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テラハは「やらせ」疑惑に加えて「人権侵害」疑惑も! BPOは“ダブル審議”で検証すべきでは?

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BPOの審議で2つの委員会が関与すべきだと考える理由

 女子プロレスラーの木村花さんが出演していたフジテレビ「テラスハウス」でのSNSでの批判を苦にして自殺したとされる事件。

 この問題についてはテレビや新聞を見ても真相はよく分からないことが多い。

 週刊文春だけが他のメディアに先行する形で圧倒的な分量の事実を報じている。

 筆者はこの問題について、テレビ局にとっての自律的な放送倫理検証組織であるBPO(放送倫理・番組向上機構)で審議した上で何がどのようにいけなかったのか検証結果を細かく公開した方がいいと考えている。

 そのためには3つある委員会のうち2つの委員会で検証すべきだと思う。

 ひと言でBPOと言っても、実際には3つの独立した委員会が別々に番組の検証を行っている。

(1)放送倫理検証委員会

 いわゆる”やらせ”や”ねつ造”など、放送倫理の根幹に触れる問題を中心にして広範囲なテーマを扱う。

 検証作業も他の委員会に比べてかなり本格的に行う。

(2)放送人権委員会

 行き過ぎた取材や放送で個人の名誉やプライバシーが侵害されるなどの“人権侵害”があったかどうかを検証する。

 人権を侵害された人からの「申し立て」があった場合に審理・審議が始まる。

(3)青少年委員会

 青少年にとって健全な発達につながらないと考えられるような過剰な性描写や暴力描写を放送として適切なものなのかどうかなどを検証する。

 「テラスハウス」をめぐっては(3)の青少年にかかわる問題は今のところ浮上していないため、青少年委員会がかかわる可能性はない。

 現時点で問題になってくるのは(1)の放送倫理検証委員会と(2)の放送人権委員会の2つで、筆者はこの両方の委員会で放送倫理を検証することが今後のテレビ業界のためになるものと考えている。

週刊文春が明らかにした内容

 週刊文春は「テラスハウス」と木村花さんをめぐる記事でも他のメディアよりも圧倒的に先行して報道してきた。

 同誌が「テラスハウス」の「やらせ」「セクハラ」疑惑を報じたのは2014年6月5日号が最初だが、木村花さんの死後も独自取材でつかんだ情報を繰り返し伝えている。

 以下、最近の週刊文春が誌面に掲載した内容である。

・6月4日号

 木村花さんが「命と同じくらい大事」にしていた試合用のコスチュームを同居する男性メンバーが誤って洗濯、乾燥して着られなくなってしまったことで花さんが激怒して、男性に詰め寄り、帽子を取って投げ捨てた場面が放映されてSNSでの炎上につながったが、制作陣が二の矢、三の矢の未公開動画などを燃料として投下していたという内容だ。

・7月9日号

 木村花さんの母親である響子さんがインタビューに応じている。上記の「テラスハウス」での“コスチューム事件”で花さんは番組スタッフから「ビンタしたらいいじゃん」と指示されていたと花さんから打ち明けられていたと言う。また花さんの友人(匿名)も「花は私にもスタッフからビンタするよう指示があったと言っていた」と週刊文春の記者に証言している。

 この記事では、木村花さんがフジテレビと制作会社イースト・エンタテインメントの間で結ばれた「同意書兼誓約書」の存在を明るみに出し、<私は、本番組収録期間中のスケジュールや撮影方針(演出、編集も含みます。)に関して、全て貴社らの指示・決定に従うことを誓約します>という一文もあると報じている。

・7月16日号

 「テラスハウス」で木村花さんの共演者であり、”コスチューム事件”で花さんに激怒された当事者である男性共演者の小林快さんにインタビューして「”やらせ”は確かにあった」という言葉を引き出した。スタッフからの指示が「密室」で行われていたことなどを具体的に証言させている。小林さんによれば「(花さんの)胸とか触ったら」という指示が制作スタッフからあった時もあると言う。「恋愛とハプニング」を求め、「SNSでの炎上」を狙っていたとも説明している。

