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【読書感想】ティム・クック-アップルをさらなる高みへと押し上げた天才

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ティム・クック-アップルをさらなる高みへと押し上げた天才

ティム・クック-アップルをさらなる高みへと押し上げた天才

  • 作者:リーアンダー・ケイニ―
  • 発売日: 2019/08/22
  • メディア: 単行本

Kindle版もあります。

ティム・クック-アップルをさらなる高みへと押し上げた天才

ティム・クック-アップルをさらなる高みへと押し上げた天才

  • 作者:リーアンダー・ケイニー
  • 発売日: 2019/08/22
  • メディア: Kindle版

内容(「BOOK」データベースより)
ジョブズは製品開発こそ一流だったが、CEOとしては二流だった…。ジョブズと180度違う経営でAppleを世界初の1兆ドル企業へ押し上げた寡黙なCEO。何を考え、何をするのか?秘密のベールに包まれた天才の真相を単念に紐解く。

 スティーブ・ジョブズが亡くなったのは、2011年10月5日のことでした。
 不世出のクリエイターであり、Apple2、iPod、そしてiPhoneで世界を変えたジョブズがいなくなれば、Appleは画期的な新製品を出せなくなり、業績も落ちていくにちがいない、と僕は予想していたのです。
 おそらく、世界中の多くの人も、同じように考えていたのではないでしょうか。

 ジョブズの死から、9年近くの時間が流れました。
 もうそんなに経ったのか……と驚くのと同時に、少なくとも今までは、Appleは世界でもっとも価値を認められている企業のひとつとして君臨しつづけています。
 ちょっと前のように、新しいiPhoneが出るたびに大きな話題になり、入手が難しい、ということはなくなりましたが、安定して好業績を残しているのです。

 ジョブズの後継者として、AppleのCEOになったのが、この本の主人公である、ティム・クックでした。
 正直、僕はティム・クックさんという人のことを、ジョブズの後継者に指名されるまで知らなかったのです。

 しかし、批評家たちは間違っていた。クック主導のもと、アップルは目まぐるしい8年間を、完全にうまくやってのけている。ジョブズの死後、アップルは最大の節目を迎えた。世界初の1兆ドル(約110兆円)企業となり、世界中で最も価値のある企業となったのだ。株価はほぼ3倍になり、現金保有高は2010年から4倍以上に増え、2676億ドル(約30兆円)を記録した──自社株買いおよび配当金としての支出が、約2200億ドル(約25兆円)あったにもかかわらずである。比較のため挙げておくと、米国政府ですら、利用可能な現金は2710億ドル(約30兆円)しか保有していない。
 ティム・クックがCEOになってから、アップルがどれほど並外れた成果を上げているかは、私がこの本を書いている2018年の第1四半期に、883億ドル(約9兆8000億円)の収益と、200億ドル(約2兆2000億円)の利益を上げたことを考えれば一目瞭然である。一方、フェイスブックの利益は、2017年の丸1年間で406億ドル(約4兆5000億円)だ。あまり大きな声では言えないが、ライバルであるマイクロソフト──ハイテク業界でかつて最大の企業だった──が、2017年の丸1年間で得た900億ドル(約10兆円)を、アップルはたった3ヵ月で稼いでいる。
 クックのアップルは、ほとんどすべての部門において、総合他社を圧倒している。

 ジョブズの遺産はあったとしても、それだけで8年以上も業績を伸ばし続けるのは不可能ですよね、テクノロジーの世界であればなおさら。
 この本を読み、その人となりと経営に対する姿勢を知ると、ティム・クックという人は、ジョブズとは全く違ったタイプのリーダーであることがわかります。
 

 ジョブズとクックは何年もの間緊密に協力しながら働いてきたが、2人の立ち振る舞いや気質は非常に異なっており、特にマネジメントに関することになると、その違いは一層際立つものとなった。
 クックのアプローチ方法はジョブズのそれとは異なるものだったが、きちんと結果につながっていた。スティーブ・ジョブズは、アップルのチップ製造業者が十分な量のチップを期日通りに納品できなかった場合、彼らに面と向かって「お前たちは腰抜けのクソったれだ」と言うような(そして実際に言った)人物だった。また結果を出せなかった人たちに憤慨して怒鳴り散らし、彼らをけなして「クソ野郎」と侮辱するような人物だった。
 クックの戦術はこれとは著しく異なっていた。彼が声を荒げることはほとんどなかったが、問題の核心に迫ることに執着し、質問を延々と投げかけて人々を疲弊させた。「彼はとても静かなリーダーです」とジョズウィアックは語った。「叫ぶことも怒鳴ることもなく、非常に冷静で落ち着いています。しかしとにかく人を質問攻めにするので、部下たちは問題についてしっかりと把握しておく必要があるのです」。質問をすることで、クックは問題を掘り下げることができ、スタッフに自分がしていることを常に把握し、責任感を感じさせる効果があった。彼らはいつでも説明を求められる状況にあることを理解していた。
 1998年12月に、クックのオペレーション担当グループに参加したスティーブ・ドイルは次のように語った。「彼は10の質問をしてきます。それらに正しく答えると、さらに10の質問をしてきます。それを1年経験すると、彼の質問は9つに減ります。しかし1つ間違えれば、質問は20、30と増えていくのです」。

 クックはジョブズのようなパワハラタイプの上司ではないのです。でも、こうして、ひたすら冷静に、理詰めでこられるのも、部下にとっては怖いだろうな、とは思います。
 ティム・クックは、ジョブズのような気分屋ではなく、ジョブズのように創造性に満ちあふれた人物でもない。職場での協調性を重視してもいる。
 ただし、クックは、「甘いだけの上司」ではないのも事実のようです。

 クックの関心と評価を勝ち取るために、社員たちは質問に対する正しい答えを常に必要とされていただけでなく、さらに一歩前進する意欲を示す必要があった。そしてときどきそれは、文字通りの意味を持つことがあった。
 クックの断固とした態度は、中国の製造業者に問題が発生したときのサプライ会議で起きた出来事に見てとることができる。「非常に深刻な問題だ。誰かが中国へ行って対処する必要がある」とクックは言った。会議はその後30分続いたが、彼はオペレーションの主要な責任者であるサビー・カーンを真っすぐに見つめると、非常に深刻な表情で「なぜ君はまだここにいるんだ?」と尋ねた。カーンはすぐに立ち上がり、会議室を出ると、車で空港へ行き、中国までの片道のフライトを予約した。自宅に寄ったり替えの服をカバンに詰めることさえしなかった。

 やっぱり、「デキる人たちの職場」だし、厳しいよなあ、Apple。

 ティム・クックが経営を担ってから、Appleは環境に配慮するようになり、中国などのサプライヤーも含め、労働問題にも積極的に関与し、慈善事業にもお金を使うようになりました。社員の多様性にも気を配っているようです。
 ジョブズは、「すばらしい製品を開発することで、世界を良くする」と考えていたようですが、クックは、もっと直接的に「世界をクリーンにする行為に関与している」のです。

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