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「首都圏青年ユニオンニュースレター」230号を読む

 「首都圏青年ユニオンニュースレター」230号(2020年6月28日付)を読む。

 すべてのページが勉強になった。

特集「コロナを生き抜く ユニオンの闘い」

 7ページまでがコロナ禍における争議当事者のインタビュー。特集「コロナを生き抜く ユニオンの闘い」である。

 ベローチェの団交をしている労働者は「都庁の労働相談コールセンターに電話したら、飲食店ユニオンが富士そばの件で勝ちとったらしいですよって聞いて、ツイッターや富士そばのブログ記事をみて相談しました」と証言。

 際コーポレーションの団交をやっている労働者は「飲みに行ったバーのマスターが富士そばの記事を紹介してくれたんです。それで相談して、団交することに決めました」と証言。

 富士そばの団交をしている労働者は「インターネットで調べたところ、飲食店ユニオンが同じような事例でたたかっているという記事(執筆者注:魚家と飲食店ユニオンの交渉についてのブログ記事)を見つけたので、飲食店ユニオンに相談しました。以前から『個人で入れる労働組合』があることはインターネットで見かけて知っていました」と証言。

 改めて思うのだが、ネットで知る、他の人の具体的な争議の様子から知る、というのは本当に大事な入口なのだな。特にネット。そしてネットに具体的な行動の様子が書いてあるということ。

 いや実は、左翼組織のビラとか、左派系団体のビラとかをお願いされて作ったりしているのだが、依頼してくる人たちは「ビラだけでなんとかしよう」としている、つまりビラを見て読んだ人が参加してくると考えているのである。特に若い人を組織しようとしているときに、古い世代の人たちはビラをまず発想しそこで終わる。

 そういうこともあるとは思うけど、ビラを見てネットで確かめる、もしくは初めからビラなど見ずに圧倒的にネットの検索で知る、という人(特に若い人)がほとんどなのに、ブログもサイトもSNSも全くやっていないという状況になっている。

 そんな2000年代前半の議論を今さら九州の端っこでやらないといけない状況なのである。

 そしてこのニュースレターを見て、ますますその思いを強くした。

「コロナ禍における飲食業非正規労働者の困難」

 前述のインタビューの総括。

 飲食業の非正規労働に顕著な問題としての「シフト」問題が取り上げられている。

 契約に労働時間の固定がなく、「シフトによる」とだけ定められている。しかしこれだと、経営側すなわち資本に都合のいい形で日常的に労働時間を切り縮められてしまうので、コロナで休業補償をする場合重大な困難に直面する。

そもそも労働時間が固定していなければ休業手当を支払うべき休業も生じていないことになります

 このような状況下で、シフト労働者への休業手当の支払いということは実は画期的な成果だとこのニュースレターの記事(栗原耕平)は書いている。

休業手当の支払いは、「本来これだけ働ける・稼げるはず」という形で労働時間を固定することを意味するため、シフト労働者とはいえ自由にシフトや給与を変動していいわけではないという社会的合意につながりうるためです。

 非常に重要な指摘である。最低生計費的な準拠するモデルとなるわけだ。

争議報告・スーパーホテル

 スーパーホテルの争議はこれまでもニュースレターで取り上げられてきたので部分的には知っていた。

 しかし、改めてまとめられると地獄のような働かされ方である。

 「支配人」として業務委託契約が結ばされ、労働者性が否定される。

 委託料を月100万円渡されるのだが、ここから雇うべき労働者の賃金なども出さねばならぬので、実質は20万ほどになる。

 ホテルに「住み込み」で24時間離れられない。休む場合は、代行サービスを利用させられ、それは1日3万円もする。20万円から3万円も引かれれば残りは17万円しかない。もし普通の労働者並みに週休2日休めば3万円×2日×4週=24万円(月)かかり完全に赤字である。

 150万円を補償金として払わされ、契約期間中にやめると取り上げられてしまう。

 恐ろしい契約である。

 ぼくの娘は学校で「アントレプレナーシップ教育」を受けている。福岡市の方針なのだ。そしてこれが労働者根性を捨てさせたアントレプレナーシップの最先端ではなかろうか。

支える会コラム

 蓑輪明子(名城大学経済学部准教授)の大学での授業の様子。

 青年ユニオンの活動家たちのZoomインタビューで、「誰でも入れるユニオンがあること、ユニオンなら専門知識豊富な組合員のバックアップを受けて会社と対等に話し合えること、学生でも会社とやり合って成果を勝ち取っていること。初めて聞く話にみんなが驚いた」。

 授業の様子がさらに続くが、『反貧困』を読んだ学生がこのZoomインタビューを見て、生活保護の申請でも専門家の力を借りていくことで受給にこぎつけられることと重ね合わせたりしている。そう、こういう気づきこそ大事じゃないだろうか。

 また、働いている学生が休業補償をもらえた経験を知って、そのことを知らなかった学生たちは驚く。「え…もらえるの? 国のお金で?」。それだけではない。そのことを知っていた学生たちも「ラッキー」だからもらえていたと思っていたが、その背景には労働運動が国を動かしていた事実があることを知ってやはり驚くのである。

身元保証と民法改正

 弁護士のコラムである。

 働く時に身元保証人というやつが必要になる。あれが民法改正で責任範囲の上限を定めるように変わった。それを定めていないとその契約は無効になってしまうのである。

 可笑しいのは、「労働者の側から、不備を指摘してあげる必要はありませんが、豆知識として持っているとよいかもしれません」という記述。不備な方がいいわけである。

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