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中国・三峡ダムを襲う豪雨、「ブラック・スワン」を無視してよいのか

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九州各地で起きている豪雨は、過去に経験したことがないほど凄まじいものであり、多くの悲惨な災害をもたらしている。その猛烈な雨量をもたらしている「線状降水帯」の原因となっている梅雨前線は、遠く中国まで延び、中国では、長江流域に大水害を生じさせている。

この大水害は、既に、中国という国にとって、極めて重大かつ深刻な事態に発展しているように思える。そして、それが、日本の社会や経済にも重大な影響を与える可能性もないとは言えないように思える。

しかし、台湾系や反中国政府系のメディアではこの大水害について盛んに報じられてきたが、日本のメディアは全くと言っていいほど、報じてこなかった。

7月10日に至って、読売新聞が初めて、「上海=南部さやか」という以下の署名記事で報じた。

中国南部の長江流域を中心に続いている豪雨は、中国応急管理省の10日までの調べで、被災者が江西、安徽、湖北省など27省市・自治区で延べ約3400万人に上り、死者・行方不明者が140人を超えた。

国営新華社通信などによると、江西省上饒市では8日、堤防が約50メートルにわたって決壊し、農地が浸水するなどの被害が出た。土砂崩れも湖北省などの各地で起きている。応急管理省によると、これまでに延べ約200万人が緊急避難した。

中国気象局の予報では、長江中下流域では18日まで強い雨が続く見通し。長江にある世界最大級の「三峡ダム」は6月末から放水を始めたが、放水が増水に間に合っておらず、警戒水位を上回っている。

長江流域での水害は、毎年繰り返されており、それだけであれば、特に珍しいことではない。問題は、記事の最後に書かれている、世界最大の水力発言ダムの「三峡ダム」の水位が、警戒水位を上回った後、さらに高まっていることだ。

読売の記事の少し前、7月6日、Newsweekに、【中国・三峡ダムに「ブラックスワン」が迫る──決壊はあり得るのか】(作家・譚璐美氏)と題する記事が掲載された。

建設中から李鵬派官僚による「汚職の温床」と化し、手抜き工事も起こった。2008年に試験貯水が開始されると、がけ崩れ、地滑り、地盤の変形が生じ、ダムの堤体に約1万カ所の亀裂が見つかった。貯水池にためた膨大な水が蒸発して、濃霧、長雨、豪雨が頻発した。」などと建設時からダムの安全性に問題があった。

万が一決壊すれば、約30億立方メートルの濁流が下流域を襲い、4億人の被災者が出ると試算されている。安徽省、江西省、浙江省などの穀倉地帯は水浸しになり、上海市は都市機能が壊滅して、市民の飲み水すら枯渇してしまう。上海には外資系企業が2万2000社あり、経済的なダメージ次第では世界中が損害を被る。

「ブラックスワン」とは、「起こる可能性は確率的に非常に低いが、起これば極めて大きな衝撃を引き起こす事象」のことである。

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