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「日経の名物記者も憤る」WHOのあまりに露骨な中国びいき

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なぜ日本は新型コロナウイルス対策の初動が遅れたのか。日本経済新聞社編集委員の滝田洋一氏は、「判断をWHOに一任したのがよくなかった。WHOは新型肺炎への緊急事態宣言に際し、もともとの感染源である中国ではなく、日本の成田空港の写真を使っていた。一体どんな神経をしているのか」という――。

※本稿は、滝田洋一『コロナクライシス』(日経プレミアシリーズ)の一部を再編集したものです。

新型肺炎/テドロスWHO事務局長がパンデミック宣言=2020年3月11日

新型肺炎/テドロスWHO事務局長がパンデミック宣言=2020年3月11日 - 写真=AFP/時事通信フォト

「緊急事態」の認定とともに添えられたのは…

WHOのテドロス事務局長の立ち居振る舞いは目を覆わんばかりだった。「日本経済新聞」の「大機小機」欄(2月6日)には「WHOのガバナンス改革」と題して、こう記した。

世界保健機関(WHO)は1月30日、中国発の新型肺炎を、「国際的に懸念される公衆衛生上の緊急事態」と認定した。決定文を載せたWHOのホームページには、大きな写真が添えられている。

空港の建物からマスク姿の人が多数出てくる光景で、春節の旅行客だと察しがつく。
建物にはハングルの表示。韓国かと思いきや、写真の左端に視線を転じわが目を疑った。NTTとおぼしき緑色の公衆電話があったからだ。これは日本の空港ではないか。

調べると、写真映像代理店ゲッティイメージズが1月24日に配信した写真である。説明には成田国際空港とある。
春節の旅行客が新型肺炎の感染を世界に広めたのは否めない。それにしても新型肺炎への緊急事態宣言に際し、もともとの感染源である中国以外の国の写真を載せるとは。

WHOという機関は一体どんな神経をしているのだろう。WHOは1月22~23日に開いた会合では緊急事態の宣言を見送った。中国が見送りを求めて圧力をかけた。仏紙「ルモンド」はそう伝える。友好国と組み声高に反対したのだ。

1週間を空費する間にも、感染は一段と広まった。ようやく緊急事態を宣言した際の記者会見でも、テドロス事務局長は中国への忖度に終始した。中国の措置を称賛する耳を疑うばかりの発言。中国との渡航・貿易制限に反対するとともに、感染を広めた中国を免責しようとする意図が透けてみえる。

テドロス氏はエチオピアの元保健相で元外相。そのエチオピアは中国から巨額の援助と投資を受け、借金の棒引きも施されている。WHO自体も中国のカネとヒトの影響下にあり、それが判断の遅れにつながったとの見方は多い。

そればかりでない。新型肺炎のリスクについて、WHOは1月25日まで「中国は非常に高い、周辺地域では高い、世界的には中程度(モデレート)」との判断を示してきた。だが26日になり、22日以降の世界的なリスクは「高い」だったと修正した。事務的な誤りと釈明したが、耳を疑う言い回しである。

企業活動や経済運営の前提は世の中の公衆衛生が保たれていることだ。WHOはそのための機関のはずだが、芯からむしばまれているとの疑いが募る。日本は米国などとともにWHOのガバナンス改革に取り組むべきだ。

なぜか発生地の中国ではなく日本の写真が使われた

テドロス事務局長の出身国エチオピアそしてテドロス氏と中国との深い関係については、WBSのニュース解説で重ねて指摘し、1月31日に配信したYouTube配信番組「相内ユウカにわからせたい!」でも詳しく述べた。WHOのホームページの添付写真について、発見の経緯に触れておこう。

「ひょっとして成田空港?」。そんなメールはエコノミストの鈴木敏之氏からだった。空港を見る目など肥えていないだけに、一瞬戸惑った。だが明らかにおかしい。2月1日の午後1時39分にこうツイートした。

〈WHOの緊急会合:添付写真の「選択眼」、北京や上海の空港には見えない。
写真左のグリーンの公衆電話はNTTのようにみえる。成田空港だろうか。新型肺炎で中国の写真を使わないなら、いかにも忖度。日本の空港の写真だったら、日本政府は厳重抗議すべきだろう〉

そう記した。その直後にツイートを見た方から、疑問を裏付ける連絡があった。そこで2月1日の午後2時4分にこうツイートした。

〈WHOの緊急会合の添付写真:発生地の中国の写真を避け、日本の成田空港を使用。
ご覧頂いた方から、以下の写真をご教示頂きました。NARITA,JAPAN-JANUARY24とあるGettyの写真です〉

Gettyは米国の写真配信サービスだが、写真のキャプション(説明文)には「NARITA,JAPAN-JANUARY24」とある。だから、この写真をWHOのホームページに載せたのは、よく知っていたうえで中国の空港を避けたとしか思えない。

「国際機関は理想主義的で中立的」は幻想である

多くのリツイートがあった。それでも、日本政府が抗議に動いた様子は見られなかった。成田空港の写真が使われ続けていたからだ。そこで「大機小機」の文章となった。すると、WHOが何と前触れもなくホームページの写真を差し替えた。都市名が特定できないような人々が行き交う交差点の写真である。

差し替え前の写真については、ホームページの「魚拓」を取っておいた。そしてWHOの写真問題の経緯は、2月7日のWBSで「魚拓」とともに解説した。折しもネット上では、テドロス事務局長の解任を求める署名が30万人を超えていた。世界中の人々がいら立ちを覚えていたからだろう。だが今も、彼は依然として事務局長の地位に座り続けている。

WHO問題にこだわったのは理由がある。日本の世論やメディアは国連に代表される国際機関に対して、理想主義的で中立的な機関という幻想がある。現実には中国がマネーの力にモノを言わせて、国際機関を傘下に入れている。その現実を伝えたかったのだが、それに加えて日本政府のコロナへの評価、判断、対応がWHOへのあなた任せになっている現実があったからだ。

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