 フジテレビは社長の記者会見でこうした“やらせ”の指示について全面否定している。「ビンタをしろ」などと言うことはなかったし、「感情面について感情表現をねじ曲げるような指示は出していない」と答えたと同誌も伝えている。

 また「同意書兼誓約書」で従うべきとされた「指示」も「段取りやスケジュール」についてであって「感情面について全部指示に従えというわけではな」いとフジテレビ側は説明したとされている。

 こうしたフジテレビ側の調査に対して、花さんの母親である響子さんは「到底納得できない」という姿勢だと同誌は伝えている。

「テラスハウス」の問題はどちらの委員会に触れるのか?

 週刊文春が書いている記事の内容はかなり詳細なものだ。

 特に、どこまでスタッフによる指示があったのか。それが事実か、あるいは真実だと信じるに足りるに相当な疑わしさがあるということになれば、これまで「台本」などはいっさいなく、「あるがままのリアル」を撮影して放送しただけだとしてきたフジテレビ側の説明が、「虚偽」だっということになる。虚偽という判断が示されたら、当然ながら「重大な放送倫理違反」ということになってしまう。

 いわゆる「やらせ」があったのかどうかという点を明らかにしていく必要がある。さらに未公開動画をネットで拡散することで話題づくりを狙うような演出も含めて、どこまで許されるのか、許されないのか、ということは検証しなければわからない。

 今のところ明らかなことはフジテレビ内部の調査だけでは不十分だということだ。

 「指示」があったのかどうかも、実際にスタッフがどんな言葉を口にしたのか。それを出演者側はどういう意味として聞いていたのかは、細かくヒアリングをしていかなければ真相は分からない。たび重なる週刊文春の記事での”やらせ”指示の有無についても、社長記者会見での説明を聞いている限りは、制作スタッフだけに話を聞いているような印象だ。

 それでは真相など分かるわけがない。

  弁護士など、法律に詳しい人間が聞き取りをしていくのでないとこれ以上は進まないだろう。

 また、もしBPOの委員会が検証するということになった場合には、ヒアリングの範囲や精度を高めたものにするはずだ。

 そうでなければいくら自律的な検証機関とはいえ、存在理由にもかかわってしまう。

 「テラスハウス」のように、「リアリティーショー」という番組のジャンルにおいて、現状ではほとんど明確なガイドラインがない。

 この分野におけ事実上の「判例」を示すためにもBPOの放送倫理検証委員会が検証して、一定の評価を示すことは大事である。

 その意味ではこの問題は第一義的には放送倫理検証委員会が審議するべき内容だと考える。

 これまでのこうした事案についての同委員会の姿勢を踏まえれば、間違いなく審議の対象になって何らかの「委員会決定」という結論が出されることは間違いないだろうと見る。

 筆者は週刊文春の7月9日号、16日号を読んだ印象では、「テラスハウス」の制作現場は出演者である木村花さんの「人権」を侵害するような制作過程だったと感じている。このため、放送倫理検証委員会だけではなく、放送人権委員会でも審議(または審理)すべき事案だと考える。放送人権委員会での「人権侵害」はこれまでは過剰な取材攻勢とか中傷等、名誉毀損など、取材を受けて報道された人が被害を受けた当事者になるケースが多かったが、もし今回、放送人権委員会が扱うことになれば、初めてリアリティーショーの出演者への人権侵害がテーマになる。こちらもリアリティーショーの出演者への人権をどうやって守るのかという意味では、こちらも一種の「判例」になりうる。

 つまり、2つの委員会で”ダブル審議”を行うべき事案で、この際にリアリティーの制作や放送で守るべき放送倫理とは何かを徹底的に議論してほしいと思う。

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