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ECBは背水の陣型金融政策、FRBは後方支援的金融政策か

 日銀の白川方明総裁は8月24日の大阪市内での講演・会見において、円高是正のため「劇場型金融政策」を求める会場の声に対して、白川総裁は「普段から金融政策が理解されていればサプライズはない。驚かせるより、よく理解されるのが大事」と反論した(ロイター)。

 個人的には、金融引き締めの際には市場に事前に浸透させることが必要であり、金融緩和の際にはサプライズの方が効果的と考えるが、白川総裁が指摘したように効果が一時的であるのも確かである。しかし、それでもその際のショックを市場は覚えており、日銀の金融政策の変更の影響度をまざまざと感じさせることにもなり、その意味では効果的と考えられなくもない。それは裏を返すと金融政策への市場の依存度を高めさせる結果ともなる。

 現状型の金融政策を試した例としては、今年1月25日のFRBによる物価に対してのゴールの設定と2月14日の日銀によるバレンタイン緩和(物価の目途の設定)がそうではなかったろうか。しかし、どうやらFRBも日銀もこれについては、あまり成功例としは見ていない節がある。外部から見れば、ついにFRBも日銀もインフレターゲット政策を導入かとみられたが、どうもそのようには受け取ってほしくない感じのようである。日銀としては、結果として劇場型金融政策を試す例になったが、これが金融政策の良い事例とはならなかったのではなかろうか。

 その後のFRBやECBの動きを見ても、たしかに劇場型金融政策を行ってはいない。どちらかといえば、これまでのような「予告型の金融政策」とも言える。

 9月6日のECBによる国債買入については、ユーロ圏の危機回避のためドラギ総裁がユーロ安定のために「あらゆる手段を取る」と表明し、やれることはやるとして退路を自ら断ってしまい、「背水の陣型金融政策」を行った。

 それに対して9月13日FOMCでの決定は、デュアルマンデートのうち、金融政策には直接影響を与える術のない雇用の回復を旗印にしたものであった。米国経済の回復、ECBの国債買入とタイミングを合わせて、リスクオンの動きを加速させるといった効果も考えた上でのものであろうが、実際には大統領選挙を踏まえ、現職大統領に対する「後方支援的金融政策」とも言えた。

 大統領選挙を控えての10月に入ってからのあからさまな金融緩和は当然非難されよう。効果的なカードは限られるため、大統領選挙後、財政の崖への対応等見定めて、カードを切るのが適切と思われた。しかし、共和党のロムニー候補はFRB議長は再指名せずと発言し、ライアン副大統領候補も追加緩和策は悪い考えとの認識を示した。これに何も感じないのがおかしいと言えばおかしい。自らの進退はさておき、追加緩和も否定されてはたまらない。ここで追加緩和のカードを出して、現職大統領にとって再任のカギともなる雇用に対し少しでも働きかけたいとの気持ちがあったとしてもおかしくない。

 これに対して9月18日、19日の日銀の金融政策決定会合でもし追加緩和が実施されれば(どうやら可能性は薄いようだが)、「相乗効果型金融政策」となることが期待される。ただし、考えられる追加の緩和手段は限られる。もし基金よる国債買入を5兆円程度増額するには、下限金利の撤廃をもう少し長めの年限まで適用させるなり、買入国債の対象となる年限をさらに長期化する必要も出てくる。今回は7月に行ったように固定金利オペを減額し、その分を短国の買入に切り替えるのではないかとの見方もある。これは実質的な追加緩和ではないが、追加緩和と同様の効果をもたらすとして行えば、アナウンス効果は出るかもしれない。

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