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反日デモは中国共産党解体の端緒になるか

今回の中国のデモは表向き反日デモだが、背景には共産党内部の対立があることはほぼ確実ではないかと思う。

共産党内では秋の党大会の実質的な主導権を巡って、激しい権力闘争が繰り広げられていると見られる。8月に行われた北戴河会議での派閥抗争の激しさは、NYタイムズ他各紙が報道した通りだろう。
(結局、次期指導者や党大会の重要方針などは決まらなかったようだ。)

中国当局はネット上の情報流通制限や報道内容の変更によってデモをある程度コントロールできるが、どの程度コントロールするか、できるかについての不確実性は必ず残ってしまう。

火をつけることは簡単だが、燃え広がった山火事をどのタイミングでどの程度消すのか、消せるのかについては誰も適切な回答をもつことができない。

7月末に起きた啓東のデモも「消す」タイミングがブレており、当局、というか党内の認識のズレが見て取れる。
群衆が政府庁舎を占拠し、公安車両をひっくり返し、市のトップの上半身を裸にしたり、市長に抗議Tシャツをむりやり着させたり、といったレベルまで「容認」してしまったのは、当局の統一意志がとれずに、判断が遅れたためだと見られる。
当初、地元警察がデモに同情的だったのも「暴走」を許した原因だが、視点を変えると、地方ー中央の認識のズレが露呈したとも言える。

このデモの最大の成果は当局に(デモの目的であった)工場排水計画の見直しを認めさせたこと自体ではない。「民衆」が政府庁舎を暴力的に奪うことができるという事実をさらしてしまったことである。
時系列で並べると、当局が工場排水計画の見直しを回答した後、政府庁舎への乱入が始まっていることは「民衆」の目的が何であったのかを示唆している。

このデモは日本の王子製紙がまずやり玉にあがり、「民衆」側に「愛国者」の免罪符が与えられたうえで、政府当局を「売国奴」とラべリングして追い込むという構造をとっており、これは今回の尖閣デモと同じである。

啓東の場合は、もともとがローカルマターであり、情報統制も最後には効いたので、全国区まで拡散しなかったが、今回の尖閣デモは当局がコントロールできるレベルを超えている可能性がある。

啓東のケースを考慮した場合、「民衆」の向かう先は最終的には政府当局であり、もしこれを政府当局内の一部が容認しているのなら、これはもはやクーデターと言うことができるのではないか。

もう一つ、ズレを指摘しておく。

中国のデモは党が関与する唯一の労働組合(全総工会)がある程度コントロールしているところがある。
例えば、去年ホンダの工場で起きた賃上げデモでは、「妥協点」を超えるレベルでは労働者に自制を強いている。http://www.zenshin.org/blog/2010/06/post-911.html
ところが、すでに「妥協点」を超えていると思われる今回の尖閣デモに関しては13日に声明を発表し、領土主権への断固たる行動を支持している。

このような「日本」をダシにしたデモが頻発し、「民衆」対党政府の対立図があぶれ出されてくる時期がいつなのか、予断を許さない。


蛇足
無論、デモの「民衆」は中国国民のごく一部であるが、「愛国者」「売国奴」のラべリング(とリーダーの出現)により、大きな構造決定要因になりうる。少なくとも、歴史的に後から見て、「あ~あの時の動きはこれを先取りしていたんだなあ」となる可能性は十分にある。

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