からは、国民の命と安全を守ろうという責任感はみじんも感じられない。政府・与党は、このことを真摯に反省すべきである。

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