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湖池屋の「食塩不使用ポテチ」に飛びついたのは女子ではなくオジサンだった

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湖池屋のポテトチップス「プライドポテト」が売れている。今年2月のリニューアルでは、「芋まるごと 食塩不使用」というフレーバーが新たに加わった。湖池屋は以前から食塩不使用の商品を出しているが、その購買層は意外にも40~50代の男性だったという。知られざるポテトチップスの最新事情をリポートしよう——。(後編/全2回)

「芋まるごと 食塩不使用」がユーザーを広げた

湖池屋のポテトチップス「プライドポテト」が売れている。2017年の発売開始以来、商品力は高かったが、売り上げは伸び悩んでいた。だが今年2月に大胆なリニューアルを行った結果、前年同月比512%という大ヒットとなったのだ。

ポテトチップス業界では「年間売上20億円でヒット」と言われている。新しい「プライドポテト」は、4カ月で売り上げ20億円を達成しており、すでに2500万袋を販売。これはメガヒットといっていい結果だろう。

新しい「プライドポテト」新しい「プライドポテト」 - 写真提供=湖池屋

リニューアル後のフレーバーは、「神のり塩」「衝撃のコンソメ」「感激うす塩味」「芋まるごと 食塩不使用」の4種類。

最初の3つはポテトチップスの基本フレーバーとも言える三傑、ある意味で“安パイ”だ。湖池屋マーケティング本部 マーケティング部次長 兼 第3課 課長 野間和香奈氏は、今回のリニューアルでユーザーを大きく広げた要因は残りの1フレーバー、「芋まるごと 食塩不使用」だと言う。

その理由を問う前に、湖池屋が2018年11月に発売した「ポテトの素顔」という商品について触れておきたい。

なんと、塩味どころか何の味もついていない“ジャガイモの素揚げ”状態のポテトチップスである。

無類のポテトチップス好きである筆者が主催するポテチ会(数人〜十数人が各自推しポテトチップスを1袋以上持ち寄り、全員で全種類を試食。投票によって優勝を決める)でも、「ポテトの素顔」は賛否両論を巻き起こした。

出汁の味だけでミニマムな味付けを施した「プライドポテト 芋まるごと 食塩不使用」は、この「ポテトの素顔」を強く連想させる。そう野間氏に伝えると、「いいパスです(笑)。実は両商品はつながっています」とほほ笑んだ。

味付けしないポテトチップスの意外な需要

「ポテトの素顔」

「3〜4代目の『プライドポテト』は、うま味調味料や香料を使わない“無添加”をうたってきたんですが、それによってお客様のパイを狭めてしまったんですよ。“無添加”は、お母さん世代や健康に気遣っている世代には喜ばれたんですが、ポテトチップスを一番食べる20代から40代前半からすると、物足りなく感じてしまう。実際は食べたらおいしいのに、食べる前に意欲がそがれていました」(野間氏)

そんな折、完全無添加、かつ味を一切つけない「ポテトの素顔」を発売した。

「ヘルシー志向の女性を狙って、パッケージデザインも女性向けを意識しました。家でサラダに乗せたり、ディップをつけてパーティーで食べたりするイメージです。なんならインスタに載せてくださいね、と。ところがふたを開けてみると、一番買った世代は40〜50代の男性だったんです」(野間氏)

食塩不使用に大喜びの男性たち

湖池屋のお客様センターには、男性購入者からの「塩分を気にしていたので、塩なしのポテトチップスが食べたかった」といった声が続々と届いた。

「彼らは体のことを気遣って塩分を控えていますから、ポテトチップスなんて絶対食べてはいけない……と思っていたところ、なんと塩を一切使っていないポテトチップスが出た。喜びの反応がたくさん寄せられました」(野間氏)

そこで発見した“食塩不使用”のニーズを「プライドポテト」のフレーバーに生かした結果が、「芋まるごと 食塩不使用」だ。「ポテトの素顔」同様、塩は使っていないが、あっさりした味はついている。北海道産昆布などのうま味だ。

「ポテトの素顔」は一部に好評だったが、人を選ぶ商品であるのも確か。人によっては「塩気がなくて物足りない、芋と油の味しかしない」と感じるだろう。ポテトチップス好きの筆者からしても、かなり「マニア向け」の仕上がりだと感じる。

それをもう少し一般向けに調整したのが「プライドポテト 芋まるごと 食塩不使用」だ。これが、市場に見事にはまった。

「あっさり志向」と「濃い志向」の二極化

「プライドポテト」は4種のフレーバーによって、消費者の両極端の嗜好をカバーしている。「感激うす塩味」「芋まるごと 食塩不使用」がシンプルな味を好む人向け。「神のり塩」「衝撃のコンソメ」がしっかりした味を楽しみたい人向けだ。

「ここ3年ほど、消費者がポテトチップスに求めるフレーバーは二極化が進んでいます。健康志向が強い40代以上は『素材の味を求めたい』『あっさりめがいい』『重たくない味にしてほしい』。若い世代は『濃く、はっきりした味がいい』」(野間氏)

「KOIKEYA STRONG」と「じゃがいも心地」「KOIKEYA STRONG」と「じゃがいも心地」 - 写真提供=湖池屋

湖池屋が「プライドポテト」以外でその二極化をカバーするブランドが、「じゃがいも心地」と「KOIKEYA STRONG」だ。

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