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「はんこ議連」会長を辞任 竹本直一IT相がセンセイは辞めない理由 - 「週刊文春」編集部


大阪府立富田林高校から京大法学部を経て官僚に ©共同通信社

 竹本直一IT・科学技術担当相(79)が6月26日の記者会見で、突然「辞任」を発表した――。といっても、閣僚辞任ではない。退いたのは「はんこ議連」会長の職だ。コロナ禍に対応するための「脱はんこ」の動きを記者に問われ、5月初めに辞任していたことを明かし「はんこは日本文化の一形態。消してしまえとは思わないが、はんこのためにわざわざ出社するのは実に無駄」とIT担当相らしく強調した。

 議連会長は潔く辞めた竹本氏だが、センセイの座にはこだわり続ける。自民党内でベテランと若手で激しい論争が繰り広げられている衆院比例区の73歳定年制をめぐってのこと。ベテラン側は衛藤征士郎・元衆院副議長(79)や平沢勝栄・党広報本部長(74)が「定年制を廃止せよ」と表立って拳を振り上げているが、背後で2人を焚き付けたのが竹本氏だ。そもそも「衛藤氏も平沢氏も選挙に強く、小選挙区で勝ち上がれる。比例区に重複立候補する必要はない」(政治部記者)。

 一方、竹本氏は堺市美原区や富田林市などの大阪15区選出。大阪といえば日本維新の会の牙城だ。維新副代表を務める吉村洋文大阪府知事の人気上昇で、大阪では次期衆院選の「維新全勝」が早くも囁かれ、竹本氏の小選挙区当選は風前の灯火。比例区の重複立候補ができなければ、即引退の危機にさらされる。

ライバルに「手を緩めて欲しい」と懇願した過去

 なにしろ、竹本氏は元々選挙に強くない。建設官僚を経て、1996年の衆院選で初当選。しばらく小選挙区で当選を続けたが、維新の国政進出後は厳しい戦いが続く。象徴的だったのは、73歳定年制が適用され、比例重複できなかった3年前の衆院選だ。選挙戦の最中にもかかわらず、ライバルである維新の浦野靖人氏や、同党の馬場伸幸幹事長に直接電話し、「俺は比例復活できない。そっちは絶対復活できるんだから、手を緩めて欲しい」と懇願。それが功を奏したか、竹本氏は浦野氏を破って8選。「浦野、馬場両氏は、元々自民党の地方議員。かつての『子分』に、選挙中に懇願するなんて、プライドも何もあったもんじゃない」(地元記者)。

 昨秋には念願の初入閣を果たした竹本氏。実は後継候補も用意済みだ。「国交官僚の義理の息子がいます。竹本氏が定年制廃止を訴えるのは、次の選挙までは何とか自分が立って勝ち、次の次で後継に譲るつもりだからだと見られている」(同前)。だが、高齢議員の居座りも、二世、三世が跋扈する世襲政治も、自民党らしい遺物である。そうした悪弊を清算しないと、そのうち関西以外でも自民党は維新に勝てなくなるだろう。

(「週刊文春」編集部/週刊文春 2020年7月9日号)

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