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ついに日本も「共同親権国」になりそうだ~EU本会議決議、法相会見

■EU本会議決議と森法相会見

当欄ではずっと「共同親権」について考えてきた。僕のバックボーンから、主として「哲学的に」考察してきたのであるが(たとえば前回の〈母権優先-昭和フェミニズム-単独親権司法〉権力)、現実の動きでも、共同親権は法制化の道をようやく歩み始めたようだ。

まずは7月8日、EU本会議は、国際結婚した夫婦が離婚する際、日本人親によって一方的に連れ去りその後の面会を拒否する事態(abductionなので「拉致」のほうが正確もうひとつの「拉致被害者家族」~離婚時のabduction参照)について禁止するよう日本政府に求めた。

これはEU本会議の決議なので非常に重い意味を持つ。

日本の歴史では、親権などの重要な概念の変更は自主的に変更はできない。それは主として、戦争と外圧によって行なわれ(第二次大戦等)、今回の「単独親権から共同親権へ」という流れについても、僕はそう進むだろうと思っていた。

この本会議決議を受けてだろう、昨日7月14日、森法務大臣が「共同親権の導入の是非を含めて検討を進めている」と会見した(共同親権 導入是非含め検討「子どもの利益最優先に」森法相)。

短い記事ではあるが、NHKのニュース記事であり、そこで「共同親権」と明言したのは大きい。記事はこう書く。

国際結婚が破綻した場合などの子どもの扱いをめぐって、EUの議会が、共同親権を認める法整備を日本に求める決議を採択したことに関連し、森法務大臣は共同親権の導入の是非を含めて検討を進めているとして「子どもの利益を最優先にさまざまな意見を聞いていきたい」と述べました。

EUの議会は先週、加盟国の国籍をもつ人と日本人の結婚が破綻した場合などに、日本人の親が、国内で子どもを一方的に連れ去るケースが相次いでいるとして、連れ去りを禁止する措置や共同親権を認める法整備などを求める決議を採択しました。

出典:共同親権 導入是非含め検討「子どもの利益最優先に」森法相

■共同親権をベースにした共同養育

共同親権をベースにした際、1.DV案件をどう「単独親権」のまま例外化しておくか、2.共同養育の具体的方法について元夫婦間の話し合いの仕組みをどうつくるか、3.養育費の取り決めと支払いの具体的方法をどうするかなど、実際の生活スタイルの決定は元夫婦間の地道な話し合いが求められるだろう。

その話し合いの際に第三者機関や裁判所がどう関与するか、なども決める必要があり、法制化も時間はかかるだろう。

また、共同親権化したとしても、関係が疎遠化した元夫婦が現実の共同養育をそれぞれが納得するかたちで落とし込んでいくのは数年を要するかもしれない。

それはたとえばブラッド・ピット/アンジェリーナ・ジョリー元夫妻のように数年かかるかもしれないが(ブラット・ピットとアンジェリーナ・ジョリー、関係が「平和」になった理由に納得)、ベースを共同親権にして第三者が仲介すると納得できる答えは見つかるはずだ。

また、Yahoo!ニュースの特集記事のトップに取り上げられてもいるように「離婚後、子どもに会えない」――親たちの切実な悩み、新たな共同養育というスタイルも、この問題は社会的にも注目され始め、「共同養育」という離婚後の子育てのスタイルが聞かれるようになった。

同記事では共同養育について、以下のように記述する。

今、娘は土曜か日曜のどちらかは父親と過ごす。保育園の行事などもこまめに父親に知らせ、積極的に参加してもらっている。娘には「パパとママは離婚したけれど、パパはパパだしママはママだよ」と伝えている。

「お休みの日には一日中たっぷり父親と過ごせるので、娘の表情が明るくなった気がします。私自身、娘から父親を奪ってしまったという罪悪感から解放されて楽になりました」

出典:「離婚後、子どもに会えない」――親たちの切実な悩み、新たな共同養育というスタイルも

■abduction拉致被害にあった子どもの PTSD

同記事には共同養育の課題や現状の単独親権の問題点にも踏み込んでおり、「日本の親権システムのいま」がざっとわかることができる。

森法相が会見で「子どもの利益の最優先」を述べたように、離婚後の単独親権下での子どもは、人知らず傷ついている。それは大きなトラウマ/PTSDになることが最近徐々にわかってきた。

たとえばこの文献(国際的な子の連れ去り: 連れ去り・再統合が子に与える影響)では、以下のような拉致被害当事者の「叫び」が引用されている。

45歳女性、4歳の時に母親に連れ去られたが、それは「見当違いの保護」で あった。 安心感や愛されていると感じることに大きな問題。人生で最も大切 な人たちが簡単に去ってしまう。どこかに穴があり、成長してもそれを埋め ることはできない。サポートシステムは子どもが見つかると終了するが、子 どもにとってはいつまでも終わりがない。人は性的な方法以外で踏みにじられるが、そのようなものである。

38歳女性、5歳の時に母親に連れ去られた。 父親に反感を抱くよう母親に 仕向けられた。今は夫が、記憶にない父親の役割を兼ねる。「人格破壊」に 遭っている。自分自身を構成する要素を失っている。親といても救われるの を待っている。

出典:国際的な子の連れ去り: 連れ去り・再統合が子に与える影響 家族法政策実務国際センター共同代表 英国ウェストミンスター大学首席研究員 マリリン・フリーマン教授

ここで指摘される「穴」や「人格破壊」は文字通りPTSD/心的外傷後ストレス障害を表現した言葉だ。

単独親権システムに基づく子どもの拉致は、明確に子どもの心に大きな傷あとを残す。

だが、言語的に未発達な子どもたちは、その行為を、

1.abduction拉致として認識できない、

2.同居する親の考えにシンクロさせることが子どもの「本能」、

3.同居親から別居親についての悪口を叩き込まれ、「洗脳」される、

等の理由から、別居してしまった親と心理的にも物理的にも離れていく。この別離が、さらなるPTSDの原因ともなっていく。

こうした悲劇を刷新するときが今やって来ている。もしかして、次期臨時国会に、親権の改正法案が提出されるのでは、という期待も関係者の間ではあるようだ。

※Yahoo!ニュースからの転載

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